中村俊輔「相手が嫌がり、味方が頼れる存在でいたい」
2007年の日本サッカー界を振り返れば、いくつかのビッグトピックスがあった。浦和レッズのアジア制覇に、唐突な日本代表監督の交代、北京五輪の予選突破に、鹿島アントラーズの劇的な逆転優勝…。記憶に新しいものだけでも少なくない。
もっとも、個人にスポットライトを当てるならば、ヨーロッパでプレーする中村俊輔の活躍が特筆に値するだろう。スコットランドリーグの個人タイトルを独占し、欧州CLの決勝ラウンドにも進出した。いずれも、日本人選手としては、史上初の快挙だ。今回、livedoorスポーツは、この中村俊輔をグラスゴーに直撃。インタビューを敢行した。
――10月にケガをしてからリハビリを続けているけど、現状は?
「ずいぶん良くなってる。ただ、完治する前に無理してしまうと、また一からやり直しになりかねない箇所なので、慎重にやっているというのが現状。年内に治して、年明けの早い段階で復帰できればと。ここまで働けていないぶん、挽回したいと思う」
――日本代表のオシム監督が倒れたことは、いつ知った?
「(所属)事務所からすぐ電話で聞いて知ったけど、突然のことでビックリした。当初はどういう状況なのか分からなかったから、グラスゴーにいる記者の人たちにいろいろ聞かれたけど、軽率なことはいえなかった」
――時期が時期なので日本代表のことは話しづらいと思うけど(インタビューは岡田監督就任前の11月下旬に行われた)、一方で、年が明けると、ワールドカップ予選がすぐにやってきます。アジアカップなどを戦った経験から、"アジアのなかの日本"はどんな位置にいると思いますか?
「トップランクだとは思うけど、けっこう、差はなくなってきたと感じてる。レバノンのアジアカップで優勝したころ(00年)は、正直いって、日本が頭ひとつ抜けている印象だった。けど、中国(04年アジアカップ)ではずいぶん差がなくなったと感じた。それはドイツのワールドカップ予選でも痛感したし、今年のアジアカップで、またさらにアジアの差はなくなったかなと思った。少なくとも4−0、5−0で勝てるような相手はもういない。(北京)五輪予選などを見ていても、それが下のカテゴリーまで波及してることに、危機感は感じる」
――バーレーン、オマーン、タイ(3次予選同組)。この3カ国ともやはり差はないと?
「オマーンは、前回の予選のときにちょっとした衝撃だった。これは簡単には勝てないなと。タイも、そのオマーンに、このあいだのアジアカップで勝っていたし、とくにアウェーでは手ごわい相手だと思う」
――中村選手は2度目の予選になりますが、力の拮抗したなかで、予選を勝ち抜くためにポイントになることは?
「アジアで戦う場合は、引いて守るような相手が多いから、そういう相手を崩すためには攻撃のバリエーションが必要になると思う。単調な攻めの繰り返しではなく、外から、中から、あるいはセットプレーから。状況に応じて、さまざまな攻め方ができることが大事だと思う。あと、大人の戦い方というか、ホームとアウェーで、また違った戦い方が必要になってくる。たとえば、ホームでは勝ったとして、アウェーでは、リスタートの際にゆっくりプレーするとか。そのかわり、チャンスと見れば、一気にたたみかけるとか。そういうメリハリが最終的に結果につながると思う。アウェーが難しいといわれるけど、ホームはホームで別の難しさがある。早めにゴールが決まれば押せ押せのムードになって力を発揮できるけど、終盤まで0−0のまま行ってしまうと、逆に、ホームであることがプレッシャーになることもある。サポーターのムードが変わってきて、“なにやってんだ”って雰囲気になったり」
――前回予選でも際どいゲームはありましたね。
「ちょっと遠めから強引にシュートを打ったとして、大きくリードしていれば“積極的”と見られるけど、逆に0−0だったり、リードされていたら、“強引すぎる”という評価になる。だから、ふだんから良い判断ができるように、感覚を養っておくこと。それにチーム全体で、あせったりしないよう、意識の統一が図れていることが重要になってくると思う」
――代表監督が代わるという点はいったん置いておいて、前回予選のころのメンバーと、オシム監督以降のメンバーとではずいぶん違う?
「前回のチームは、プレーに魅せなきゃいけないってプレッシャーがあった。そういう意味で、個性の強いメンバーが多かったと思う。いま代表に呼ばれているメンバーは、前回のメンバーほど個性が前に出てる感じではないけど、勝つために、したたかにプレーできる人が揃ってる印象。チームのために何をすべきか、全員のイメージは統一できているというか。さっき話したとおり、試合の状況のなかで、どこまでがチャレンジで、どこまでがミスなのか。リスクとの折り合いをつけていくときに、そういう判断基準がみんな近い」
――年齢的にも、国際経験という点でも、中村選手には何かしらのリーダーシップが求められると思いますが、そのあたりはどう考えてる?
「これまでもそうだったけど、ひと言でいえば、プレーで引っ張る。ピクシーとか、伸二(小野)とかもそうだけど、ひとつのパスで、味方を落ち着かせたり、相手にプレッシャーをかけたり。プレーでリーダーシップみたいなものを発揮できればいいと思う。拮抗していたり、劣勢なゲームのなかでも、明らかに“ペースはこっちにある”って味方が感じるようなプレーや振る舞いってことかな。相手にとって嫌で、味方にとって頼れる存在でありたいと思う」
もっとも、個人にスポットライトを当てるならば、ヨーロッパでプレーする中村俊輔の活躍が特筆に値するだろう。スコットランドリーグの個人タイトルを独占し、欧州CLの決勝ラウンドにも進出した。いずれも、日本人選手としては、史上初の快挙だ。今回、livedoorスポーツは、この中村俊輔をグラスゴーに直撃。インタビューを敢行した。
「ずいぶん良くなってる。ただ、完治する前に無理してしまうと、また一からやり直しになりかねない箇所なので、慎重にやっているというのが現状。年内に治して、年明けの早い段階で復帰できればと。ここまで働けていないぶん、挽回したいと思う」
――日本代表のオシム監督が倒れたことは、いつ知った?
「(所属)事務所からすぐ電話で聞いて知ったけど、突然のことでビックリした。当初はどういう状況なのか分からなかったから、グラスゴーにいる記者の人たちにいろいろ聞かれたけど、軽率なことはいえなかった」
――時期が時期なので日本代表のことは話しづらいと思うけど(インタビューは岡田監督就任前の11月下旬に行われた)、一方で、年が明けると、ワールドカップ予選がすぐにやってきます。アジアカップなどを戦った経験から、"アジアのなかの日本"はどんな位置にいると思いますか?
「トップランクだとは思うけど、けっこう、差はなくなってきたと感じてる。レバノンのアジアカップで優勝したころ(00年)は、正直いって、日本が頭ひとつ抜けている印象だった。けど、中国(04年アジアカップ)ではずいぶん差がなくなったと感じた。それはドイツのワールドカップ予選でも痛感したし、今年のアジアカップで、またさらにアジアの差はなくなったかなと思った。少なくとも4−0、5−0で勝てるような相手はもういない。(北京)五輪予選などを見ていても、それが下のカテゴリーまで波及してることに、危機感は感じる」
――バーレーン、オマーン、タイ(3次予選同組)。この3カ国ともやはり差はないと?
「オマーンは、前回の予選のときにちょっとした衝撃だった。これは簡単には勝てないなと。タイも、そのオマーンに、このあいだのアジアカップで勝っていたし、とくにアウェーでは手ごわい相手だと思う」
――中村選手は2度目の予選になりますが、力の拮抗したなかで、予選を勝ち抜くためにポイントになることは?
「アジアで戦う場合は、引いて守るような相手が多いから、そういう相手を崩すためには攻撃のバリエーションが必要になると思う。単調な攻めの繰り返しではなく、外から、中から、あるいはセットプレーから。状況に応じて、さまざまな攻め方ができることが大事だと思う。あと、大人の戦い方というか、ホームとアウェーで、また違った戦い方が必要になってくる。たとえば、ホームでは勝ったとして、アウェーでは、リスタートの際にゆっくりプレーするとか。そのかわり、チャンスと見れば、一気にたたみかけるとか。そういうメリハリが最終的に結果につながると思う。アウェーが難しいといわれるけど、ホームはホームで別の難しさがある。早めにゴールが決まれば押せ押せのムードになって力を発揮できるけど、終盤まで0−0のまま行ってしまうと、逆に、ホームであることがプレッシャーになることもある。サポーターのムードが変わってきて、“なにやってんだ”って雰囲気になったり」
――前回予選でも際どいゲームはありましたね。
「ちょっと遠めから強引にシュートを打ったとして、大きくリードしていれば“積極的”と見られるけど、逆に0−0だったり、リードされていたら、“強引すぎる”という評価になる。だから、ふだんから良い判断ができるように、感覚を養っておくこと。それにチーム全体で、あせったりしないよう、意識の統一が図れていることが重要になってくると思う」
――代表監督が代わるという点はいったん置いておいて、前回予選のころのメンバーと、オシム監督以降のメンバーとではずいぶん違う?
「前回のチームは、プレーに魅せなきゃいけないってプレッシャーがあった。そういう意味で、個性の強いメンバーが多かったと思う。いま代表に呼ばれているメンバーは、前回のメンバーほど個性が前に出てる感じではないけど、勝つために、したたかにプレーできる人が揃ってる印象。チームのために何をすべきか、全員のイメージは統一できているというか。さっき話したとおり、試合の状況のなかで、どこまでがチャレンジで、どこまでがミスなのか。リスクとの折り合いをつけていくときに、そういう判断基準がみんな近い」
――年齢的にも、国際経験という点でも、中村選手には何かしらのリーダーシップが求められると思いますが、そのあたりはどう考えてる?
「これまでもそうだったけど、ひと言でいえば、プレーで引っ張る。ピクシーとか、伸二(小野)とかもそうだけど、ひとつのパスで、味方を落ち着かせたり、相手にプレッシャーをかけたり。プレーでリーダーシップみたいなものを発揮できればいいと思う。拮抗していたり、劣勢なゲームのなかでも、明らかに“ペースはこっちにある”って味方が感じるようなプレーや振る舞いってことかな。相手にとって嫌で、味方にとって頼れる存在でありたいと思う」