江戸時代、男色が集う陰間茶屋などで活躍していた必須アイテム「通和散」とは?

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陰間茶屋では欠かせない道具

江戸時代流行した、美少年の売春宿である陰間茶屋。

茶屋で売春?男色を売る男娼までいた?江戸時代には色んなタイプの茶屋があった

ここで必須のアイテムだったのが、今でいうローションの「通和散(つうわさん)」です。江戸時代当時に市販されていたぬめり薬で、秘薬の一種として扱われていました。

日本では古くから男色の文化はありましたが、男同士の性交にはどうしても潤滑剤が必要でした。唾液でも代用できますが、それではすぐに乾いてしまうため、持続性のあるものが求められたのです。

そこで江戸時代に生まれたのが「通和散」でした。これが「伊勢七」のようないろんな薬屋、アダルトショップ「四つ目屋」などで製造・販売され、男色を楽しむ人たちの間で重宝しました。

男色秘戯画帖より

有名な浮世絵師の春画にも通和散を使用する場面が描かれています。他にもいくつかの春画で同様に通和散を使用しているシーンが取り上げられています。

使用方法は?

これをどうやって使うかというと、口に含み唾液でふやかしてからローションになったものを使用します。ふやかすなら何でもよかったかというとそういうわけでもなく、お湯や水で溶かすよりも唾液の方が持続性があったようです。

名前は違いますが、同じ用途で作られたぬめり薬に「いちぶのり」や「安入散」、「海蘿丸」などがあります。これらも同じように口に含んで使用するもの。

いちぶのりは作ったぬめり薬を和紙に塗り、乾燥させて一分四方に切り取って使用します。同じく和紙に塗って丸めたものが海蘿丸。素材は和紙なので大変軽く携帯しやすいため、印籠や紙入れなどに入れて携帯していたそうです。

原料は卵やトロロアオイなど

こういったぬめり薬の原料となったのが、鶏卵の白身や葛粉、海蘿、トロロアオイ(花オクラ)などです。どれも口に入れて問題のない食品や海藻ばかりで、デリケートゾーンに使用するものとしても安全なものでした。

市販されているものを買わずに自分で作る人もいたようですが、一般人でも手に入るような材料ばかりなので作るのもそう難しくはなかったようです。