「座間事件=アニメの影響」謝罪したけど... 山本一太氏に「謝るのは俺たち」
自民党の山本一太参院議員(59)が座間市で起きた9遺体発見事件についてテレビ番組で「アニメなどの猟奇的ストーリーの影響を強く受けている」と発言し激しい批判に晒されていることに対し、不適切な発言だったとし2017年11月8日にブログなどで謝罪した。
ところが、である。謝罪されても怒りが収まらない人がいるなか、容疑者はアニメ好きで、猟奇的シーンが出て来るものを見ていたという新情報が出たことで空気が一変した。「山本は知っていた?」「謝るのは山本ではなく俺たちのほう」などといった書き込みも出た。
「本当にごめんなさい!」と本人は大後悔
今回の騒動の発端は、山本議員が17年11月5日放送の政治討論番組「新報道2001」(フジテレビ系)に出演し、事件の感想を聞かれたところ、犯人はゲーム感覚でやっていると思われ、妄想と現実の世界の区別が付かなくなっている、などと分析したことだ。そして、
「最近このような猟奇的なストーリーのアニメ等々ありますから、そういうのに凄く影響を受けている感じがします」
とし、こうした人たちの行動を監視し、犯罪を防ぐ方法があるかどうかを真剣に考えなければならない、と語った。
この発言に対し、こうした事件が起きると決まってアニメやゲームを悪者にする風潮があるけれど、どんな関わりがあるのか証拠を示せ、などとネット上で怒りが爆発。妄想と現実の区別が付かなくなっているのは山本議員自身だ、などという声のほか、
「何らかの作品を見て人間性が破壊される、自分の人生を省みて本当にそう思いますか? 自分は高尚な人間だからと他人を見下してませんか?」
といったことが山本議員のツイッターに書き込まれた。
そんな山本議員は8日夜にブログを更新、謝罪文を掲載した。実は発言直後に「極めて不適切な表現だった」と後悔したのだという。アニメと犯罪が関係している具体的な根拠など何一つないし、現代社会は、あらゆる種類のコンテンツで溢れているからだ。
「アニメに関わっている全ての皆さん、アニメを愛する皆さん、本当にごめんなさい!2度とこんな不注意な(根拠のない)発言をしないよう、十分に気をつけます!」
とした。この謝罪にでも
「もうこの人は、俺にとっての敵と認識することには変わりない」
などと怒りが収まらない人たちがいたのだが、この謝罪ブログのアップと前後し、ネット上では大きなどよめきが起きていたのだ。それは、「山本は謝る必要が無かった」というもの。
「たぶんアニメとか見るの好きだったと思います」
「週刊文春」は8日夕に、容疑者の問題写真と肉声動画を入手したと公式ツイッターで報告し、「週刊文春デジタル」最新動画の予告編を公開した。そこには容疑者に風俗店舗にスカウトされたという女性が出てきて、容疑者の趣味を聞かれると、
「たぶんアニメとか見るの好きだったと思います」
と語り、「ひぐらしのなく頃に」「School Days(スクールデイズ)」という具体的作品名をあげたのだ。山本議員への批判が過熱した背景の一つに、容疑者はアニメやゲームとは相いれないタイプだ、というものがあった。しかし、この2作品は猟奇的シーンがあることで知られ、過去の殺人事件の際に一部局で放送が休止となり、関係性を取り沙汰されたという経緯があるため、反論ができにくい状況となってしまった。掲示板には、
「山本一太の言うとおりだったな」
「謝罪する必要は無かったな。アニメが影響してたわやっぱ。被害者のJKの何人かはアニメや漫画で繋がってた可能性出てきたし」
「俺達、山本一太にごめんなさいしないとな」
などといったことが書き込まれ、「文春」は山本議員の発言の裏取りをした形だが、山本議員が謝罪をしたせいでスクープが霞んでしまわないか、などと心配する声もあがった。
ただし、この女性の証言は事実なのか、との疑いを持っている人も多い。それはアニメ好きの前に「たぶん」が付いているため曖昧であること。さらに、アニメが好きだとしても、この2作品の名前が真っ先にあがって来るのは不自然であり、
「あまりにも出来過ぎていないか?」
というのだ。いずれにせよ、
「犯罪者に影響を与えたアニメもあれば、偉人に影響を与えたアニメもあるだろう。いつも取り上げられるのが前者だけだからアニメが悪印象を被る」
といった意見もあり、アニメやゲームを色眼鏡で見ることはして欲しくないというファンの思いは変わっていない。