アヘン使用防止の啓発イベントに参加する女性達(画像は『Pajhwok Afghan News 2017年11月2日付「Uruzgan women still give kids opium to silence them」』のスクリーンショット)

写真拡大

アフガニスタン南部に位置するウルーズガーン州は、アヘンの材料となるケシの耕作面積が広い州として知られている。この地で問題となっているのが、ケシ栽培に携わる人々の間に蔓延するアヘン中毒だ。同州のアヘン中毒者は約1万5千人に上るとみられているが、その中には多くの子供が含まれているという。

大人ばかりでなく、なぜ子供にまでアヘン中毒が蔓延しているのか。アフガニスタンのメディア『Pajhwok Afghan News』によると、ケシ栽培農家の子供達は収穫期に両親を手伝うことが多く、その際のアルカロイドを含む樹脂を採取する作業が強く影響しているという。

そして幼い子供達の場合、母親がアヘンを与えることで中毒になるケースがあとを絶たないそうだ。これについてウルーズガーン市民病院の院長Ziaur Rahman Niazi氏は、「この地域では母親が子供を静かにさせるために、また病気になった時にアヘンを使うことが“伝統”になっている」と説明する。だがこれが良い効果をもたらすはずはなく、市民病院には毎月のようにアヘン投与による問題を抱えた子供が5人は搬送されるとのことだ。こうした問題が引き起こされるのは、ケシ栽培の拡大、そして住民のアヘンの危険性に対する認識の欠如が原因だと同氏は語る。

国側もただ手をこまねいているわけではない。アフガニスタン麻薬対策省はケシ栽培撲滅運動の一環として啓発イベントを企画するなど、ケシ畑撲滅及びアヘンの使用防止に向けた取り組みを行っている。だがケシは大量の水を必要としないなど他の作物に比べて栽培が容易であり、しかも貧しい農民にとっては大きな収入源になることから、逆に拡大しているのが現状である。国連の調査によると、アフガニスタンにおけるケシ栽培は国際的に非合法とされているにもかかわらず、世界のアヘンの約80%が生産されており、2016年には生産量約4800トン、30億ドル(約3300億円)もの収入をもたらしたという。

画像は『Pajhwok Afghan News 2017年11月2日付「Uruzgan women still give kids opium to silence them」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 椎名智深)