原発事故、政府発表のごまかし

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 東日本大震災によって引き起こされた、福島第一原発の放射能漏れ事故はまだ収拾の見通しが立たず、今も放射性物質が海水や土壌、大気中に放出されています。
 この事故が起こった3月11日から、政府は福島原発付近で検出された放射線量や、放射性物質が検出された水道水に対して、一貫して「ただちに人体に影響はない」と繰り返していますが、この表現は「じゃあ、何年か後には影響あるの?」という疑いを生んでいます。

 『原発震災が大都市を襲う 次は首都圏か!?』(徳間書店/刊)の著者である船瀬俊介氏は、本書の中で“「パニックを防ぐ」「風評被害を食い止める」。政府の気持ちはわかる。”としながらも、“「時間がたてば、(人体に)なんらかの影響が出るかもしれない」と、政府は暗に、認めている。”と述べています。

 冒頭のように、原発事故に関して政府が発表している情報は思わず「?」となってしまうものばかり。とてもではありませんが鵜呑みにできるものではありません。

■レントゲンと原発を混同させるごまかし
 原発に関する政府からの情報発信は主に枝野官房長官が行っていますが、福島第一原発の正門付近で1557.5マイクロシーベルト(毎時)の放射線が検出された時、同氏は「胃のレントゲンは一回600マイクロシーベルト。3回分弱になります」とコメントし、検出された数値が安心できるものだということを強調しました。
 しかし、レントゲン検査はその場で終わりますが、原発被害は一生続く可能性もあるのです。また、レントゲンは外部被ばくですが、原発の場合、体内に放射性物質を取り込んだ内部被ばくの可能性もあります。

 さらに、前述の1557.5マイクロシーベルトというのは、あくまでも一時間あたりの数値。枝野氏の言葉を借りるなら、一時間にレントゲン撮影約3回分の放射線を浴びることになるのです。つまり、福島原発の正門前にいたらレントゲン撮影約62回分の放射線を浴びることになり、これは健康上きわめて危険な被ばく量です。
政府としては混乱を避けるためだったのでしょうが、枝野氏が会見で話した内容はこのような意味を持っていたのです。

 『原発震災が大都市を襲う 次は首都圏か!?』には、日本にある原発の危険性や、今回の事故に対する政府発表やマスコミ報道のごまかし、放射線への対策、今後のエネルギー行政への示唆が含まれています。
 この国の原発は全て、4つの地下プレートがぶつかりあっている、“地震の巣”の上に建っていることを忘れてはいけません。
 今後また、国内のどこかの原発で事故が起こる可能性もあります。その時のためにも日本の原発や原子力政策、そして放射線について学んでおいて損はないはずです。
(新刊JP編集部/山田洋介)


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