30日に行なわれたチャンピオンズリーグ(CL)準々決勝ファーストレグ。史上初のフランス勢同士によるCL準々決勝は、リヨンがボルドーをホームに迎え、3―1で先勝した。リヨンはこれまで3度にわたりCL準々決勝に進出したが、戦績は2敗4引き分け。クラブ史上初の価値ある1勝となった。

 「2点差がつく内容ではなかった」とレキップ紙の解説を務めるエマニュエル・プティ氏(元フランス代表)が指摘するように、試合は接戦だった。硬さと疲れの目立ったボルドーは、前半に凡ミスがきっかけで2点を許し、3点目はシソコ(リヨン)のシュートがシャルメ(ボルドー)の手に当たってペナルティーという「厳しい判定」で失った。

 シャルメは完全に顔をそむけた状態でシュートの軌道にスライディングしており、意図的なハンドでないのは明らか。ただし、元審判の目で見れば、「手が身体から離れた位置にありシュートの軌道を変えているため、判定は正当」(レキップ紙)となる。

 この3点目のおかげで、リヨンが圧倒的に優位に立った。レキップ紙が過去の欧州カップの統計を元に出した数字によると、ホームでのファーストレグを3―1で勝ったチームの77%が準決勝にコマを進めている。

 試合後カナルプリュス局のインタビューに答えたリヨンのピュエル監督は、「こういう場合、統計はまったく役に立たない」と冷静だが、選手たちの心理状態にとって大きいのはたしかだ。リヨンはアウェーで敗れても、1点差以内に食い止めれば、悲願のベスト4に名乗りを上げることができる。

 ファーストレグでこのようなはっきりとした優劣がついた原因はどこにあるのか。プティ氏によると、ボルドーの問題のひとつは「層の薄さ」。この試合では、主将のMFアルー・ディアラとセンターバックのマルク・プラニュスを欠いた。これが守備陣の連係ミスの大きな原因と言える。3日前のリーグ杯でマルセイユと戦った消耗から完全に立ち直っていなかったことも、集中力の途切れを生んだ。

 しかし、ボルドーにも同点にもちこむチャンスはいくつもあった。これを阻んだのがフランス代表の守護神、ユーゴ・ロリスだ。カナルプリュス局のゲストコメンテーター、ジェラール・ウリエ氏(フランス代表、リバプール、リヨンなどの監督を歴任)が“マン・オブ・ザ・マッチ”に挙げたように、まさに欧州クラスのスーパーセーブを連発した。

 リヨンのマイナス材料は、この試合で2点をあげたリサンドロ・ロペスのセカンドレグ出場停止。チームリーダーのゴヴが同じく警告累積で出られないのも痛い。しかし、選手層の厚さではボルドーをはるかに上回るリヨンにとって、勝利が絶対条件でない次戦は戦いやすい。この10年間、欧州ベスト4入りという一大目標に向かってチーム作りをつづけてきたリヨンと、昨季フランスの王座にようやく君臨したボルドーの差が明確に表れようとしている。