「ゆとり世代バッシング」に対して、私は違和感を覚えます。前回は、「安易なレッテル貼りは、百害あって一利なし」と述べました。折れやすいタイプは、年長者にも少なからずいます。鬱の多発も、努力が実を結びにくい不況期であることが背景にあるでしょう。若者だけが、特段にひ弱であるわけではありません。ただ、その一方で、問題の若手が多いことも事実です。いつの時代にも、若者は、先行世代とは違った価値観ゆえに、首を傾げられる存在です。であるにしても、しかし・・・今回は、コミュニケーションできない若者の話です。

「知ってますか?トイレで弁当を食べる学生って、けっこういるんですよ」

 こんな話しをしてくれたのは、企業の若手人材向け教育教材の制作で協力していただいている、都内国立大学のA教授です。

「なんでトイレで弁当を食べるんですか?」
「人前でものを食べるのが恥ずかしいというか、イヤなんですよ。体育の授業で、周りに人がいると更衣室であっても着替えができない学生も少なくないんです」
「それは男子学生ですか?」
「女子もいるけど、男子に多いですね」

 ネットで流布されている「便所飯」については、私も聞いたことがあります。ただ、それは友達の輪に入れなくて、孤立している姿を見られるのがイヤで、トイレで弁当を食べる、というのがもともとの発祥だったはず。A教授の説明は、それと微妙に違っているような気がします。

「そんな若手が、これから企業に入っていくんですよ。大変ですよね」
 ご自身も、企業でマネジャー経験のあるA教授は、ため息をつきました。

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