池上彰の選挙特番では「目つきの変化」に注目!?|プチ鹿島コラム

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 本日はいよいよ「選挙特番」が放送される。今回は選挙特番のみどころを書いてみたい。 まず、私はなぜ選挙特番が好きなのか?それは「生放送が好きだから」だ。テレビが映し出すあのお祭り感が好きなのです。子どもの頃にみた「27時間テレビ」や「なるほど・ザ・ワールド春の祭典」などの特番は、「覗き見」をさせてくれる楽しさを与えてくれた。 今年で言うなら「笑っていいとも最終回」のような、何が起きるかわからないときめき。普段共演しない人たちが同じ場にいる、同じ「絵」にいる、というワクワク。選挙特番もまさにそんな生放送の醍醐味であり、人間模様の覗き見を手軽にできるコンテンツなのである。 そんなお祭りを仕切るスペシャリストは、久米宏の時代が長く続いた。怪物番組「ニュースステーション」の「司会者」(久米は自らをそう呼ぶ)は、選挙当日の夜は特番も仕切った。当落が決まった政治家との中継やら、普段はあまり登場しない与野党の大物が党本部で久米の質問に答える。その非日常ぶり。
 当時はまだ野球中継も花盛り。選挙速報の途中に「では甲子園球場の阪神巨人戦を呼んでみましょう」と呼びかける久米宏。そんな混沌と雑然ぶりからお祭りの躍動感が伝わってきた。
2000年代に面白味を失った選挙特番、そこに現れたのは…!? しかし、2000年代に入って選挙特番は急にその面白味を失う。久米宏の「退場」もあったが、システムの変化も大きい。念入りな出口調査と迅速な開票作業のおかげで、おおよその結果がすぐにわかってしまうのだ。その結果、選挙特番は妙なエンタメ化だけが進んでゆるくなる一方だった。
 そんななか現れたのが池上彰である。 池上特番は速報性に重きを置かないという逆手をとった。久米宏は切り返しの面白さだったが、池上彰は当選した人が「どんな人か」丁寧に料理してくれる。本人と中継がつながったら「じゃあこれからどうしますか?」と深く掘り下げる。生放送だからグイグイ聞いたほうの勝ち。
 本日の池上彰特番(テレビ東京系)で注目してほしいのは、池上彰の目つきの変化だ。
 政治家が少しでもたじろいだり、妙なことを口にするや、池上彰の目は重く光る。表面上は笑顔なのだが獲物を見つけた瞬間だ。ジリジリと近づいているように見えるはずだ。この様子が生放送で「ドキュメント」として観戦できるのである。ぜひチェックしたい。
 私は今夜TBSラジオのスタジオにこもり、民放各局の選挙特番をすべて同時にウオッチすることになった。いったいどんなシーンがあったか?各局の差は? その報告は月曜の「 荻上チキ・Session-22 」(TBSラジオ)にて、プチ鹿島の選挙特番報告としてお伝えします。
是非、その「共犯仲間」として今夜は選挙特番を楽しんでほしい。
著者プロフィール

お笑い芸人(オフィス北野所属)

プチ鹿島

時事ネタと見立てを得意とするお笑い芸人。「東京ポッド許可局」、「荒川強啓ディ・キャッチ!」(ともにTBSラジオ)、「キックス」(YBSラジオ)、「午後まり」(NHKラジオ第一)出演中。近著に「教養としてのプロレス」(双葉新書)。