レッドソックスの松坂大輔投手の様子がおかしい。4月9日に行われたレイズとの試合、今季初の登板となった松坂投手は、メジャー移籍後ワーストタイの3本塁打を浴びるなど、5回1/3を投げ9安打4失点。続く2度目の登板となった14日のアスレチックス戦では、初回にいきなり打者一巡の猛攻を受け5点を失い、1回で降板してしまった。松坂投手はこれまでメジャーで63試合に登板しているが、初回で降板するのは初めてのことだ。

この不調を受け、レッドソックスは松坂投手の右肩に疲労があると判断、15日間の故障者リスト入りを決断した。ケガのようなハッキリとした症状が出ているわけではないが、球団やテリー・フランコナ監督は、松坂投手がWBC出場の“ツケ”が出ていると見ているようだ。

フランコナ監督は14日の試合後、松坂投手の状態について「WBCに向けて早い段階から調整をしたことが原因なのではないか」と不調の原因を分析。そして「最も心配していたWBCの疲れが出ているようだ」と、WBCでMVPに輝いた“激投”の影響が出ていることを示唆している。

また、地元ボストン・グローブ紙が運営するブログ「Boston Dirt Dogs」は、「Let Japan Pay His Salary(日本に彼の給料を払わせろ)」と過激な見出しの記事を掲載。WBCで“燃え尽きてしまった”ようにも見えるピッチングに怒り、「松坂の年俸800万ドル+出来高払いの請求書を日本に送れ」と息巻いている。

もともとメジャーのいくつかの球団は、選手に負担がかかるだけで、球団のメリットがほとんどないWBCには否定的だ。レッドソックスは松坂投手を日本代表に送り出したとはいえ、球数や登板間隔を厳しくチェックするなど、シーズンへの影響を最小限にとどめられるよう、目を光らせていた。それでもなお、昨年18勝を挙げた先発の柱である松坂投手が「WBCの疲れ」で不調なのだとしたら……。球団や地元ファンの怒りの矛先がWBCに向くのは想像に難くない。

選手を供出する側の各球団の協力を得られなければWBCが「世界一決定戦」の舞台とはなり得ないだけに、松坂投手の不調は次回大会にも影響を及ぼす、尾を引く問題となりそうだ。