英を代表する日本イベント「ハイパージャパン」はどれくらい盛り上がったのか?

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7月25日から3日間、ロンドンで日本のポップカルチャー、食、伝統文化、ハイテクなど“ホンモノの日本”を紹介するイベント「ハイパージャパン2014」が行われた。毎年パリで開かれるジャパンエキスポと比べて、ロンドンのハイパージャパンはどのような雰囲気なのか。実際に現地へ行ってみた。

会場はロンドン西部にあるアールズコート第一展示場を使って行われた。規模はジャパンエキスポよりコンパクトで、コスプレだけに留まらず一般的な若者や家族連れなども多く、客層の幅広さを感じた。ジャパンエキスポがアニメ・漫画、ゲーム関連のブースが多いのに対し、ハイパージャパンでは飲食関連ブースが占める割合が幾分多い印象だ。その飲食エリア「EAT-JAPAN」で行われたイベントが「EAT JAPAN SUSHI AWARDS」と「EAT-JAPAN SAKE EXPERIENCE」だ。

「EAT JAPAN SUSHI AWARDS」は、来場者が各1種類ずつ食べられるチケット15ポンド(約2600円)を購入し、投票によって全英ナンバーワンを決めるというもの。英国を代表する5人のすしシェフのオリジナルすしがノミネートされた。すしといっても伝統的なスタイルではなく、「フレッシュ・サマー・グンカン」「マタドールズ・マキ」「ワギュウ・クリスピー・キューブ」など独創的な作品が並び、投票の結果、レストラン「ROKA」のシェフ、ボイチェク・ポプフさんの「シーベッド・シップレック」が栄光を手にした。「EAT-JAPAN SAKE EXPERIENCE」も15ポンドで各蔵元の日本酒を試飲でき、好みのものに投票するシステムだ。ここでは松竹梅白壁蔵の発泡酒「澪」(みお)が1番人気になった。

パリと同様にロンドンでもゲーム関連ブースは多くの人が集まった。その中でも、任天堂は約500平方メートルの巨大ブースを展開した。Wii U「マリオカート8」のレース模様が、実況アナウンサー付きの巨大スクリーンで映し出され、ファンは参加に長蛇の列を作った。バンダイナムコと東映アニメーションの合同スペースでは「テイルズ・オブ・エクシリア」や、大ヒットアニメ「ワンピース」「NARUTO」のゲームなどが人気だった。

「Culture」エリアでは、地方自治体もブースをいくつか出展し、もっとも大規模に参加していた静岡市は、徳川家康没後400年の記念プロジェクト「IEYASU400」を積極的にPRしていた。福岡市は来場したファンの好みに合わせて、市内のアニメやゲーム産業を前面に出したり、島根県は県の観光キャラクター「しまねっこ」の紙製帽子を配った。

「HYPER KAWAii!!」エリアでは、きゃりーぱみゅぱみゅの所属事務所アソビシステムが主導する「もしもしにっぽんプロジェクト」が日本のポップカルチャーを紹介。NHKワールドとカラオケのDAMがコラボレーションしたカラオケブースや、富士フィルムのブースではインスタントカメラ「チェキ」での撮影会が行われた。

会場内ステージでは、ロボ・ガレージ代表・高橋智隆さんによるロボットデモンストレーションが行われた。ヤマハの音声合成ソフトウェア「ボーカロイド」と日本の伝統人形劇・文楽がコラボレーションした題目「AOI」のワールドプレミアも上映された。テクノロジーとサイケデリックを合わせたパフォーマンス集団「白A」は、異なる文化背景でも理解しやすく、来場者は大きな拍手を送っていた。毎年パリのジャパンエキスポで行われる全欧コスプレショーの予選会も行われた。

今や英国を代表する日本イベントに育ったハイパージャパンだが、これからどのような展開を考えているのか。主催するクロスメディア社によれば、同イベントは夏と冬の年2回に分け、それぞれ性格を分けていくという。夏はさらに規模を拡大する一方で、冬はより日本の参加者のビジネスになる方向を模索する。来場者数も、今年は8万4000人(95%が英国人を主とする欧州人)となり、昨年の6万2000人を上回ったとのこと。今後の盛り上がりに期待大だ。
(加藤亨延)