【最新ハイテク講座】デジカメはどうして写真が撮れるのか? 「CCD」「CMOS」技術
カメラといえば、今ではフィルム式カメラに代わってデジタルカメラが一般的となった。デジタルカメラは様々な機器に搭載され、我々の生活に不可欠なものとなりつつある。
日頃利用しているデジタルカメラやカメラ付きケータイのカメラで写真が撮れるのは、「CCD」や「CMOS」という電子部品のおかげなのだ。これらの部品はスキャナーや指紋認証などでも利用されている。
ところで「CCD」や「CMOS」は、なぜ写真を撮影できるのだろうか。また「CCD」と「CMOS」は何が違うか、ご存じだろうか?
今回は、デジタル写真が誕生した秘密、CCDとCMOSの技術についてみていこう。
■デジタル写真を支える技術
デジタルカメラは、目に見える映像をデジタル化して記録する装置で、静止画を記録する「デジタルスチルカメラ」および動画を録画する「デジタルビデオカメラ」の総称だ。今日では「デジタルスチルカメラ」を単に「デジタルカメラ」と呼ぶことが多くなってきている。
そんなデジタルカメラには、映像を捉えるための“固体映像素子”としてCCDまたはCMOSが使用されている。これらの“固体映像素子”は、銀塩カメラのフィルムに相当するもので被写体をデジタル化する機能をもっている。ただ、“固体映像素子”は、それ自体に画像データーを保存できないため、データーは内蔵または外部の記憶メモリーに記録している。直感的なイメージとしては、CCDまたはCMOS+記録装置(フラッシュメモリーなど)が銀塩カメラのフィルムに相当する訳だ。
では、デジタル写真は、どのようにして“固体映像素子”で撮影できるのだろうか。
また、CCDとCMOSの違いはどこにあるのだろうか? それぞれの特徴について詳しくみていこう。
●CCDの技術
CCDとは、“Charge Coupled Device(電荷結合素子)”の略称で、光を電荷に変換する半導体の一種だ。電荷とは物体が帯びている電気を意味するので、CCDは文字どおりに光を電気信号に変換する装置という訳なのだだ。
では、光はどのように過程を経て電気信号に変換されるのだろうか?
実は「光電効果」と呼ばれる物理現象を利用している。光電効果とは、物質が光を吸収した際に物質内部の電子が励起(れいき)※またはそれに伴って電子が飛び出したり、光伝導や光起電力が現れることを指す。励起された電子は「光電子」と呼ばれ、光電子が物質の表面から放出される現象を「外部光電効果」、逆に光の照射により物質内部の伝導電子が増加する現象を「内部光電効果」と呼ばれている。
光電効果の現象は、ドイツの物理学者ヘルツが1887年に陰極に紫外線を照射した祭に電極間の放電現象が起こって電圧が下がる現象としてすでに見出されていた。のちにアインシュタインが「光量子仮説」により光電効果を理論的に説明し、1921年にノーベル物理学賞を受賞している。
※何らかのエネルギーを得ることで、今ある状態からより高い状態へ移ること
この原理を利用して光を電気信号へと変換する訳だが、実際には、この現象をデーターとしては出力するために画素という素子を使うのだ。デジタルカメラの性能表にある「**画素」という表記の画素だ。
一般的なCCDでは、1画素に応じた受光部(フォトダイオード※)は2次元に配列されている。つまり、130万画素のデジタルカメラであれば、1280×1024(=約130万)の受光部が一面上に並んでいるという訳だ。
※光の強弱を電荷に変える半導体。外光を効率良く捉えられるように通常マイクロレンズが付いている。
1画素はCCDは、フォトダイオード1つに対して隣接する垂直転送CCDをまとめたものが1画素※と呼ばれる。130万画素であれば、最低でも1280×1024(=約130万)個の素子が配置されていることになる。
フォトダイオードが光を捉えると電荷が発生し、その電荷は垂直転送CCDにより水平転送CCDに転送され、水平方向に移動して電気信号として出力される。CCDの種類によって多少の違いはあるものの、基本的にはこのような仕組みで光を電気信号に変換して捉えている。
※「1ピクセル」とも呼ばれる。デジタル画像では、画像を構成する点に相当する
●CMOSの技術
CMOSとは、“Complementary Metal-Oxide Semiconductor(相補型金属酸化膜半導体あるいは相補性金属酸化膜半導体)”の略称。デジタルカメラでは「CCD」と並ぶ撮像素子(CMOSイメージセンサー)を意味するが、本来は半導体の製造プロセスのことで、メモリーとして使用する部品やオートフォーカスのためのセンサーに使用する部品も「CMOS」と呼ばれている。
具体的に説明すると、メモリーはLSIの上にトランジスターの素子を並べているのに対し、CMOSイメージセンサーでは代わりにフォトダイオードとアンプが並べられている。CMOSイメージセンサーでは、2次元座標のある場所の光の強さをデーターとして読み込むことができるので、これにより映像を記録できる。通常デジタルカメラで使用されるCMOSイメージセンサーでは、光の強さとともに色もデーターも読み込んでいる。
■どちらが優秀なのか? CCD vs CMOS
CCDとCMOSは、全く違う技術である訳だが、では、どちらが優秀なのか?
まずコスト面を考えてみると、CMOSはメモリーと同じプロセスで製造できる点が大きな利点だ。汎用の半導体製造装置での大量生産が可能なので、特殊な専用機器を必要とするCCDに比べて安価に製造できる。次に消費電力だが、通常はCMOSのほうがCCDよりも素子が小さく消費電力も低く抑えられている。
次に組み込んだ機器の大きさについて触れると、CMOSは製造プロセスにロジック回路を組み込めるので、CCDを採用した製品に比べて機器を小型化しやすい。
CMOSは良いところばかりに見えるかもしれないが、泣き所もある。暗い場所では、CMOSは素子自体が不安定になり、CCDに比べて画像にノイズが入りやすくなるのだ。これは画質を−優先するデジタルカメラでは致命的ともいえるが、CMOSの技術革新により、現在では実用上問題のないレベルとなっているようだ。
以上のように、CCDとCMOSとでは、機能的な面で一長一短あるものの、それぞれの弱点は技術の進歩とともに改善される方向にある。
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日頃利用しているデジタルカメラやカメラ付きケータイのカメラで写真が撮れるのは、「CCD」や「CMOS」という電子部品のおかげなのだ。これらの部品はスキャナーや指紋認証などでも利用されている。
ところで「CCD」や「CMOS」は、なぜ写真を撮影できるのだろうか。また「CCD」と「CMOS」は何が違うか、ご存じだろうか?
今回は、デジタル写真が誕生した秘密、CCDとCMOSの技術についてみていこう。
デジタルカメラは、目に見える映像をデジタル化して記録する装置で、静止画を記録する「デジタルスチルカメラ」および動画を録画する「デジタルビデオカメラ」の総称だ。今日では「デジタルスチルカメラ」を単に「デジタルカメラ」と呼ぶことが多くなってきている。
そんなデジタルカメラには、映像を捉えるための“固体映像素子”としてCCDまたはCMOSが使用されている。これらの“固体映像素子”は、銀塩カメラのフィルムに相当するもので被写体をデジタル化する機能をもっている。ただ、“固体映像素子”は、それ自体に画像データーを保存できないため、データーは内蔵または外部の記憶メモリーに記録している。直感的なイメージとしては、CCDまたはCMOS+記録装置(フラッシュメモリーなど)が銀塩カメラのフィルムに相当する訳だ。
では、デジタル写真は、どのようにして“固体映像素子”で撮影できるのだろうか。
また、CCDとCMOSの違いはどこにあるのだろうか? それぞれの特徴について詳しくみていこう。
●CCDの技術
CCDとは、“Charge Coupled Device(電荷結合素子)”の略称で、光を電荷に変換する半導体の一種だ。電荷とは物体が帯びている電気を意味するので、CCDは文字どおりに光を電気信号に変換する装置という訳なのだだ。
では、光はどのように過程を経て電気信号に変換されるのだろうか?
実は「光電効果」と呼ばれる物理現象を利用している。光電効果とは、物質が光を吸収した際に物質内部の電子が励起(れいき)※またはそれに伴って電子が飛び出したり、光伝導や光起電力が現れることを指す。励起された電子は「光電子」と呼ばれ、光電子が物質の表面から放出される現象を「外部光電効果」、逆に光の照射により物質内部の伝導電子が増加する現象を「内部光電効果」と呼ばれている。
光電効果の現象は、ドイツの物理学者ヘルツが1887年に陰極に紫外線を照射した祭に電極間の放電現象が起こって電圧が下がる現象としてすでに見出されていた。のちにアインシュタインが「光量子仮説」により光電効果を理論的に説明し、1921年にノーベル物理学賞を受賞している。
※何らかのエネルギーを得ることで、今ある状態からより高い状態へ移ること
この原理を利用して光を電気信号へと変換する訳だが、実際には、この現象をデーターとしては出力するために画素という素子を使うのだ。デジタルカメラの性能表にある「**画素」という表記の画素だ。
一般的なCCDでは、1画素に応じた受光部(フォトダイオード※)は2次元に配列されている。つまり、130万画素のデジタルカメラであれば、1280×1024(=約130万)の受光部が一面上に並んでいるという訳だ。
※光の強弱を電荷に変える半導体。外光を効率良く捉えられるように通常マイクロレンズが付いている。
デジタルカメラのCCD |
1画素はCCDは、フォトダイオード1つに対して隣接する垂直転送CCDをまとめたものが1画素※と呼ばれる。130万画素であれば、最低でも1280×1024(=約130万)個の素子が配置されていることになる。
フォトダイオードが光を捉えると電荷が発生し、その電荷は垂直転送CCDにより水平転送CCDに転送され、水平方向に移動して電気信号として出力される。CCDの種類によって多少の違いはあるものの、基本的にはこのような仕組みで光を電気信号に変換して捉えている。
※「1ピクセル」とも呼ばれる。デジタル画像では、画像を構成する点に相当する
●CMOSの技術
CMOSとは、“Complementary Metal-Oxide Semiconductor(相補型金属酸化膜半導体あるいは相補性金属酸化膜半導体)”の略称。デジタルカメラでは「CCD」と並ぶ撮像素子(CMOSイメージセンサー)を意味するが、本来は半導体の製造プロセスのことで、メモリーとして使用する部品やオートフォーカスのためのセンサーに使用する部品も「CMOS」と呼ばれている。
具体的に説明すると、メモリーはLSIの上にトランジスターの素子を並べているのに対し、CMOSイメージセンサーでは代わりにフォトダイオードとアンプが並べられている。CMOSイメージセンサーでは、2次元座標のある場所の光の強さをデーターとして読み込むことができるので、これにより映像を記録できる。通常デジタルカメラで使用されるCMOSイメージセンサーでは、光の強さとともに色もデーターも読み込んでいる。
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次に組み込んだ機器の大きさについて触れると、CMOSは製造プロセスにロジック回路を組み込めるので、CCDを採用した製品に比べて機器を小型化しやすい。
CMOSは良いところばかりに見えるかもしれないが、泣き所もある。暗い場所では、CMOSは素子自体が不安定になり、CCDに比べて画像にノイズが入りやすくなるのだ。これは画質を−優先するデジタルカメラでは致命的ともいえるが、CMOSの技術革新により、現在では実用上問題のないレベルとなっているようだ。
以上のように、CCDとCMOSとでは、機能的な面で一長一短あるものの、それぞれの弱点は技術の進歩とともに改善される方向にある。
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