フランスのアリヨ=マリ内相が17日、リーグ・アン、メッスのサポーター団体「ラ・ファクション」とパリ・サンジェルマン(PSG)のサポーター団体「ブーローニュ・ボーイズ」の解散を発表した。

 「ラ・ファクション」は極右的色彩の濃いおよそ40人のサポーターから成る団体で、2月のリヨン対メッス戦において、ナチス式の敬礼とともに「ジークハイル」(ヒトラーを称える掛け声)を合唱した。メッスのサポーターには、この団体に所属してはいないが、モロッコ人選手に人種差別的な野次を浴びせ、逮捕された人物もいる。

 一方、「ブーローニュ・ボーイズ」は、およそ800人のサポーターを擁する有力団体。解散の直接の引き金となったのは、サポーターの一部がリーグ杯決勝のランス戦で、北部人を「小児性愛者、失業者、近親交配者」と侮辱する横断幕を掲げた事件だが、これまでにも人種差別的な言動や暴力事件で数々のトラブルを生んできた。

 「ラ・ファクション」の行為には明らかな悪意があるが、「ブーローニュ・ボーイズ」の場合は、厳密には“人種”差別とは性質の異なるもの。横断幕のフレーズは公開中のコメディ映画のタイトルをもじったもので、冗談のつもりだったと感じられなくもない。今回のケースは、一部のサポーターの軽はずみな行動が大組織の解散にまで発展し得ることを示した。差別が深刻な社会問題となっているフランスにおいて、行政が個人の行動の責任の重さを知らしめるために断固たる対処を迫られた例といえる。

 なお、PSGにクラブとしての責任を問う処分については、プロサッカー連盟の規律委員会が10日に公聴会を行なったが、現在、司法の捜査が進行中であることにかんがみ、決定は3週間後に延期された。PSGにとって最悪の場合、減点が科される可能性がある。PSGは5試合を残して降格圏内の18位。減点処分のために降格が決まってしまうおそれもある。