命が消えかけた男性、最期の望みは婚約者との結婚(出典:http://edition.cnn.com)

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末期がんで死を目前にした男性のただ一つの願いは愛する彼女との結婚だった。その願いを叶えるため彼の家族、病院、そして新婦となる女性の思いやりが胸を熱くする。しかし結婚式の翌日、男性は新妻を残し帰らぬ人となってしまった。フェイスブックに投稿されたこの結婚式の様子をCNNなど各メディアが報じ、全米の人々が涙している。

米テキサス州で2016年12月10日に慢性リンパ球性白血病で息を引き取ったひとりの男性。彼の名はラウル・タイニー・イノホサさん(33)で、がんに侵され明日をも知れぬ状態だった。

死期が近いことを知ったラウルさんに、入院先のバプティスト聖アンソニー病院の牧師が「最期の願いは?」と尋ねたところラウルさんは「私は彼女と結婚したい」と答えたという。

ラウルさんには11年間交際したイボンヌ・ラマスさんという婚約者がおり、その願いは「命尽きる前に彼女と結婚したい」というものであった。

その願いを聞いた病院スタッフと家族は、すぐに結婚式の準備にとりかかった。牧師は新婦となるイボンヌさんを大急ぎで裁判所まで連れて行き結婚許可証の申請手続きを行った。

本来であれば結婚許可証を得るためには72時間を要するが、裁判所は最優先で対応。病院のカフェのシェフはウェディングケーキを焼き、ラウルさんの親戚はイボンヌさんのドレスを用意、そしてラウルさんの病室は結婚の儀を交わす神聖な場所へと変わっていったのだった。

結婚式が行われたのは2016年12月9日のこと。イボンヌさんは白いドレスに着替え、病院のショップが用意してくれたブライダルブーケを手に持ちラウルさんに愛を誓い、そしてラウルさんもイボンヌさんに命がけの愛を誓ったのである。

後にイボンヌさんはメディアのインタビューに「彼は非常に信頼できるし、いつもロマンティックな出来事を私に与えてくれました」「私が前の結婚でもうけた3人の子供たちも自分の子供のように受け入れてくれました」と語っている。

ラウルさんとイボンヌさんの間には9歳の息子がいるが、ラウルさんはイボンヌさんの継子に対しても惜しみなく愛情を注いでいたという。

ラウルさんは以前から家族のため、そしてイボンヌさんとの結婚資金のため一生懸命働いて貯蓄をしていたそう。しかしその貯蓄は自身の治療費へと充てられることとなってしまった。イボンヌさんは彼のがんが発覚した後、毎日病院へ通い看病を続ける中、「決してラウルさんから離れることは無い」と誓ったという。

挙式当日、ふたりを見守っていたその場の誰もが涙を抑えることが出来なかったに違いない。そしてラウルさんは、結婚式をあげた翌日の10日に帰らぬ人となった。ふたりの新婚生活はわずか36時間であった。

33歳という若さでこの世を去らなければならなかったラウルさん。しかし最愛の人と最期に夫婦としてともに過ごした時間が、ふたりにとって救いになったことを心から願いたい。

出典:http://edition.cnn.com
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)