そろそろ紫外線対策を本格的にはじめる必要がある時期。でも、外に出ているのは朝夕の通勤時だけで、特に気にしないという人もいるのでは?

美容ジャーナリストの永富千晴さんによると、屋内で仕事をする場合も、紫外線対策はやったほうがいいと話します。そこで、どこまで紫外線対策をやるべきなのか、オフィスで窓際の席に座っている人とそうでない人それぞれの細かな対策を教えていただきました!

ついつい怠りがちなオフィスの紫外線対策。

 正しい日焼け対策ができていない?!

肌の露出が高くなる季節。紫外線対策は抜かりなく!

多くの女性は、正しい日焼け対策ができていないようです。

パシフィック・コミュニケーションズ株式会社が資生堂ジャパン株式会社の協力のもとに実施した「女性の日焼けに関する認識調査(20〜40歳の女性222名対象)」によると、日焼け止めは、晴れている日にしかしないという女性が40.9%という結果に。

また、日常的に潜む紫外線への理解が低い女性も多いことも、「UV-A(A紫外線)とUV-B(B紫外線)という言葉を知っている」という女性が41.8%にとどまったことからわかりました。

この状況に対して、美容ジャーナリストの永富千晴さんは、それでは不十分だと話します。

「晴れている日だけの対策では、紫外線の中でも肌の中まで刺さる紫外線『UV-A』の“かくれ紫外線”についての対策が手薄になりがちです。また、窓ガラスも突き抜けるといわれている『UV-A』は、シワ、たるみなどの原因となる“光老化”にも深く関わります」

一日中オフィスで仕事の日でも要注意!

永富さんによると、一日中、オフィスなどの屋内で仕事をする女性も、油断せず、紫外線対策が必要だといいます。どんな対策をすれば良いのか、窓際の場合とそうでない場合、それぞれの対策を教えていただきました。

窓際に長時間いる場合

窓際の席は日差しが気持ちが良いけれど、日焼けが心配!

「オフィスの窓際の席などで直接日光を浴びやすい方は、『隠れ紫外線』のシャワーを浴びていると自覚しておくことが必要です。20代までは代謝もよく、あまりシミなど気にならない方でも、30代で夏の間中、紫外線の蓄積を何年も行なっていると、日の当たりやすかった部分がシミになって出てきたり、肌感が顔の中でも違ってきたりなど、隠れ紫外線の蓄積ダメージが35歳から40歳にかけて徐々に顔を出し始めることがあります。UVケアは大切です。『美白』『保湿』などアフターケアを心がけることにより、こういった肌ダメージはある程度回避することができます」

1.日焼け止めの選び方

「UV-Bを防ぐ指標であるSPF値も、UV-Aを防ぐ指標であるPA値も高めのものがおすすめです。素肌感を生かしたベースメイクの方は、スキンケア効果のあるUVカット機能付きベースやファンデーションなどで、きちんとガードしましょう。「SPF50 PA++++」処方のオフィス向きのアイテムがたくさん出ているので、肌色やなりたい肌作りに合わせて選ぶのがおすすめです。下を向いての作業が多い方で、頭皮が弱い方などは、髪の分け目だけ日焼け止めを塗っておく、髪用の日焼け止めなどを使うのもいいかもしれません」

2.日焼け止めを塗る場所

「顔はもちろん、手の甲から袖口にかけての部位も日焼けしやすい箇所なので、顔用、ボディー用のものを塗るといいです。首回り、デコルテ、肩などは洋服の露出に合わせて塗っておくほうがベターです」

3.日焼け止めを塗るタイミングと量

「出勤前に塗るといいです。塗る量は各日焼け止めの使用量の目安を参考に。顔全体に伸ばして、スポンジなどでしっかりフィットさせ、ムラづきしないようにすると、汗や皮脂などが出てきても、お化粧直ししやすいです。特に日の当たりやすい部位、またシミができて欲しくない部位などは、そのようになじませてから、その部分だけ重ねて塗りしておいてもよいと思います」

4.日焼け止めの塗り直し回数

「蒸し暑くなる夏などは、会社に着くと汗だくになっている場合も多いので、ゴシゴシこすらないようにして、汗を軽くふいてから状態を見て、UV効果のあるファンデーションやコンパクトパウダーもしくは、スプレータイプの日焼け止めなどでガードしてあげましょう。スプレータイプは、会社に常備しておき、お昼休みなどにもシュッと塗り直すなどしてあげてください。肌状態にもよりますが、化粧崩れをしやすい場合は、朝の出勤後やお昼休み前後を目安に、チェックして対処しておくのがベターです」

5.日焼け止め以外の対策

「日焼けしやすい体質の方などは、食事などのインナーケアでもディフェンスを。また、錠剤タイプのシミ対策などもあるので、そういったプラスアルファのケアでサポートしておくと安心です」

窓際ではない場合

半袖の季節になると、日焼け対策はしっかり!

「窓の大きさにもよりますが、窓際の方よりはかくれ紫外線の影響を受けにくいといえます。そのため、出勤どき、外出どき、などを中心に対策を練ります」

1.日焼け止めの選び方

「SPF30以上、PA+++以上のものを基準に選ぶといいです。お天気の具合により、出勤どき、外出どき用に、日傘や帽子、サングラスなど大きめのもの、またお化粧直し用のファンデーションやコンパクトパウダー類などはSPFの高めのものを選んでおくとベターです」

2.日焼け止めを塗る場所

「基本的には窓際の方と同じです。ただし、出勤後のケアにそこまで敏感にならなくてもいいので、汗や皮脂などはきちんと押さえておくと肌が健やかさを保つことができるでしょう。水のスプレーなどシュッとかけて、軽く押さえてから、UVパウダーをつけるなどの工夫を」

3.日焼け止めを塗るタイミングと量

「基本的に窓際の方と同じで大丈夫です」

4.日焼け止めの塗り直し回数

「外出どきの1回。日焼け止めよりもお化粧直しのベースメイク類にUV効果があればOKだと思います」

5.日焼け止め以外の対策

「こちらも窓際の方と同様にインナーケアを。また出勤どき、外出どき用に、日傘や帽子、サングラスなどを用意しておくのもいいですね。また、お化粧直し用のファンデーションやコンパクトパウダー類などはSPF値の高めのものを選んでおくとベターです」

■日中のUVケアができないときは?

とはいえ、永富さんは「現実的にはここまで細かくたくさんのことはできないのでは?」と話します。確かにここまで細かい対策をして、紫外線のことばかり考えているわけにはいきませんよね

「仕事中はとても忙しいと思うので、例えば、UVケアがあまりできなかった日は、帰宅後に美白シートなどを使ってケアしたり、美白化粧品を使ったりするなどして、ダメージケアはその日のうちでしてあげるように、心がけるだけで変わってくるはずです」

ぜひ事後ケアも実施しましょう!

そして永富さんから、自らの経験からもアドバイスをいただきました。

「UVケアは将来的なシミだけでなく、むしろトータルでの『美肌ケア』と思ったほうが、予防しようと意識が高まるかもしれません。私自身、ついうっかり、ということも多かったですし、開放感を求め、アフターケア、デイリースキンケアに力を入れていたタイプなので、同じ年齢でもしっかりガードしていた方とキメや白さがまったく違うことを身を持って体験しています。ガードは最大の将来の美肌へとつながります」

日焼け止めやUV化粧品をうまく使ってぜひ将来、後悔のないケアを!

美容ジャーナリスト 永富 千晴(ながとみ ちはる)さん ビューティエディターとして出版社に勤めた後、美容ジャーナリストとして独立。 2003年より美容感度の高い女性が集まるメンバーシップコミュニティ「club C.」を主宰。最新美容からリアルな声を反映した美容情報までさまざまな情報を執筆。アドバイザー、マーケティング、PRなどでも活躍。

取材・文/一ノ瀬聡子