『ライオットアクト』がXbox One互換で無料配信。新作Crackdown 3はWin 10マルチで2月発売
マイクロソフトが2007年の古典オープンワールドアクションゲーム『ライオットアクト』(RIOT ACT, 海外名Crackdown)を期間限定で無料配信中です。

Xbox Oneか、(まだ動いていれば) Xbox 360 にダウンロードして遊べます。上位機種 Xbox One X では、黒魔術的エンジニアリングによりリマスター版と見紛う4K画質で遊べる Xbox One X Enhanced対応です。

今回の無料配信は、延期を繰り返したシリーズ最新作『Crackdown 3』の発売日が2019年2月15日に決定したことを記念した企画。

Xbox本体にインストールしなくても、11月末までにウェブのマイクロソフトストアで無料入手してライブラリに追加しておけば、期間後でもダウンロードして遊べます。『Crackdown』は2007年に発売されたXbox 360用オープンワールド・アクションゲーム。開発はオリジナルのGrand Theft Autoを手がけたDavid Jones氏のスタジオRealtime Worlds, 発売はMicrosoft Studios。

プレーヤーは超人的な力を持つ治安維持官「エージェント」となって、広大な「パシフィック・シティ」を分割支配する巨大犯罪組織と戦う内容です。

ゲームプレイは、当時でも通じる表現でいえば「超人版GTA」。主人公は秩序を守る側の国際警察機構「エージェンシー」所属ですが、犯罪組織に対抗するため敵方マッドサイエンティストの違法な研究を応用して作り出されたクローン兵という設定。

組織を潰すためなら多少以上のコラテラルダメージも、道行く自動車からドライバーを引っこ抜くアレも、爆発物を積み上げて火遊びもほぼお咎めなしという世界です。何しろ警察側の最終兵器が自分なので、甚大な被害を出してもパトカーに追い回されたり逮捕される心配はありません。

2018年の現在はコンテンツ特盛のオープンワールドゲームが大流行りで、複雑なクラフト要素やスキルツリー、無数のサブクエストに長大なメインストーリーが当たり前といった調子ですが、初代Crackdownはひたすらシンプル。

三つの犯罪組織とその幹部の役割設定、アジトを壊滅させることで組織の機能を弱体化させるといった仕組みはあるものの、いちいち話しかけてクエストを発注する市民もなく、アイテム作成のための素材集めもなく、見えている場所には頑張ればたどり着くことができ、武器は敵を倒して手に入れ拠点に持ち帰れば量産できるという、今となってはアーケードライクとすら感じるゲーム展開です。

サブクエスト的な要素もあるものの、一定時間にビルの屋根から屋根を飛び回りトラバーサル能力を試すレースや、乗り物のスタントなど、街という巨大な箱庭で遊ぶだけ。

醍醐味の超人的能力も、殴る蹴るで格闘能力が、レースで運転能力(となぜか車両の性能・形態)が、高所に配置された収集アイテム「オーブ」を集めれば運動能力とジャンプ力が向上するなど、単純にその能力を使えば使うほど伸びてゆきます。



諸般の事情でタイトルが変わった日本版では、バッケージを漫画家モンキー・パンチが担当しました。

エージェントに絶えず通信で話しかけ、リアルタイムで褒めたり叱ったりプレイへの反応を返してくれるナレーター(エージェンシー幹部)役は、ルパン三世の次元大介役で知られるベテラン俳優 小林清志が担当。英語版の音声よりもはるかに威厳ある大物感が出てしまったのも特筆すべき点です。

スマッシュヒットとなった初代に続いて2010年に発売された続編2は、新要素を加えたものの、担当する開発会社や方向性の変化もあり微妙な評価でした。



2以降は音沙汰がないまま数年が過ぎ、このままひっそり消えてゆくと思われたところで、2014年に「アルファ版技術デモ」として不意に公開され、旧来のファンを沸かせたのが最新作Crackdown 3です。

開発は初代と同じDavid Jonesが手がけるうえに、当時はXbox Oneの競争優位性として盛んにアピールされていたクラウド演算技術によりあらゆる建造物がリアルな物理シミュレーションで破壊でき、全く新しい戦略性を備えたアクションゲームになるという野心的な触れ込みでした。

Xbox Oneの乏しい独占コンテンツとして期待を集めたものの、当初は2016年発売のはずが、上位版ハードウェアのXbox One X同時発売として2017年に延期。それも逃して2018年予定へ。

『Crackdown 3』(ライオットアクト3) 来春に延期。Xbox One X同時発売を逃す(2017年)

Xbox One独占作の開発中止が相次いでいた時期でもあり、Crackdownも本当に出せるのかと危ぶまれていましたが、今回とうとう2019年2月15日という具体的な発売日が発表となりました。(2017年にも11月7日という日付がありましたが)。



しかも今回は、あらゆる地形が破壊可能という要素を導入したオンラインマルチプレイモード「レッキングゾーン」のトレーラーも公開しています。

ビル倒壊をどう戦略的に活かすのか、ゲームの楽しみにつなげるのかは今ひとつ分かりませんが、兎にも角にも当初の宣言どおり、建造物を破壊しまくるプレイは楽しめそうです。

一方、Crackdown 3が延々と延期を繰り返すうちに、マイクロソフトのゲーミング分野への姿勢も変わり、Xboxの位置付けも大きく変化しました。

まずかつてのファンにとっての大きな変化としては、Xbox One独占ではなく、Windows 10 PCでも遊べるマルチ作品 になったことがあります。

これは独占コンテンツをゲーム機の販売台数争いの武器として使っていたかつての戦略から、ハードウェアの台数よりも自社サービスの利用者を増やすことで収益化を図るマイクロソフトの新しい戦略から。マイクロソフトは自社パブリッシュのゲームコンテンツは原則としてすべてWindowsでも遊べるようにし、一本買えばXboxでもWindowsでも遊べるようにすることで、定額サービスや自社ストアの利用を促しています。

このため人気シリーズでは Gears of War が4からはWindowsマルチ、Haloシリーズの最新作 Halo Infinite もWindows 10 でプレイ可能になりました。

同じ戦略に従い、Crackdown 3も、通常版発売と同日に定額遊び放題サービス Xbox Game Pass で遊べるようになります。

つまりXbox Oneを持っていなくても、またいきなりフルプライスの59.99ドルで発売日に買うほどでもないけれど気になる......といった場合、月に10ドル、最近の頻繁なキャンペーンでは初月1ドル程度を支払えば、とりあえずはフルバージョンを落として遊べます。

Xbox Game Pass はサービス開始からタイトルを増やし、現在のカタログは各社ブロックバスター(の古めのやつ)からインディーズまで、Xbox 360や初代Xboxの互換タイトル含め約200本近く(※)。マイクロソフトのコンテンツは原則として発売と同時に遊び放題になるため、加入者は例えば先月発売の Forza Horizon 4も追加費用なしで遊べます。(※ ただし、Windows PCでも遊べるのはごく一部の Play Anywhere対応ゲームのみ。)

Crackdown 3の発売日決定が明かされたイベントX018では、元祖バトルロイヤルゲームのPUBGのGame Pass入りもニュースでした。

Crackdown 3の国内発売は未発表。Xbox Game Passは、日本を含まない世界40か国で提供中です。