――メジャーデビューに向けて、どんどん髪の毛がショートになっている気がしますが、『彼に守ってほしい10のこと』が一番短いですか?

植田:『心と体』をリリースする時ぐらいに、長かったのを一回切っていて。どうしても朝5時ぐらいに無性に切りたくなって。でも、寝て起きたら冷静になって止めようと思うか、マネージャーさんに話して「ダメです」と言われるか、美容室の予約が取れないか、何か起きると思ったから、とりあえず切ろうと思って(笑)。

――自分で!?

植田:そう。それで次の日、すごく後ろめたい気持ちでマフラーして会社に行って(笑)。髪が長い時期がすごく長かったので、もう痛んでたし、正直飽きていて。これからどんな風にやって行くかとか、新しい何かを探したい時期でもあったので、フラフラしてたんだと思うんですけど。髪を切ってから、髪型に特に捕らわれなくなっちゃって。「こうじゃなきゃいけない!」みたいなものが、そこでかなり外れたのもあると思うんですけど、去年の1月ぐらいに、超短く切りましたね(笑)。

――眉毛の形とか、優しくなった気がしますね。

植田:多分、人間が優しくなったんですよ。文字にすると、ちょっと語弊がありそうですけど(笑)。最近よく女の子達に「昔は怖い人かと思ってました」と言われるんです。実際、私も周りの世界と関わるのが、自分はすごく下手だと思っていたし。ひたすら「こうじゃなければならない!」という想いを持って、それを盾に人と接している感覚がずっとあったんですけど、今は大分ナチュラルでいる気がします。



――植田さんが魅力を感じるのは、どんな人ですか?

植田:純粋な人ですね、計算高くない人。何か一個、信念を持ってる人だったり、誰かが嫌がることをやらないとか、当然のことなんですけど。私は10代の時からずっと、人のことをすごく疑ってしまうタチで。でも、いつまでもそんなこと言ってても仕方ないので、なるべく信じたいなと今すごく思っていて。死ぬまで誰かをちゃんと信じるとか、一生続くものに興味があるので。

――セカンドシングルの『ザクロの実』は、古民家でおしとやかな大人の女性の雰囲気を漂わせていますね。

植田:シンプルにギターレスの曲だったので、映像もすさまじくドラマチックに描写が忙しく変わるというよりは、ワンシーンでしっとりやりたいなと思って。京都とか奈良にあるような畳の部屋、緑が綺麗なお庭がある縁側で、ザクロを持って歌っているような雰囲気で、そこにザクロが帰ってくるという話をさせてもらったんです。どうやってザクロを動かそうかと考えてもらって、魔法を使って動かしてもらいました(笑)。

――これまでギターの印象が強かったのですが、『ザクロの実』は歌詞とメロディに合わせて、ごく自然にピアノのアレンジにしたんですか?

植田:そうです。なるべく、よりシンプルに削ぎ落として、歌詞とメロディと声が真ん中にあって、それだけで聴いたとしても、ちゃんと情景が浮かんだり、そういうことを最近すごく考えて曲を作っているので。極端に言えば、オケがギターでもピアノでも打ち込みでもストリングスでも、別に問題ないと思っています。もちろん、その曲に一番似合うものを考えて作っていますけど。



――メジャーになっても変わらないと感じるのは、PVやジャケット、ライブグッズなどのアートワークは、良い意味でインディーズらしい手作りのこだわりを感じますね。

植田:なるべく無駄にお金を掛けず、機械だけに頼らず、アイディアでどれくらいのことが出来るかとも思っているし、実際に自分の手の届く範囲で、何が起こっているか分かりながら、ちゃんと届けたいなと思っています。普通に生きていたら、どのくらいの人が関わって、誰がどのくらい手を煩わせて、ここまで出来たという過程が、あまりにも分からない所で動くじゃないですか。それを見えないままで当たり前に思ってしまうのが嫌だと思っていて。なるべく意識していないと、すぐに忘れてしまうので。メジャーでも、これからも変わらずに気を付けたいなと思っています。