「覚えていません」ーー。証人の中国人男性Aさんは、法廷通訳人を介して、何度も繰り返した。6月から司法取引と同時に始まった「刑事免責」。自身の裁判で不利益な証拠にならないことを条件に、証言を強制させられるという仕組みだ。違反すれば、罪に問われる可能性もある。しかし、適用第1号となったAさんは核心的な部分について、一貫して記憶にないと発言した。検察は繰り返し、詳細を引き出そうとしたが回答は変わらない。予定