東日本(JR東海)の葛西敬之会長が24日、中国にリニアモーターカーを販売することはない考えを示したことについて、サーチナ総合研究所(上海サーチナ)が発表したアンケート結果では、回答者の4割以上が「あまりにも度量が狭いやりかた。けちだ」との見方を示した。

 葛西会長は新幹線を「外国に投げ売りするような技術ではない」として、中国に売ることに反対した。基本的な考えは「技術を盗まれて、おしまい」だった。同会長は、台湾への輸出には賛成した。「ビジネスとして成立すると信じられる。日本の関連メーカーが儲かれば、技術開発にまわせる資金も増え、鉄道会社も恩恵を受けると考えられる」との理由だった。

◆「日本は浮上式リニアモーターを中国に輸出しないという考えを、どう思いますか」との質問に対する回答状況は以下の通り(29日午後5時現在)。

(1)とりたてて非難する必要はない…30.33%

(2)あまりにも度量が狭いやりかた。けちだ…41.26%

(3)分からない…28.42%

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◆解説◆

 中国では上海市内で浮上式リニアモーターカーが営業運転しているが、日本はJRグループの鉄道総合研究所などが別方式の浮上式リニアモーターカー(JR式マグレブ)を開発してきた。

 「上海リニア」はドイツで開発されたトランスラピッド方式で、永久磁石と通常の電磁石を使うが、JR式マグレブは超伝導現象を利用。トランスラピッドは、低コストでの導入、運用が可能だが、車両側コイルと軌道側の隙間(ギャップ)が8ミリメートル程度であるため、地震や地盤の変化に弱いとの指摘がある。JR式では、10センチメートル程度のギャップを確保することが可能で、安全性は高く、より高速運行をする際にも、展望が開けやすいという。ただし、コスト高で、現在は超伝導を確保するための冷却材として必要なヘリウムが、世界的にみてもとりわけ希少な物質という問題点もある。

 日本が高度な技術を必要とする、超伝導現象を利用するリニアモーターカーを開発することを決めたことには、「苦労するだろうが、周辺産業分野における技術力向上も期待できる」との理由もあったという。(編集担当:如月隼人)



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