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新幹線が新大阪駅を発車すると、車内のあちこちから漂いはじめる「豚まん」や「たこ焼き」の強烈なにおい。主に新大阪駅から乗車した客が持ち込んだものだ。その強烈さから、「豚まんテロ」「たこ焼きテロ」などと呼ばれることもある。

とある土曜日の21時すぎ、弁護士ドットコムニュースの記者が新大阪駅から東京行きの新幹線に乗車したところ、様々な「臭い」が漂っていた。この臭いの発生源を突き止めるべく、1号車から16号車まで、くまなく歩いてウォッチした。

弁当を広げている人はたくさんいたが、やはり気になるのは豚まんとたこ焼きだ。おじさんが食べるものだろうと思っていたが、若い女性2人組が食べているケースが多かった。においがするたびに、羨ましさと、自分が食べられないことへの嫌悪感に悩まされる。

だが、この「豚まん」と「たこ焼き」をなぎ倒す猛者たちが京都駅でやってきた。カレーを食べ始めた女性2人組だ。強烈な臭いで周りを圧倒していた。「ここにいてはダメだ」と思って、他の車両に退避して、難を逃れた。

新幹線車内で食べないよう呼びかける注意書きも

これらの食べ物を新幹線の車内で食べることに問題はないのか。新大阪駅改札内のフードコートでは「新幹線車内および駅構内でのお召し上がりはご遠慮願います」と注意書きが張り出され、対策は行われている。また、豚まんは新幹線の改札内では冷凍のものしか販売されていない。それでも、改札外から持ち込まれれば防ぎようがない。

とはいえ、新幹線の車内で、強い臭いを放つ食品を食べる行為は、ルール違反にあたらないのだろうか。次の駅で強制的に降ろすといったことはできないのか。前島憲司弁護士に聞いた。

●臭気で迷惑をかけるおそれがあるものは持ち込み禁止だが・・・

列車内の品物の持ち込みについては、旅客営業規則で手回り品として原則持ち込むことができますが、危険品のように持ち込みが制限されているものもあります。

においを放つものであれば、例えば、JR東海の旅客営業規則では「不潔又は臭気のため、他の旅客に迷惑をかけるおそれがあるもの」として持ち込みを禁止しています(第307条)。

ただ、食品のにおいについては、それにより不快感を抱く人がいたとしても、多くの人が口に入れて食するものである以上、不潔なものと同等に扱われるような「臭気」というのは無理があると思います。

においが強いからといって、それを持ち込んで車内で食べたとしてもルール違反とまでは言えないし、新幹線から降りることを強制することは不可能だと思います。

ただ、ルールに違反といえないまでも、マナー違反といえるかもしれません。あくまでも公共交通機関なのですから、マナーは守り、おいしいものであれば、帰宅した後周囲を気にすることなくゆっくり召し上がっていただければよろしいのではないでしょうか。

(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
前島 憲司(まえじま・けんじ)弁護士
横浜弁護士会・就業問題対策委員会委員。横浜家庭裁判所・家事調停委員。弁護士になる前に裁判所書記官として10年以上勤務した経験がある。ロータリークラブにも所属。鉄道模型や鉄道に乗る「乗り鉄」など鉄道趣味のほか、日本史や神社の歴史をたどるのも好き。
事務所名:弁護士法人前島綜合法律事務所
事務所URL:http://www.law-maeken.jp