白井健三

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2日、カナダのモントリオールで行われている体操世界選手権では、白井健三(日体大)が予選に出場。すでに、内村航平が負傷により棄権しており、白井に対する期待が一層高まっている。

すると、テレビ朝日「報道ステーション」(2日放送分)では、3日に現地へ赴くスポーツキャスター・松岡修造氏が、約1ヵ月半前に行ったという白井のインタビューを放送。松岡氏は、白井が発した言葉の数々に感心しきりの様子だった。

白井は、4度目の世界体操ながら個人総合には初出場。松岡氏から「何を一番掴みたい?」と訊かれると、「世界体操の個人総合ってこういう場所という自分の中のイメージを掴みたい」と切り出すと、「ルールも変わりましたし、入れてる技も変わってますし、そういった攻めの姿勢が日本だと評価されてるんですけど、世界になって評価が変わってくるのかどうかとか自分の体操が評価されるのか世界で知りたい」と落ち着いた口調で語る。

体操では、完成度を厳しく審査するようになり、難度の高い技を取り入れても完成度が低ければ減点されてしまう。そのため5月のNHK杯では「失敗してもいいから自分の点の出方を知りたいと思って、できる技をほぼ入れた」といって松岡氏を驚かせた白井。「やれることは全てやりたいタイプ」と話すと、「やりきった感覚が一番ほしい。試合では。結果より」とキッパリ。その上で「2番でも自分が満足できてたら悔しくない。逆に失敗して1番でしたって言われても僕は嬉しくない」と言い放った。

また、他の選手に迷惑がかかる団体とは異なり、「個人総合で自分だけの試合だと失敗しても自分だけに返ってくるだけ」と前置きした白井は、今大会に向け「成功させることも大事だと思うんですけど、そこで失敗できる価値も結構高い」と続け、ここでも松岡氏を唸らせた。

その真意を「大舞台で失敗すればするほど同じことは二度とやらない。失敗することも次に繋がる」と説明した白井。リオデジャネイロ五輪の床ではミスを連発し4位に終ったが、この時に失敗した「後方伸身宙返り2回半捻り+前方伸身宙返り2回半捻り」を挙げると、「今シーズン入って1回も失敗していない。大舞台で失敗すればするほど学ぶもの。絶対にあの技だけは失敗したくないと思って今年はやっている。あそこで負けてから負けなしなので、床は。大舞台での失敗は自分を変えてくれる」と嬉しそうに語った。

偉人のような白井の言葉の数々に感心しきりの松岡氏。「また失敗したら?」と尋ねると、ここでも白井は「あんまりない。自分の代わりは誰もいないので自分にしかできないことがある。(リオ五輪で)4位という結果だからといって周りに批判される必要もないし、これが自分の精一杯だったんだなって思いました」と返答。これを聞いた松岡氏は思わず握手を求めた。