「プレゼントでもらった雑誌をマガストアで選ぶ様子と、あげた側のgifteeの様子。決済も複数の方法で可能、画面も簡潔でスマートフォンのみでもあげたりもらったりが全てできる。」

写真拡大

遠い昔から、「今年が電子書籍元年だ!」「いよいよ電子書籍の波が来る!」と毎年毎年ビジネス雑誌とかが言ってた。さすがに最近、あんまり見ない。でもまだまだどんどん電子書籍を買ったり読んだりするサイト、サービス、アプリ、新しく増えてる。

新しいサイトに登録するごとにIDやパスワードを決めていくのは面倒だけど、近所に新しい本屋ができて、そこに行くのに比べれば楽だ。視野の狭い十代を、amazonも無い時代に郊外で過ごした僕は、「これって、ちょっと前の僕にとっては魔法や奇跡だよな」と再確認しては、ありがたがってる。

新しいインターネット技術の基準に慣れて、これらを日常的に、当たり前のように使っている。使っているんだけど、「あることが技術的に可能になる」ってことと、「その技術によって実際自分がこういうことができた」っていうのは違う。「間違えて買った本が面白くて、そのジャンルが好きになった」「高かった洋書が現地レベルの価格で買えた」「絶対もう復刊されないと思ってた本がデータ販売限定で出た」などなど、楽しい出来事は毎日起こってる。

気が向いたら、たまに新しいサービスに登録して、「ダメもと」で軽く使ってみたりしてる。初めから「ここの常連になろう!」と思って店に入ることはなし、そんなものだろう。おおまかな仕組みは各サービス同じでも、「ここでこの漫画に出会った」とか、体験は不思議とバラける。

「マガストア」っていう電子書籍販売サイトがあって、ここは日本の雑誌を専門にしてる。ファッション、ビジネス、アウトドア、コンピューター、書店に並んでいる感じで、雑誌が見れる。ほとんどの雑誌が、試しにペラペラ読める。

僕は本屋で雑誌を立ち読みをするのが好きじゃなくて、かつ、家に保管せずにどこかのタイミングで追い出したい方なので、「雑誌は図書館か電子記憶媒体」にしてる。嫌いなんじゃない。むしろ、興味ないことにもランダムに出会えるし、好きだ。だからこそ、かなり軽めに付き合いたい。

ここで売ってる雑誌を、「giftee(ギフティ)」っていうサービスを使って、人にプレゼントできるようになった。メールやFacebookのようなSNSアカウント宛てにプレゼントを贈ると、もらった人がマガストアの雑誌から好きな物を1冊選んでゲットできる方式だ。

特定の商品や、ストアで使えるポイントをギフトカードとして贈れる機能は世の中に多いけど、「限定された数(マガストアの場合、現在21種類の雑誌)から好きなのを選べる」というのが、良い。

図書券やマクドナルドのカードみたいに「用途が決まってる物」って、あげる側ともらう側が「半分ずつ選んでる」感じがして楽しい。結婚式のお返しとかでもらうカタログから選ぶやつとか、「どれが一番得かな」とか、妙なチャレンジ感がある。一番高そうな物を選び、結果1回も使われずに保管されるタジン鍋なども、趣があって良い。自由と制約のせめぎ合いの中で、ドラマが生まれるのだ。おおげさに言うと。

gifteeのサイトで決済して買い、メッセージカードをを添えてプレゼントする。相手にはURLが送られ、1冊選ぶとマガストアで読めるようになる。特に迷う行程も無いシンプルな作りだ。メッセージカードは色んな種類があるので、お礼とか、誕生日とか、シチュエーションに合わせて、テキストでメッセージを書く。

金額が書かれたストアカードだったりすると、もはやそういう電子マネーって現金と変わりないので「なんでくれるの?自分で使いなよ」となったりしてしまう。スマートフォンやタブレット持ってても使ってない親とか、あんまり本屋に行けない家族や友達なんかにも、「まあ、好きなのがあったら、時間つぶしにでもどうぞ」と軽い感じで気まぐれにあげたりできる。

すごく巨大で品揃え最高な超便利ストアがある一方で、こういう微妙なバリエーションで新しい用途とか人とのやり取りを生んだりするストアがあるのは、多様性って感じだ。

雑誌とかで「電子書籍が来る!」みたいな見出しを見なくなったと書いた。「電子書籍のサイトはこういうもので、こういう使い方ですよ」という定型以外のストアや使い方が増えてきて、みんな適当に好きなように使えてきてるってことなのかも。超最新最先端だったものが、年々どんどんこうやって、気楽に、かなり軽い気持ちで、いい加減に使えるようになる過程も、眺めてて面白い景色だ。

「マガストア」のサイトはここ、プレゼントできる「giftee」の場所はこちらです。(香山哲)