話題の松山ケンイチ主演『銭ゲバ』。昭和40年代のマンガをそのまま現代に置き換え、野望の青年が貧困からのし上る問題作なのだが、そのストーリーの暗さと、主人公が殺人を重ねるショッキングな設定などから視聴率も苦戦中。このままでは、松山ケンイチの役柄としても少々マイナスイメージになってしまう。そんな難しい役をこなすマツケンがここ一番“輝けない”理由は他にもあった。


松山演じる『銭ゲバ』の主人公、風太郎のキャラクターがいまいち輝かない。
理由はいくつかあるが、その一つは“前髪”だ。
“暗っぽい青年”を演出する為にブラック・ジャックみたいに前髪を流しているのだが、それが「ケガした方の目」をかくしている為にもう一つの目でしか演技が出来ない。
トレードマークの“柴犬みたいな口”も今回は、時々ニヤリと笑う程度であとは結んだばっかり。これでは表情が読み取れない。

二つ目は背の高さ。
もともとマンガの『銭ゲバ』主人公「風太郎」はチビで風采もあがらない男。すらっと背が高い風太郎では、「〜ズラ」のセリフが決まらない。
背筋を“ひん曲げて”歩いていた『デスノート』のL役と違い、立っても座っても他の出演者よりも「顔の位置が高い」マツケンは、ストーリー展開に重要な“室内の場面”で画面に納まりにくいのだ。

「致命的」な三つ目は、他の共演者が“上手すぎる”事。
お嬢様役のミムラや、ベテラン山本圭はまだしも、顔にアザのある三國家の二女:茜役の木南晴夏や、「弟殺し」の疑いをかけ、執拗に風太郎を追い回す刑事:荻野を演じる宮川大輔、明るい「伊豆屋」の女房役のりょうなど、思いもよらない「脇役キャスト」が“必要以上”に効いていてる。

そして風太郎のダメ父ちゃん、蒲郡健蔵(がまごおり けんぞう)を演じる椎名桔平が、ドラマをぐいぐい盛り上げている。酒びたりの暴力父・健蔵は、風太郎が「金持ち」以上に憎い存在。憎々しい男なのだが椎名が演じると、ひょうひょうとして憎めない。
風太郎の“埋めた死体”を先に掘り返し、警察の手から逃れさせた代わりに、息子を「金づる」にしようとたくらむ父、今後の展開に目が離せない。

そんな桔平の“怪演ぶり”に、松山ケンイチ「十八番」の“キャラ演技”が喰われて薄くなっている。この父が劇中で生きている限り、『銭ゲバ』の松ケンは輝けないのではないか?

そうでもない。

今回、記者はこれが言いたくて出しゃばってきた。
先週“初お目見え”だった定食屋「伊豆屋」のダメ息子真一(松山の二役。)の登場シーン。”流れ者風グラサン男“の真一は、新しい事業を始める為に「もう何度も煮え湯を飲ませた」
実家に金を借りに来る。
短いシーンなのだが、ほんの一瞬マツケンの横顔があらわになる。その表情だけで「超ストイック」な『銭ゲバ』風太郎の対極にある「甘えの象徴」真一のキャラクターが理解できた。独特なセリフも上手かったが、この松山ケンイチの演じ分けはすごい。

やはり騒がれるだけの役者なのである。

(編集部:空野ひこうき)

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