アキバの"神様"こと、インテル 天野伸彦氏のプレゼンテーション

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2007年5月26日(土)、秋葉原のPCショップ"TSUKUMO eX."において、「インテル最強Quadイベント in ツクモ 天野伸彦氏が語るQuadの世界(おまけ+)」と題されたプレゼンテーションが行われた。タイトルからもわかるとおり、アキバの"神様"こと、インテル 天野伸彦氏が壇上に立ち、同社4コアCPU"Core 2 Quad"の魅力を余すところなく披露した。
4コアCPUとは、パソコンの心臓部であるCPUパッケージに4つのコア(演算処理部分)を内蔵したCPUで、最大4つまでの同時処理能力と、低発熱・低消費電力を実現している。

■4コアCPUは「わかる人」が使う

インテルの4コアCPUは、「2コアCPUでは物足りない」「もっと高い性能が欲しい」という人のために出荷されているCPU。世界で初めての商用ベースの4コアCPUが"Core 2 Quad Q6600"となる。同CPUは、2コアCPU"Core 2 Duo E6700"と比較して、3Dグラフィックスのレンダリングで79%、HD ビデオの作成で54%、3次元ゲームで53%のパフォーマンスの向上が見られる。
写真:4コア"Core 2 Quad Q6600"と2コアCPU"Core 2 Duo E6700"と比較した場合のパフォーマンスの違い

インテルは、4コアCPUの製品として、"Core 2 Quad""とCore 2 Extreme Quad-core"を販売しているが、両者の大きな違いはオーバークロック耐性にある。たとえば、"Core 2 Quad Q6700"と"Core 2 Extreme QX6700"とを比較した場合、いずれのCPUも基本仕様は同じで、ベースクロックが266MHz、CPUの動作クロックが2.66MHz(266MHz×10倍)となる。ところが、"Core 2 Quad Q6700"は、10倍でしか設定できないのに対して、"Core 2 Extreme QX6700"は、ユーザーが電源まわりなどを工夫することで、メーカー保証外だが定格以上のクロック設定(例:11倍、12倍など)が可能となる。つまり、オーバークロックマニアにとっては魅力的なCPUとなっている。
写真:"Core 2Quad"と"Core 2 Extreme Quad-core"との違い

もうひとつの違いは価格だ。"Core 2 Quad"は普及価格までを視野に入れた製品であるが、"Quad 2 Extreme Quad-core"はいつまでも1000ドル(約12万〜13万円)という価格を変えないそうだ。"Quad 2 Extreme Quad-core"は、新しい製品を順次投入していき、古い製品は次第に市場から消えていくという販売形態をとるという。

"Core 2 Quad"のサポートプラットフォームとパフォーマンスについての説明では、まず新しいチップセット"3シリーズ"が6月上旬より発売になることを発表した。パフォーマンスについては、"Core 2 Quad Q6600"は、"Core 2 Duo E6700"に比べて30%〜50%ほど、パフォーマンスが向上するという。
写真:"Core 2 Quad Q6600"は、"Core 2 ""Core 2 Duo E6700"に比べて、パフォーマンスが30%〜50%ほど向上する

CPUコア数が多いほうがよいのか? 内部動作周波数が高いほうがよいのか? CPUを購入する場合に、これらの判断に迷う人もいるだろう。天野氏によると、4コアCPUには、得意分野があるという。具体的には、アニメーション作成などの3Dレンダリングや、H.264動画作成などのエンコードを実行する場合には、4コアCPUは2コアCPUよりも優れたパフォーマンスを発揮する。
写真:3Dレンダリングの比較表
写真:エンコードの比較表

逆に、4コアが活かせない分野、具体的には複数コアに対応していない一般的なゲームでは、4コアの恩恵に預かれない。ベンチマークを見れば明らかだが、CPUの動作クロックには大きく依存する。
写真:シングルコアにしか対応していないゲームでの比較表

天野氏によると、4コアを活かせるアプリケーションとは、図のように小さいプログラムが独立し、並列に実行できるようなマルチスレッドのプログラムだという。
写真:4コアが活かせるマルチスレッドの図

プロセッサ購入時のポイントは、自分が使用しているアプリケーションの特質に注目し、マルチスレッドに対応したアプリケーションであるか否かを見極めればよい。天野氏が考えたお勧めプランは、どちらかよくわからない人は"Core 2 Duo"を選択し、マルチスレッドに対応したエンコードやゲーム、3Dコンテンツを作成するなら"Core 2 Quad"を選択すればよいという。

天野氏は、「4コアCPUは、わかる人が購入してください」と述べて、4コアCPUと2コアCPUの話を締めくくった。

■アプリケーションの育成に励む必要あり - インテル vs AMD

現在、4コアCPUは、インテルだけでなく、AMDも出荷している。両者の違いは、いったいどこにあるのだろうか?

天野氏は、料理の鉄人をパロディ化した「シリコンシェフ」のビデオを流し、キャッシュ容量やCPU内の計算性能において、インテルのほうが有利であることを示した。また、インテルが「なんちゃってクアッドコア」と呼ぶ4コアCPUの技術は、同社がPentium D 900番台の頃に確立した製造技術で、大量生産が容易に可能なため価格面で有利である点を強調した。
写真:インテルの4コアCPUの構成

だが、両社のCPUには、得手不得手があり、AMDの4コアCPUは、メモリーコントローラをCPUに内蔵しているメリットがプラスに出るベンチマークにおいては、インテルよりも高いパフォーマンスを出す可能性がある点も付け加えた。
写真:AMDの4コアCPUの構成

天野氏は、プレゼンテーションの締めくくりとして、下記の3つをあげた。
・インテルの4コアCPUは、設計の難易度的にはあまり高くないところで落ち着いているものの、確実に商品展開できる堅い線で展開している
・(インテルとAMDは)お互いの得手・不得手の分野があると考えている。メモリーまわりの性能を重視すれば、他社(AMD)が優勢。計算性能を重視するのであれば、弊社(インテル)が優勢
・両社とも4コアで納得がいく性能が出せるアプリケーションの育成に励む必要がある

なお、天野氏は、5月26日(土)〜6月17日(日)の3週間連続で行われる夏のキャンペーン「インテル in AKIBA 2007」のイベントにおいて、スペシャルゲストとしてセッションに出演する予定。

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ツクモ

編集部:関口哲司
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