野球解説者・野村克也氏と、中日ドラゴンズ・落合博満監督による注目の対談が、19日深夜にTBS「S1」番組内で放送された。

対談の前半では、普段はマスコミに口を開かない落合監督のポリシーや斎藤佑樹について語った両者。その後半では、練習量12球団一の中日・落合監督の“ある指摘”に、野村氏が大きく驚いたのだった。

野村:さて、本題に入りたいんだけど。

落合:まだ入ってないの?

野村:今年のライバルチームは?

落合:ある程度、よその12球団は補強してるでしょ?うちはほとんど補強していないでしょ。(マークするチームは巨人?)いや、全部です。

野村:まあ、そうだけど。その中で。

落合:いや、そこで24敗しても、どっかで24勝すれば五分だろうと。

野村:落合は本音言わないからな。

落合:これが本音。最低線、このくらいまではいってもらわなきゃ困るっていう計算は立てるけど。

野村:それはそうと、あんた凄い練習するね。

落合:やらなきゃ、このへたっぴうまくなんないじゃん。

野村:俺ね、ある専門家に聞いたことあるんだけど、人間の集中力って40分だそうだよ。夕方までやってる、その根拠なによ?

落合:これが普通なんだと思う。練習のしかた、やりかたを知らない子にそれを教えてやらないっていうのは指導者の怠慢だと思う。

野村:しかし、凄いわ。昔の野球だよ。

落合:俺は昔の野球を、今の野球界に絶対取り入れなきゃいけないと思っていた方だから。でも、この原因を作ったのはノムさん(のID野球)だからね。この練習しなくなった原因を。

野村:(驚いた様子で)ええっ、ええっ。

落合:自分なりに考えたのは、ノムさんの場合は狩猟民族の考え方なんだと思う。

野村:はじめてきいたわ。

落合:どっちかといえば戦略家でしょ。

野村:まあ、色々考えるのは好き。

落合:でしょ。そういう風に教育していったでしょ。で、相手もそうせざる得ない状況を作っていったでしょ?狩りってそうでしょ?頭で勉強させて、戦略を考えて、誘いこんで、相手を討ってく。教えたのは、そういうことじゃないですか?

野村:俺は、野球とは頭のスポーツやって言ってる。

落合:それは否定しません。ただ、キャンプなんかのやりかたを見ているとね、先にそっちを教えているんだろうな。

野村:ミーティングやんないの?

落合:やんないです。

野村:俺は毎晩ミーティングだよ。

落合:ミーティング嫌いなんですよ。

野村:嫌いとか好きとかじゃなくて。人間って思考と感情っていう二大要素を持ってるのが人間じゃない。存分に活かして活きていくのが当たり前じゃない。

落合:その当たり前のことが考えられないっていう人がいっぱいいるから。だから、うちの場合は頭使うよりも、まずはやらせて身体で覚えさせて、それができるのかできないのか。そうじゃなくても、練習をしない球団だったから。俺、本当に楽天の練習って、この内容で足りてるのかなって感じたことあったもん。毎日報告書くるから。

野村:そうだよ。落合監督、全部情報取りにきてるんだよね。

落合:だから、2月1日キャンプインってなれば、1月30日くらいから全部(スコアラーが)張り付いていますから。

野村:何人もいるの?

落合:十何人かな。

野村:凄い発想だね。十何人もいるの?楽天は3人だったわ。

落合:ある種、情報戦だと思ってるし。やらしててダメなヤツは何人か替えてるから。

野村:連覇の手応え?

落合:充分あります。