オールド・トラフォードはサッカービジネスの世界において、最もお金を生む工場の一つだ。テレビ放映権、グッズ、マーケティング…2008-09シーズンの平均観客数が7万5000人を超えるこのスタジアムから、マンチェスター・ユナイテッドは“ガソリン”を手にしている。マンUはアナリストたちから最も評価される、最も魅力的なブランドなのだ。ヨーロッパのクラブの中では、3番目の収入を記録している(1位と2位はレアル・マドリーとバルセロナ)。

だが、マンUは最も負債額の多いクラブでもある。シルヴィオ・ベルルスコーニ氏が保有し、チャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント1回戦でマンUと対戦しているミランと比べると、ミランは売上やブランド力で劣っているが、2つの点でマンUを上回っている。一つは、マンUの半分しかない負債額。そしてもう一つが、獲得した国際タイトルの数だ。

アメリカ『フォーブス』によると、マンUは世界で最も価格の高いクラブだという。その金額は、14億2400万ユーロ(約1737億円)。一方のミランは7億5400万ユーロ(約920億円)の6位。マンUの強みはそのブランド力だ。『ブランド・ファイナンス』によれば、マンUブランドの価格は3億2900万ユーロ(約401億円)とトップで、ミランは1億5400万ユーロ(約188億円)の7位。マンUはマーケティング面でも中国やインドなどに進出しており、その公式サイトは2009年で最もユニークユーザー数が多いサイトとなっている(4億5270万ユーザーに対し、ミランのサイトは1250万ユーザー)。国際監査法人『デロイト』の「フットボール・マネー・リーグ」最新版でも、マンUの売上は3億2700万ユーロ(約399億円)の3位で、ミランは1億9650万ユーロ(約240億円)だ。

しかし、マンUは最もリッチなクラブから、最も負債額の多いクラブへも変貌する。『フォーブス』によれば、09年開始時のマンUの負債額は7億6800万ユーロ(約937億円)だが、昨年6月末の最新決算では、これが8億2100万ユーロ(約1002億円)まで伸びている。ミランは12月31日に決算を発表しているので、単純比較はできない。だが、08年のミランの赤字は6680万ユーロ(約81億5000万円)で、これにはまだカカー売却の利益が含まれておらず、負債額は3億6400万ユーロ(約444億円)だ。

また、国際サッカー歴史統計連盟によると、ミランは20世紀で4番目に多くの勝利を収めたチームであり、マンUは11位となっている。さらに、獲得した国際タイトルでもミランは勝利。CL(旧チャンピオンズカップを含む)はミランが7回でマンUが3回、インターコンティネンタルカップはミランの3回に対してマンUは1回なのだ。