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組織に属する人間は、時に己の意思に反する行動が求められる。

中間管理職ともなれば、特にそうだろう。部下のため、あるいは出世、ひいては家族のために自分を押し殺し、トップの下した決断に従わなければならないことがある。だが、もしそれが社会的に許されない「不正」だったとしたら、どうだろう。あなたは従うだろうか。

その前に、一つ聞いてみたい。この記事に目をとめてくれた人の中で、会社、あるいは上司から「不正」を指示されたことがある人が、どれだけいるのか。



「はい」と答えた人は、映画『生き残るための3つの取引』(4月29日公開)に、きっと共感できる部分が多いはずだ。

作品は、優秀だが学歴のない刑事が、上司から「犯人をねつ造せよ」と命じられ、泥沼にはまり込んでいく姿を描いている。2010年の韓国での公開時には、本編の内容を思わせる「検事とスポンサー事件」が起き、280万人を動員するヒットを記録した。

裏組織を取り締まる刑事、刑事の不正を暴こうとする検事、検事と企業の癒着を知る裏組織の男……、というように、それぞれ互いの弱みを握りあう3人の男が、生き残りをかけてシビレるような戦いを繰り広げる。

『母なる証明』のポン・ジュノ監督が「弱肉強食の韓国社会をこれほど赤裸々に描いた映画はかつてなかった」とコメントするように、韓国社会の“現実”がここにある。日本でも、組織に属する人間なら、どこか共感できる部分があるだろう。

生きるための闘志が掻き立てられるヒューマンサスペンスだ。


4月29日(金・祝)から銀座シネパトス、シネマート新宿ほか全国順次ロードショー。

■ストーリー
犯人がいないなら、作ればいい――。家族や仲間のために始めた1つの取引から、泥沼にはまり込んでいく刑事。世間を騒がす連続殺人事件を解決するため、上司から「犯人をでっちあげろ」と命じられた刑事チョルギ(ファン・ジョンミン)。優秀だが学歴がないせいで出世できない彼は、家族や仲間のことを考えた末、裏組織でもある建設会社社長チャン・ソック(ユ・ヘジン)に「証拠作り」を頼んでニセの容疑者を仕立て、犯人逮捕に踏み切る。事態に気付いた検事チュ・ヤン(リュ・スンボム)の追及を逃れるため、刑事は逆に検事の汚職をつかみ取引を重ね、次第に底なしの泥沼にはまり込んでいく。連続殺人事件の驚くべき結末は? そして刑事の運命は?

■関連リンク
『生き残るための3つの取引』公式サイト