by Harald Groven

中国では170万台を超える監視カメラによって顔認識システムを用いた強固な監視体制を築いて治安維持が図られています。中国・浙江省の杭州市では、労働者のヘルメットに埋め込まれたセンサーで脳波を読み取り管理を行う「感情監視システム」が開発され、実際に投入されているとSouth China Morning Post(SCMP)が報じています。

‘Forget the Facebook leak’: China is mining data directly from workers’ brains on an industrial scale | South China Morning Post

http://www.scmp.com/news/china/society/article/2143899/forget-facebook-leak-china-mining-data-directly-workers-brains

「感情監視システム」で使われるデバイスが、以下の画像右下に写る軽量の脳波センサーです。軽量のセンサーは作業員の帽子やヘルメットに埋め込まれ、着用者の脳波データがコンピューターへ送信されます。コンピューターでは送信された脳波データのスキャンが行われ、不安や怒りを示していないかを監視します。収集・分析された脳波データによって、経営陣は従業員の精神的ストレスを把握し、休憩時間の頻度や長さを調節し、労働者の全体的な効率を高めることが可能になるとのこと。



この監視システムが実際にどれだけ投入されているかは不明ですが、SCMPによると製造会社・電力会社・軍隊・交通機関など少なくとも12の中国の工場と企業が「感情監視システム」を使って労働者を監視しているとのこと。職場における「感情監視システム」の乱用を防止するための規制の必要性も論じられていると報じています。



「感情監視システム」の開発プロジェクトに関わるHangzhou Zhongheng ElectricはSCMPの取材に対して、中国・浙江省の杭州市にある電力会社は2014年に「感情監視システム」を導入した結果、約20億人民元(約340億円)の企業利益増加が見込めており、その効能に疑いはないと回答しています。

同じく開発プロジェクトに関わった寧波大学の脳科学・認知心理学の准教授であるJin Jia氏はSCMPの取材に対し、「仕事によっては集中力が必要なものがあり、間違いを許容する余地はありません。重要なポストについている従業員が感情的だと、生産ライン全体に影響を及ぼし、他者の安全をおびやかす可能性もあります。システムの警告によって、マネージャーは休暇を取得したり、重要ではない役職に異動するよう要請できます」と語っています。