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【最新ハイテク講座】今や必需品の「リチウムイオン電池」 どうして爆発事故が起こるのか
2008年02月09日09時00分
さまざまな電子機器の「リチウムイオン電池」 写真一覧(3)
普段当たり前のように利用しているリチウムイオン電池だが、一体どのような電池なのだろうか。また回収騒ぎとなったノートパソコン用リチウムイオン電池の爆発事故の多発は何故起こったのだろうか。安全面は本当に大丈夫か?
いろいろと疑問をお持ちの読者もいるであろう。そこで今回は、リチウムイオン電池についてみていこう。
■どんな種類があるの?
リチウムイオン電池とは、正極と負極との間でリチウムイオンを交換し、充電や放電を繰り返し行える電池だ。理論的には1960年代に発案されていたが、実用化は1980年にジョン・グッドイナフらにより提唱された「リチウム遷移金属酸化物正極の提案」を待たねばならなかった。
1980年代には負極の活性化物質に金属リチウムを利用した金属リチウム電池が製品化されたが、金属リチウムが化学反応を起こしやすいことから発火事故が多発し、一般への普及には至らなかった。1990年代に入ると負極の素材にグラファイト、電解質溶媒に炭酸エチレンを使用しすることで、今日のような安定したチウムイオン電池が実用化された。
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| 携帯電話のリチウムイオン電池 | デジカメのリチウムイオン電池 |
現在のリチウムイオン電池は、形状や正負極に使用する素材の違いで、次のような種類に分類できる。
●形状による分類
・円筒型
もっとも低コストで高容量の電池が作れる形状。ただし、複数のセルを繋げる場合には、すき間ができてしまい、バッテリー密度が小さくなってしまう。鉄缶のみ。
・角型
鉄缶とアルミ缶の2種類が存在し、それぞれ電池の極性が逆になる※1。現在、軽いアルミ缶が主流となっている。電池の充放電の際に厚さが増すため、厚さが5mmの缶は100回充電後には厚さ6mmになることもある。そのため、設計時に電池内に適切な隙間を持たせておく必要がある。
※1 鉄缶:缶壁が負極、ヘッダー部が正極。アルミ缶では逆。
・ラミネート型
角型で金属の代わりにラミネートフィルムを用いたもの。電池内の電解液を従来の金属缶と同じ液体にしたものと、ゲルに電解液を注入したポリマー風のものが存在する。いずれも先に説明した角型と同様に充放電によって厚さが増す。
●正極材料による分類
代表的な素材は、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)とコバルト酸リチウム(LiCoO2)、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)の3種類に大別できる。ニッケル酸リチウムは高容量だが安全性に問題があり、実用化が難しいと言われている。マンガン酸リチウムは容量が若干少ないものの、もっとも安価で安全性にも優れている。
これらの性質により、コバルト酸リチウムはもっともバランスのとれた正極材料として使用されてきたが、高価で価格変動が大きいコバルトを素材としているため、最近ではマンガン系を使用する動きが強くなってきている。そのひとつの試みがマンガンとコバルト、もしくはマンガンとニッケルによる複合材だ。いずれも充電電圧は4.2Vだが、マンガン系はニッケル系に比べて平均電圧が0.1V程度と若干高く、ニッケル系は電圧が低いところで大きな容量を持っている点で優れている。
●負極材料による分類
素材としてのカーボン材だが、構造の違いでコークス系とグラファイト系の2種類に分類できる。コークス系は、放電による電圧の変化が大きいので電池の残量が管理しやすい。グラファイト系は、コークス系に比べて高容量が得られることと低温での特性などに優れた性質から主流の素材となっている。
以上をまとめると、現在主流のリチウムイオン電池は、正極にコバルト系、負極にグラファイト系を用いた円筒型または角型の電池となる。具体的にいえば、携帯電話ではアルミ缶の角型、ノートパソコンでは円筒型が主に使用されている。
■リチウムイオン電池は、どこが優れているの?
リチウムイオン電池は、それまでの電池に比べて以下のような利点を持っている。
1.小型でありながら大容量の電気を蓄えられる
2.軽量
3.高速充電が可能
4.自己放電が非常に少ない
5.カドミウムのような有害物質を含まない
6.メモリー効果※2が小さい
7.使用可能な温度帯が広い
※2 電池を完全に使い切らずに充放電を繰り返すと、通常よりも使用時間が極端に少なくなる現状。ニカド電池やニッケル水素電池で顕著にあらわれる
ところで、リチウムイオン電池はこれまでの電池に比べてどこが良いのだろうか?
| 項目 | 鉛蓄 | ニッカド | ニッケル水素 | リチウムイオン |
| コスト | ○ | △ | △ | × |
| メモリー効果 | ○ | × | △ | ○ |
| 大電流放電 | ○ | △ | △ | × |
○:優れている、△:どちらともいえない、×:劣っている
参考:比較表(ベイサン)
鉛電池は自動車や無停電電源などに広く使用され、100年以上の歴史を持っている。鉛電池は容積が大きく重いうえに低温特性が悪いなどの短所を持っているが、ほかの二次電池に比べて圧倒的にコストが低く、大電流を取り出せることから今日でも大量に使用されている。
ニッカド電池はシェーバー用のバッテリーとして登場した。大電流が取り出せることから電気ドリルなどの電動工具に大量に使用されるようになったが、後発のニッケル水素電池やリチウムイオン電池に比べて容量あたりの重量が重く、メモリー効果が顕著にあらわれることから急速に衰退することになる。よく知られているように、原料であるカドミウムは環境汚染物質であり、ヨーロッパでは回収が義務付けられている。
ニッケル水素電池はニッカド電池に代わる二次電池として登場した。容積容量密度がリチウムイオン電池と同等で、リチウムイオンよりもコストが低く抑えられることから安価なノートパソコンで使用された。ニッケル水素電池では、ニッカド電池で問題となったメモリー効果の解消に一度深放電※3させればならず、実用的な面で不便さが発生したのに加え、同容量のリチウムイオン電池比べて重いために現在はリチウムイオン電池がノートパソコン用バッテリーの主流となっている。
※3 規定以上放電してしまった状態が長時間続いた状態
以上のような理由により、最近では二次電池の大半がリチウムイオン電池になりつつある。
■リチウムイオン電池は、なぜ爆発するのか?
リチウムイオン電池は負極を金属リチウムから代替え材料に変更したことで、発火事故を防げるようになったはずだが、未だに爆発事故が発生している。
なぜ爆発するのだろうか?
実は、リチウムイオン電池は非常にデリケートな電池であるにもかかわらず、常用領域と危険領域が近接していることに理由があるのだ。
バッテリーの充電時に電圧が上昇すると、正極および負極が極めて強い酸化状態・還元状態に置かれる。これは正極や負極の材料が、ほかの低電圧の電池に比べて不安定化しやすいのだ。そのためにリチウムイオン電池は充電の際に数十 mVのレベルで充電電圧を監視する必要があり、電圧も極めて高い精度で制御しなければならない。
これらを怠ると、過度の充電により正極側では電解液の酸化・結晶構造の破壊が起きて発熱するのだ。負極側では、金属リチウムが析出して電池を急激に劣化させる。そして最悪の場合には、爆発や発火といった事故を引き越してしまうのだ。
このようなリチウムイオン電池の性質を踏まえて販売している電池では、過充電や過放電、過電流を防ぐための保護機構を内蔵した「電池パック」のかたちで提供されている。
つまり、このような爆発が起きないようにリチウムイオン電池を製品化するには、高度な技術力と管理能力、資金力が求められるのだ。実際にリチウムイオン電池を製造しているメーカーが限られているのも、こうした理由からでもある。
一般の電気店では、リチウムイオン電池を「セル※4」の状態で販売することはないのだが、正規のリチウムイオン電池の代替として中国などで製造された安価な電池パックでは、携帯電話が爆発し火災や傷害に至る可能性もある。
※4 保護機構がないパーツの状態
■電池を長持ちさせるコツは?
リチウムイオン電池は、メモリー効果による影響は少ないが、ほかの二次電池と同様に劣化による寿命はある。たとえば、充電状態の電池を放置しておくと、再充電時に電池の容量が減少する。この現象は「保存特性」と呼ばれるものだ。
劣化は満充電であるほど激しく、高温であるほど早く進む。長期保存する場合には、できるだけ充電しない状態で、冷暗所に保存したほうが、電池を長持ちさせることができる。
参考:リチウムイオン電池の基礎 - ベイサン
参考:リチウムイオン二次電池 - ウィキペディア
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