IoTによる鉄道エコシステム構想、エネルギー問題解決にも向かうか
IoTという言葉を耳にしない日はないと言っても過言ではない。第4次産業革命の代名詞とも言われるInternet of Thingsの略称だが、アマゾンに代表される物販、そして物流が語源に近い地位を占めるのであろう。しかし、それに限らずセンサー情報から現場の環境周辺、モノの具合を含めて状況を把握し、次に採るべきアクションを決定する流れを作る仕組み作りは農業の自動化、或いは、ロボット化、そして、第2次産業革命以来の物流の元祖に位置する鉄道産業にも当然広がって来るべきものである。
【こちらも】部品交換をIoTで最適化 三菱電機、鉄道車両の予防保全システム開発へ
移動手段である鉄道が、幾つかの要素を併せ持つ社会事業であるのは言うまでもないのだが、この稿では環境エネルギー問題と人手不足問題を社会課題として捉え、解決に導くひな形として鉄道事業を活用しようとする視点について、規模ある鉄道事業を題材にして着目してみたい。
一つめに環境エネルギー問題である。電力消費量を減らすのと、二酸化炭素排出量を減らすのは喫緊の課題解決の方向性であり、これを自前の電力供給設備を持つJR東日本が先導して進めようとしている。数値目標は電力消費25%削減、二酸化炭素排出量40%削減となっている。インバータ車両によるモータ駆動の高効率化、そして、車両の軽量化により電力消費を減らそうというものだ。
また、電力供給路については、電力、ガスが共に自由化されたいま、需給バランスを観測するシステムを最大限活用することも考えられる。いずれにしても、エネルギー供給を鉄道事業を通じて最適化する構想には注目して行きたい。
二つめは、ロボット活用による保守、メンテナンス作業の遠隔操作化、自動化・省力化である。こちらは喫緊の社会課題である。
コンビニエンスストアは、特に都市部では地域により外国人アルバイトが多数を占める例も多く、人手不足を海外からの留学生らが補っているように、就労人口不足を補うため、より効率的な運営・業務体制に繫げるための良策がなかなか見つからないのが現状のようである。もちろん、仕事を求める人、特に外国人アルバイトにとっては生活や学費の糧になっているかも知れず、一概に良し悪しは言えないのだが、彼らにとってもより好条件で働きたいのは一致するところであろう。ロボット活用は施工管理から接客業に至るまで、活用が進もうとしているが、保線作業へのロボット活用も検討され始めている。
保線作業は鉄道運営に欠かせない。このやり方を知る人は重要だが、その数が減って来るのは間違いないため、人が十分に居る間に流れ作業で出来る箇所を順次ロボットで自動化しようとするものである。
鉄道産業全般を輸出しようとする産業政策との連動ぶりだが、アメリカの内需拡大政策と連携を取りつつ欧米共に活動領域を広げて行くのが正攻法であろう。雇用創出のまたとない機会であるため、鉄道インフラ敷設が国内外を超えたエネルギー産業の課題解決の方向に向かうことで、結果、外交の道筋と国際平和につながるものと考えられ、今後の動きから目が離せない。