チャンピオンズリーグの各試合が終わったあとで、UEFAが発表するデータの中に、特に注意を引く興味深いものが一つある。出場時間内に各選手たちがどれだけの距離を走ったかというものだ。より運動量を求められる選手たちなら10〜12キロ。ストライカーなら6、7キロといったところか。だが時に、普段ではないような数字が飛び出たりもする。

ロシアのルビン・カザンと敵地で対戦したバルセロナの選手のことだ。何度となくチャンスをつくりながら、スコアレスドローに終わった彼らは、極寒の気温を忘れるためということもあって、全員が走っている。イニエスタ、シャビ、ケイタ、ヤヤ・トゥーレ、そしてビクトル・バルデス。そう、GKの彼もまた長距離を走っているのだ。

バルデスが走った距離は、6キロ880メートル。ピッチを68度も行き来したことになる。これはGKのデータとして多いのだろうか? それとも少ないのだろうか? それは、彼の同僚たちのデータを見れば分かることだ。ミランとサン・シーロで対戦したレアル・マドリーのイケル・カシージャスは、3キロ270メートル。アーセナルGKマヌエル・アルムニアは4.2キロ。バルサと同じ条件下で戦ったルビンのセルゲイ・リジコフですら、4.8キロにとどまっている。

バルデスがセーブしなければならなかったのは、実質的に2度ほどだ。ではなぜ、彼はそれほど走らなければならなかったのか? それはボールポゼッションを見れば分かるだろう。バルサのボール保持率は71%。ゴールから遠いところでボールが動くなか、バルデスは寒さで固まることを避けるために、動き続けなければならなかったのだ。バルセロナのゴールマウスを守るには、ただ受け身の“観客”になっていてはいけないということである。