マンチェスター・ユナイテッドに所属するイングランド代表FWウェイン・ルーニーは、年齢を積み重ね、穏やかな結婚式をすませ、落ち着いた父親となった。彼は新たな男となり、以前よりもさらに破壊的な選手となっている。だからこそ、ファビオ・カペッロ監督も彼をプロの手本としただけでなく、チームのお守りと考えているのだ。

イングランド代表はDFジョン・テリーの不倫問題でバランスを失った。この問題でテリーはキャプテンマークを、不倫相手の元恋人だったDFウェイン・ブリッジは、ワールドカップ(W杯)出場への意欲を失うことになっている。ブリッジの決断がさらに大きな溝となるのは、アシュリー・コールが足首骨折で離脱しているからだ(彼が南アフリカでの本大会に間に合うかどうかは分からない)。また、イギリス『サン』によると、同じくゴシップに揺れるA・コールの結婚生活はもはや粉々に砕かれている。

そんなゴタゴタがあってから、初となるイングランド代表の記者会見は、ルーニーにお鉢が回ってきた。イングランド代表は3日、ウェンブリー・スタジアムでエジプト代表との親善試合を迎える。検査の結果、ひざの問題は打撲だけだったことが分かったルーニーは、予定どおりエジプト戦に出場する見込みだ。そのルーニーは、ゴシップ騒動がチームに影響したことを受け、ホームのファンに対してテリーにブーイングをしないように求めている。

「選手たちがブーイングされたり、侮辱されたりするチームの中でプレーしたことがある。素晴らしいことではない。だから、ファンがJT(テリー)に怒らず、すべての選手たちをサポートしてくれるように願っている。僕らはW杯に出場しようとしているところなんだからね」

一方で、ルーニーはテリーを主役とした一連のスキャンダルが、これ以上チームに大きく影響することはないと見ているようだ。

「仲間たちとは話さなかったけど、先日集まったとき、以前と違うことなど何も気がつかなかった。いつもと同じ雰囲気だよ。キャプテンが代わったことだって、ネガティブに影響するとは思わない。キャプテンマークを巻こうが巻くまいが、テリーがリーダーであることに変わりはないからね。それはリオ・ファーディナンドやスティーヴン・ジェラードについても同じだ。僕らはジョンが一緒にいることをうれしく思っている。彼はチャンピオンであり、W杯に勝ちたいなら、僕らには彼が必要なんだ」

カペッロ監督は先日、選手たちに「一面を飾るような振る舞い」をやめ、サッカーだけに集中するように命じている。そうでなければ、代表とは別れを告げることになるということだ。『サン』によれば、カペッロ監督は1日に行われた選手たちとの10分間のミーティングでも、同じコンセプトを繰り返したという。ルーニーは記者会見で、次のように続けている。

「僕ら選手たちにとっては大変なことだ。人々が自分のことを見ていると知っているからね。でももはや、好き嫌いとは関係なく、僕らは手本とされるべき模範になったんだ。だから、ピッチ内外でベストを尽くすようにしなければいけない。子供たちが自分のことを見ているということを思い出しながらね。マンUに加入したとき、僕はいつも外出していたけど、今はほとんどそういうことがない。年齢とともに、僕は変わったんだ。ただ、すごく若いときは、やるべきじゃなかったこともやったけどね。今は家で家族とともに過ごしている。これが良いことであるのは明らかだ」