新たにIBF王座を獲得し、WBSS決勝進出を決めた井上尚弥【写真:Getty Images】

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好カード目白押しの同日でNO1認定「ナオヤ・イノウエがショーを盗んだ」

 ボクシングのワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)バンタム級準決勝でIBF王者エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)を259秒KOで下したWBA王者・井上尚弥(大橋)。同日は英国選手2人が世界タイトルを手にし、WBC世界ヘビー級王者デオンテイ・ワイルダー(米国)が衝撃の1回KO劇を演じたが、英メディアは新たにIBF王座を獲得し、決勝進出を決めた井上について「ショーを盗んだ」と称賛。モンスターこそが主役と認めている。

「土曜日のボクシング界の思いがけぬ名勝負の大鉱脈は、ビリー・ジョー・ソーンダースとジョシュ・テイラーのベストを引き出したが、ナオヤ・イノウエがショーを盗んだ」と特集したのは英紙「インディペンデント」だった。

 土曜のボクシング界は目白押しだった。特にボクシングが盛んな英国にとっては、ソーンダースがWBOスーパーミドル級世界王者に、WBSS準決勝スーパーライト級でジョシュ・テイラーがIBF世界王者に輝いていた。WBCヘビー級タイトルマッチでは王者ワイルダーが同級4位ドミニク・ブレアジール(米国)に衝撃的な初回KOでV9を達成したが、主役は日本から来たモンスターだった。

 記事は「ナオヤ・イノウエという名を持つ小さな巨人は世界で最も素晴らしいボクサーになるまで、2ラウンド目の80秒も必要としなかった」と称賛。その上で「ソーンダースは達人の域に到達した。テイラーはスリル満点だった。イノウエの致命的な恐ろしさは歳月と階級を超越した。そして、ワイルダーはキャリア20度目の1ラウンド勝利を挙げた」と4人の中で高評価を与えた。

テイラー戦前に行われた井上戦「ファンは本物の戦う天才を目の当たりにした」

 試合は圧巻そのものだった。「テイラーがリングに上がるわずか前に、アリーナに集結したボクシングファンは本物の戦う天才を目の当たりにした」とテイラー戦の直前に行われた井上について評価。その上で、こう絶賛した。

「我々は息を奪われた。獰猛で、素早く、ただただ感銘的。ロドリゲスは無敗のIBF王者としてリングに足を踏み入れ、体格も上だったが、戦いの間に小さくなった。イノウエはボクシングのビーストだ。全ての118ポンドのファイターは肝に命じておくべきだが、私ならイノウエと戦わせないだろう」

 井上はWBSS決勝で5階級制覇王者ノニト・ドネア(フィリピン)と戦うが、バンタム級の選手は勝ち目なしと主張。対戦回避という提言もしている。無敗王者相手に見せたモンスター無双。英メディアもその強さに震撼している。(THE ANSWER編集部)