橋本絵莉子(ギター&ヴォーカル)
 2005年11月のデビュー以来、ライブを重ねるごとに着実に動員数を伸ばしていき、ワンマンライブはいずれも即日完売という記録を更新中のチャットモンチー。今月4日の大阪・なんばHatchに続き、7日には東京・日比谷野外大音楽堂で7回目となるワンマンライブ「七夕ライヴ〜天まで響け!!〜」を行った。

 ワンマンライブとしてはチャットモンチー史上最大規模となる日比谷野外大音楽堂も、チケットは即日完売。七夕ライブは、今年4月に発表した4作目のシングル「女子たちに明日はない」から始まると、橋本絵莉子(ギター&ヴォーカル)の「皆さんこんばんは、チャットモンチーです」といういつも通りの挨拶の後、デビューミニアルバムのテーマ曲「ハナノユメ」へと続いていった。

 ステージ左右にはメンバーと観客が願いごとを書いた短冊を飾った笹が置かれ、高橋久美子(ドラム&コーラス)が書いた「ガラガラ声が直りますように、これ以上体が弱くなりませんように、体力がつきますように」という願いに対して、橋本は「体が資本!」と訓示のようなお言葉。福岡晃子(ベース&コーラス)は「鳴門教育大が繁栄しますように、常に野心を抱き続ける」と、合併の危機にあるという母校のために、今後チャットモンチーが協力していくことを観客の前でアツく誓った。

 圧巻だったのはライブ中盤。橋本はサンバーストのテレキャスターから黄色のレスポールに持ち替えると、少し間を置いてから、マイクを通さずに肉声で必殺のライブナンバー「恋愛スピリッツ」を歌い出す。その小さな身体から発せられた歌声は日比谷の夜空へと響き渡り、目の前の光景に3,500人の観客は息を飲んで静かに聴き入ると、今度は歌い終えた彼女を大歓声で讃えた。

 先月20日に発表した最新シングル「とび魚のバタフライ」では、トロピカルな衣装に身をつつんだ7人の華やかなフラダンサーズが登場してダンスを披露。開演から1時間が過ぎると日も沈み、色鮮やかな照明が輝きを増し始める。この日から全国公開となった映画「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」の主題歌「世界が終わる前に」では絶望に満ちた心の叫びを歌い上げると、「恋の煙」「湯気」と疾走感溢れるナンバーを畳み掛け、ミラーボールが無数の光を散りばめる中でハッピーソング「シャングリラ」でフィナーレを迎えた。

 アンコールでは橋本が緑、福岡と高橋が紫のこちらも完売となったチャットモンチーTシャツを着て登場すると、満員の観客と一緒に記念撮影。「アンコールがあったらやろうと思っていました」と「とび魚のバタフライ」のカップリングの「風」を披露すると、最後は前回のSHIBUYA-AXでのワンマンと同じく「東京ハチミツオーケストラ」で終え、横一列に手をつなぎ一礼してステージを去っていった。

 MCではほとんど話さず黙々と歌い続ける橋本を、「リーダーは水戸黄門だから、雑務は助さんと格さんがやればいい」と以前に福岡が語っていた。自分の中の“ぐつぐつしたもの”を告白するかのようにギターをかき鳴らして歌う橋本、独創的で玄人も舌を巻くリズムパターンでバンドの根幹を築く高橋、絶妙なバランス感覚で両者の間をしなやかに立ち振る舞い表情豊かなパフォーマンスを魅せる福岡。誰一人が欠けても成立しない緊張感の中で奏でられる必然の音、3ピースの醍醐味がチャットモンチーのライブにはある。

■演奏曲目
01. 女子たちに明日はない
02. ハナノユメ
03. 手の中の残り日
04. さよならGood bye
05. ウィークエンドのまぼろし
06. ツマサキ
07. バスロマンス
08. プラズマ
09. 終わりなきBGM
10. 恋愛スピリッツ
11. どなる、でんわ、どしゃぶり
12. とび魚のバタフライ
13. 一等星になれなかった君へ
14. 惚たる蛍
15. 世界が終わる夜に
16. 恋の煙
17. 湯気
18. シャングリラ
- アンコール -
20. 風
21. 東京ハチミツオーケストラ

チャットモンチー - アーティスト情報
映画『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』公式サイト

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