沖縄基地反対派から「虚偽報道」指摘 MXテレビ「ニュース女子」は抗戦の構え
沖縄・米軍基地の反対派を批判的に取り上げたTOKYO MXテレビなどでの番組「ニュース女子」に対し、反対派とされた市民団体がフェイスブックなどで猛抗議し、ネット上で論議になっている。
ニュース女子は、CS放送チャンネル「DHCシアター」で週1回放送され、MXテレビでは、月曜日の夜に流されている。東京新聞論説副主幹の長谷川幸洋さん司会の下で、識者らにニュースを解説してもらい、女性タレントにも意見を言ってもらうのがスタイルだ。
5万円支援のチラシ示し、「反対派に日当か」
2017年1月2日のMXテレビ放送では、沖縄・高江の米軍ヘリパッド建設を巡る反対派の動きがニュースに取り上げられた。まず、軍事ジャーナリストの井上和彦さんが16年12月に沖縄に行って取材してきたことについて、「マスコミが報道しない真実」として報告した。
井上さんは、現場を訪ねようとしたが、「カメラを向けると凶暴化する」「襲撃される」と周囲から中止を求められたという。それでもディレクターだけが車で行って、そっとカメラを出したところ、反対派の車から挟み撃ちにされ、危険だと判断して中止にした。車が足止めされると、工事用トラックが入れなくなることも考慮したという。
その後は、地元の住民らにインタビューし、反対派への不満を紹介した。井上さんは、「救急車を止めたという話もある」「テロリストみたいだね」と感想を話すと、取材に応じた男性も同意していた。
また、井上さんは、ヘイトスピーチなどに反対している市民団体「のりこえねっと」のチラシも示した。そこには、ヘリパッド阻止に向けた市民特派員を募っており、「往復の飛行機代相当、5万円を支援します。あとは自力でがんばってください!」とあった。さらに、普天間基地周辺で見つけたという茶封筒に「2万」などと書かれていることを示し、反対派は何らかの組織に雇われており、日当をもらっているのではないかと疑問をぶつけた。
「人々からの寄付で現地に市民特派員を派遣」
反対派について、井上和彦さんは、「韓国人はいるわ、中国人はいるわ」と述べ、地元住民らがなぜそんな人たちがいるのかと怒っていると聞いたともした。大阪から来ている反対派も多く、「(沖縄の)大多数の人は、米軍基地に反対という声は聞かない」と述べた。
番組では、チラシを作った「のりこえねっと」の共同代表をしている在日3世の辛淑玉(シン・スゴ)さんのことも話題に上がり、「反対運動を扇動する黒幕の正体は?」が議論になった。その結果、在日韓国人の中にも北朝鮮が好きな人がいるので米軍基地に反対しているのではないかとの考え方が示された。
こうした番組内容に対し、のりこえねっとは1月5日、フェイスブック上で抗議声明を出した。
そこでは、ニュース女子は、反対派に金銭の報酬が支払われているという虚偽報道を行い、共同代表の辛さんには人種差別に基づく憎悪扇動表現をしたと強く非難した。5万円については、人々からの寄付で現地に市民特派員を派遣したと反論し、「韓国人がなぜ反対運動に参加するのか」などと辛さんにヘイト発言をしたと断じている。
番組側が予断を持たずに取材していれば、多くの人が手弁当で自主的に活動していることが分かったはずだといい、ニュース女子の報道は、多角的な論点を義務付けた放送法第4条に抵触するとした。また、日本以外の国籍を持つ人も多数参加しており、辛さんへの報道内容は、差別的言動を禁止したヘイトスピーチ対策法にも抵触するとしている。
番組では「チラシに書いてあり問題はない」
琉球新報や沖縄タイムズといった地元紙も1月11日になって、のりこえねっと側の反応を紹介し、「沖縄ヘイト」だとの見方を大々的に報じている。沖縄の人たちの大多数が基地建設に反対しているとも指摘した。この中で、辛さん側は、近く放送倫理・番組向上機構(BPO)などに人権侵害を申し立てるとされた。
一方、ニュース女子は9日の番組で、前回の報道が収録日の5日までにツイッターで「捏造」「ヘイト」だなどと大炎上していることを伝えた。しかし、5万円については、チラシに書いてあり問題はないとの認識を示し、公安調査庁の資料でも、中国が反対派に接近していると書かれているなどと反論した。今回騒ぎになったことは、真剣に考えるきっかけになり、今後は議論を深めていくとの考えを示した。
TOKYO MXテレビでは12日、J-CASTニュースの取材に対し、「状況確認及びご回答の可否も含めて、結論が出ておりません」とコメントした。