後天性免疫不全症候群(AIDS)を発症させるHIVウイルス(ヒト免疫不全ウイルス)に対して、さまざまな抗ウイルス薬が開発されていますが、今までのアプローチとは全く異なった新薬が開発中だそうです。

なんとHIVウイルスの自滅を促進させるという、とんでもない新薬とのこと。

詳細は以下の通り。
HIV Mutates to Death With New Drug : Discovery News

この記事によると、突然変異を頻繁に繰り返すことで抗ウイルス薬に対して強い抵抗力を保持しているHIVウイルスに対して、新しい薬の開発が行われているそうです。

これはKoronis Pharmaceuticalsという会社によって開発されている「KP-1461」と呼ばれる薬で、これまでのウイルスの複製を阻害するはたらきを持った抗ウイルス薬とは異なり、HIVウイルスの突然変異を促進するものとのこと。

HIVウイルスは非常に突然変異に依存しているウイルスですが、増殖の過程で生じた複製のミスを修正する機構が備わっているDNAウイルスとは異なり、増殖の過程で複製のミスが発生しやすいRNAウイルスであるため、突然変異を促進された場合に自滅する可能性がある模様。

なお、昨年13人の患者に対して実際に行われた臨床実験の結果、いくらかの患者には効果が見られませんでしたが、もう一方では劇的な効果が見られたとしており、科学者たちは研究成果の発表のための準備をしているそうです。

ちなみにKP-1461の副作用は今のところ明らかになっていませんが、ウイルスに対して突然変異を引き起こす薬であるため、アメリカ食品医薬品局は患者自身のDNAで危険な突然変異を引き起こすのではないかという懸念を表明しています。

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