サービスセンターのお姉さんに教わった知識と、選手のイケメン度で舟券購入を決める。マークシートの記入にも力が入ります

写真拡大 (全4枚)

「これはどうやって入ればいいんでしょうか?」
「お、百円入れればいいんだよ、細かいのなかったらそこに両替機あるからさ」

東京・平和島ボートレース『マクール杯 〜絶好調選手権〜』(7/4から開催)。2014年に級別や勝率がアップした絶好調な選手ばかりを集めたレースを観に来た。ノリにノッてる選手が集結するなんて楽しみ。

ゲート入場の電車の改札機のようなシステムに緊張しながら、とまどいの土曜の朝10時半。女一人でボートレース場! いざ出陣。

■初心者でも大丈夫だった! 手厚いサポートで女性も楽しめる

まずは基本だ。ボートレースといえば馬でも自転車でもなくて、舟のレースである。そこから先の知識が欲しいので、ゲートを入ってすぐ右手のサービスセンターを尋ねる。
「あの、今日初めて来たのですが……。」
「どうぞお座りください」
恐る恐る聞いてみると、制服を着たお姉さんがやさしく説明してくれました。
ボートレースの基本ルールに、「出走表」の見方、舟券の買い方まで、ていねいに解説してもらった。
初心者のキモをまとめてみます。

■6艇6色だからわかりやすい

一つのレースに出場する選手は6人。ボートごとに色が割り振られているので、スピード競技でも目で追いやすい。白黒赤青黄緑、ちょっとジャニーズみたいじゃないですか?

■独特なスタート方法

出走から0〜1秒の間に決められたラインを通過してスタートとみなす「フライングスタート方式」を採用。フライングや出遅れ判定を受けると欠場扱いになり、その舟券も払戻になるそうだ。重いペナルティもあるそうで、選手にとってこんな恐ろしいことはないという。ボートレースの勝敗は選手のメンタルも大きく影響する。

■選手の体重、経験、ボートのメンテナンス……色んな要素が絡むレース展開

事前に割り振られたボートとモーターを使う。モーターの整備は成績に直結するのだ(そういえば河合克敏の傑作ボートレースマンガ「モンキーターン」にも出てきました)。選手の体重も50キロ以上と決められていて、満たない選手はおもりを着けるそうです。だが、50キロをオーバーした体重はそれだけハンデとしてのしかかってくる。男子の50キロキープ……!

全国に24あるレース場にもそれぞれ特色があって、例えばここ平和島ならば海水が入ってる水だし、びわこならば湖だし、浮力にも大きな差がある。

びっくりしたのは、ボートレース界には定年がなく、72歳のレーサーもいること。好きな選手を長く応援できるってことですね? いっしょに歳を重ねていけるってなんかいいな。
ゲート前に置いてあった本日の「出走表」(無料)、解説を聞くまでは暗号文にしかみえなかったけど、おぼろげに理解できた。たった20分なのにすごい進歩。
9時50分から17時00分まで毎日開かれてる初心者教室はオススメ。

■広い、きれい、海風が気持ちいい!

レース開始までに余裕があったので、場内を歩き回ってみました。とにかく広い敷地には、レース場の他にイベントステージやカフェも併設。ずらりと並ぶ舟券売り場を抜けると、一面に広がる水面、おお、すぐ目の前でレースが観られるのか!
平和島レース場は海に繋がっているので、潮風がとても気持ちいいです。遠出した気分になれるのも嬉しいところ。風に当たりながら、定番のモツ煮込み(500円 むっちゃ肉が入ってる)や、アジフライ(150円 肉厚)をつまみに、ビール(大 600円)もすすむ。
屋内の二階にも観客席があって、ここはレース場全体を見渡せます。しかも空調が効いていて快適(化粧崩れしない!)、三階には指定席(有料)もある。
場内がとにかくきれい。常に掃除をするスタッフさんがいて、落ちているゴミをこまめに拾う姿は、某テーマパークのようでした。来場者はおじさんが中心だけど、若い男性のグループやカップル、女性の二人組、中年夫婦、ベビーカーを押す家族連れの姿もいて。ここはデートの穴場じゃないかと思います(マジで)。「出走表」を片手に楽しげにレース予想を語り合うカップルを横目に、女ひとり、レモンハイ(500円)がすすみます。

■イケメンに投じるのもアリ!  舟券の買い方

舟券は一回100円から買えます。1日12レースあるので、全部を買ったとしても、最低1200円(+入場料100円)で楽しめます。インフォメーションのお姉さんから教えてもらったことを思い出しながら「出走表」をチェック、舟券を買う選手を絞っていきます。今シーズンの勝率、モーターにも勝率があって、選手級別ってこれは重要そう、うーんうーん。
あれ? このひとかっこいい。いい、顔で買おう。イケメンは正義だ。大池佑来選手をロックオン!

券売機の近くでは、予想屋さんが講談を打っている(ように見えた)。
「この選手は休んでいる間に体重が増えたんだよ、休みこそ痩せなくちゃ」
(うっ。わたしのことですか?)
「59キロもあるから、腕はあっても舟が言うことをきかない。ちゃんと絞れ」
(がーん……たしかに、さっきアジフライを食べたのはまずかったですよ!  わかってますよ、でもそんなに責めることないじゃない、食べたいときだってあるよ)
この選手の舟券も買おう。「出走表」には乗っていない情報が聞けて情が湧いてしまった……。西島義則選手負けちゃだめだ。
あと、やっぱ牛肉コロッケ(150円)も買おう。

公営競技では、赤ペンを耳にさしたおじさんが、レースが始まると「いけーーー!」とか「抜けー!」とか豪快なヤジを飛ばすというイメージを勝手に持っていました。でもボートレースファンは違いました。だまって静かに闘志を燃やしていたのが印象的。
舟券を前に考えあぐねいていたら「こうしなよ」と教えてくれる人がいたり、こっそり(つぎはぜったい6がくるから)とアドバイスしてくれるひとがいたり、とても紳士的。大穴を当てたうれしそうなおじさんから、「俺あたっちゃったー、ビールをおごってやるよ」と話しかけられたり。しかし長く話し込むことはなく「またな!」とスッと立ち去る姿もカッコ良かった。

サッカー界でいえば内田篤人選手のような甘いマスクの選手もいれば、柔道の県大会で優勝した経歴を持つワイルド系、会計士の資格を持つインテリ系など、選手のプロフィールもおもしろい。お気に入りの選手探しもボートレースの楽しみ。
そして、レース場を挟んで大画面でうつしだされるレース直後の勝利者インタビューは必見です。
女性司会者から「おめでとうございます、見事勝利ですね」とレースの感想を聞かれて「あ、はい……ありがとうございます」と言葉少なく控えめ。
レースでは攻めの姿勢だった選手が実はシャイだったという、そのギャップにグッと心を掴まれてしまいました(相原利章選手!)。

■女子が見にいくときの便利グッズ

場内ではとにかく「出走表」とペンが手放せないので、斜め掛けのバッグやリュックが便利。また、こまめに舟券を買ったり、ビールを買ったりとコインを使うので、小銭入れがあるといいかも。外でレースを観て、建物にはいって予想屋のおじさんの解説を聞いて、舟券を買って再びレース観戦をと繰り返すので、歩きやすいスニーカーやフラットシューズがオススメです。

ちなみに私の勝敗は、第1レースでビール一杯分をゲット!(ビギナーズラックだったと6レース目くらいに気がつきました)
疾走する6色のボートは想像してたよりも小さくて、超ハイスピード走行。てか速すぎて水面から浮いてるよ! 宮崎アニメか!?
コーナーの先陣争いがとくにスリリング。ボート同士がぶつかり合う場面もあり、「うあああああっ」って声でてました。ハラハラドキドキ、何度も舟券を握りしめる。

今回見たレースは男性の選手ばかりでしたが、ヴィーナスシリーズという女性のレーサーを集めたレースもあるそう。さらにニコニコ生放送での中継や、ネットで舟券が買えるシステムもあるので、実はとても身近なボートレース。今回勢いで、12レース全てを見てきましたが、飽きる事なくあっという間の一日でした。女性のみなさん、ボートレースで日頃のストレスを発散してみては?
(柚月裕実)