シェア急上昇!iPhoneを上回ったBlackBerryの戦略【世界のモバイル】
メールに特化したスマートフォンとして海外のビジネスユーザーに大人気のBlackBerry。海外メーカー端末が弱いといわれる日本や韓国にも進出するなど、今や世界中でその姿を見かけるようになっている。国際空港の到着ロビーでスーツ姿の海外からの渡航客のほとんどがBlackBerry端末を持っている、そんな光景も今ではめずらしくないほどだ。
BlackBerryの販売も好調で、マーケットシェアは大手メーカーも無視できない存在になりつつある。ガートナーの調査によると、2009年第2四半期のBlackBerry全端末出荷台数は767万8,900台で、世界シェアは2.7%。ここのところ勢いのないMotorolaがシェア5.6%、Sony Ericssonが4.7%であり、BlackBerryはビジネス向けモデルだけで両社の半数のシェアにまで達しているのである(ちなみにiPhoneの同期のシェアは1.9%)。
BlackBerry端末と言うと日本では昨年発売されたBlackBerry Boldの人気が高く、BlackBerry=Bold、という認識の日本人ユーザーも多いだろう。しかし海外でBlackBerry Bold以外にも多数のモデルが販売されており、BlackBerry端末の中から好みのモデルを選ぶことが可能になっている。BlackBerryの開発・販売元のResearch In Motion(RIM)も、ビジネスユーザーだけではなくコンシューマー層までも見据えた端末ラインナップを展開中だ。
たとえばアメリカの映画を見ると、キャリアレディーが細身のBlackBerry端末を持っているシーンをよくみかける。そのモデル名はBlackBerry Pearlで、スリムなボディーサイズはスマートフォンというより高級な携帯電話というイメージだ。またこのPearlを折りたたみスタイルにしたPearl Flipも登場、コンパクトなスタイルはこれまた女性に受けているという。ボディーカラーは光沢のあるブラック、ホワイト、ピンクなどで、やはり女性好みな色合いが揃っている。
一方Boldに代表されるフルキーボード端末も複数のモデルが展開されている。Boldを一回りコンパクトにしたBlackBerry Curve 8900やCDMAとW-CDMAに対応して世界中での利用を可能にするBlackBerry Tour 8630など、サイズや用途別のバリエーションが用意されているのだ。また登場時はiPhone対抗といわれたタッチパネル対応のBlackBerry StormのようにBlackBerry=キーボード、という固定概念を打ち破る端末も登場している。
従来、BlackBerryのモデル名は数字のみで表されていた。日本でもNTTドコモが最初に発売した製品名はBlackBerry 8707hである。だがここまで説明したように、最近のモデルはBoldやCurveのようにシリーズ別に愛称がつけられており、ビジネス用途に強い製品ながらも親しみを感じるものになっている。BlackBerryがシェアを拡大しているのは製品数が増えたこともあるが、親近感あるネーミングを採用したことでコンシューマー層に買いやすいイメージを与えている点も大きいだろう。
さてBlackBerryのハードウェアの特徴といえば、液晶下部に配置されたトラックボールである。しかし数年前までは本体右側にあるジョグホイールがBlackBerryの代名詞であった。右手で端末を握りながら、常時親指でジョグホイールそ操作しながらメールをチェックする、そんな姿がBlackBerryの典型的な使い方だったのだ。今のBlackBerry端末はブラウザ機能が強化されたりメディアプレーヤーが搭載されるなどメール端末から脱皮しつつあり、そのためトラックボールオペレーションが標準搭載となったのだろう。
だがこれも次のモデルからはタッチ式の光学トラックパッドに置き換わるようだ。発売されたばかりのBlackBerry Curve 8520がこのポインティングデバイスを搭載したのを始めとして、Boldの後継機として噂されている「Bold 9700」も採用が決まったようである。物理的な「ボール」の搭載を廃止することで、BlackBerry端末はさらに薄く、使いやすく、スタイリッシュに進化していくことになるようだ。
市場ではiPhoneが一人勝ちし、その他のスマートフォンメーカーがいかにAppleを追いかけるか、という話題でもちきりである。しかしBlackBerryの信頼性あるメールサービスを代替できる他のスマートフォンソリューションはまだ現れていない。またアプリケーションストア「BlackBerry App World」の展開を数カ国で始め、iPhoneのようにアプリケーションを手軽に購入できるようになっている。アプリケーションに関してもiPhoneの「App Store」の豊富なアプリケーション数にBlackBerryは追いついていないと言われているが、ビジネスユーザーにとって重要なのは提供されるアプリケーションの数ではなく端末のセキュリティーの高さである。端末の信頼性とバリエーションの広さで今後もBlackBerryは着々と市場シェアを増やしていくだろう。
山根康宏
著者サイト「山根康宏WEBサイト」
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BlackBerryの販売も好調で、マーケットシェアは大手メーカーも無視できない存在になりつつある。ガートナーの調査によると、2009年第2四半期のBlackBerry全端末出荷台数は767万8,900台で、世界シェアは2.7%。ここのところ勢いのないMotorolaがシェア5.6%、Sony Ericssonが4.7%であり、BlackBerryはビジネス向けモデルだけで両社の半数のシェアにまで達しているのである(ちなみにiPhoneの同期のシェアは1.9%)。
たとえばアメリカの映画を見ると、キャリアレディーが細身のBlackBerry端末を持っているシーンをよくみかける。そのモデル名はBlackBerry Pearlで、スリムなボディーサイズはスマートフォンというより高級な携帯電話というイメージだ。またこのPearlを折りたたみスタイルにしたPearl Flipも登場、コンパクトなスタイルはこれまた女性に受けているという。ボディーカラーは光沢のあるブラック、ホワイト、ピンクなどで、やはり女性好みな色合いが揃っている。
女性ユーザーに人気のPearlシリーズ |
一方Boldに代表されるフルキーボード端末も複数のモデルが展開されている。Boldを一回りコンパクトにしたBlackBerry Curve 8900やCDMAとW-CDMAに対応して世界中での利用を可能にするBlackBerry Tour 8630など、サイズや用途別のバリエーションが用意されているのだ。また登場時はiPhone対抗といわれたタッチパネル対応のBlackBerry StormのようにBlackBerry=キーボード、という固定概念を打ち破る端末も登場している。
従来、BlackBerryのモデル名は数字のみで表されていた。日本でもNTTドコモが最初に発売した製品名はBlackBerry 8707hである。だがここまで説明したように、最近のモデルはBoldやCurveのようにシリーズ別に愛称がつけられており、ビジネス用途に強い製品ながらも親しみを感じるものになっている。BlackBerryがシェアを拡大しているのは製品数が増えたこともあるが、親近感あるネーミングを採用したことでコンシューマー層に買いやすいイメージを与えている点も大きいだろう。
さてBlackBerryのハードウェアの特徴といえば、液晶下部に配置されたトラックボールである。しかし数年前までは本体右側にあるジョグホイールがBlackBerryの代名詞であった。右手で端末を握りながら、常時親指でジョグホイールそ操作しながらメールをチェックする、そんな姿がBlackBerryの典型的な使い方だったのだ。今のBlackBerry端末はブラウザ機能が強化されたりメディアプレーヤーが搭載されるなどメール端末から脱皮しつつあり、そのためトラックボールオペレーションが標準搭載となったのだろう。
だがこれも次のモデルからはタッチ式の光学トラックパッドに置き換わるようだ。発売されたばかりのBlackBerry Curve 8520がこのポインティングデバイスを搭載したのを始めとして、Boldの後継機として噂されている「Bold 9700」も採用が決まったようである。物理的な「ボール」の搭載を廃止することで、BlackBerry端末はさらに薄く、使いやすく、スタイリッシュに進化していくことになるようだ。
タッチパネルBlackBerryのStorm(左)と、小型で光学トラックパッド搭載のCurve 8520(右) |
市場ではiPhoneが一人勝ちし、その他のスマートフォンメーカーがいかにAppleを追いかけるか、という話題でもちきりである。しかしBlackBerryの信頼性あるメールサービスを代替できる他のスマートフォンソリューションはまだ現れていない。またアプリケーションストア「BlackBerry App World」の展開を数カ国で始め、iPhoneのようにアプリケーションを手軽に購入できるようになっている。アプリケーションに関してもiPhoneの「App Store」の豊富なアプリケーション数にBlackBerryは追いついていないと言われているが、ビジネスユーザーにとって重要なのは提供されるアプリケーションの数ではなく端末のセキュリティーの高さである。端末の信頼性とバリエーションの広さで今後もBlackBerryは着々と市場シェアを増やしていくだろう。
山根康宏
著者サイト「山根康宏WEBサイト」
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