鹿児島城西vs奄美 夏への課題「具体的に」見えた！・奄美
夏への課題「具体的に」見えた！・奄美
先発した鹿城西・赤塚投手
シード鹿児島城西が地力を発揮して、奄美に競り勝った。
鹿児島城西は序盤から好機をものにして先手を取る。1点差に詰め寄られた6回には、一死一二塁の強打は併殺かと思われたが、悪送球を誘って1点を加え、4番・大平 宙斗（3年）、5番・野�� 哲太（3年）に連続タイムリーが出て、この回3点を挙げて、試合の主導権を手繰り寄せた。また7回から先発の赤塚 慶樹（3年）をリリーフした島元 一樹（3年）が奄美打線を零封し、反撃を断った。
敗れた奄美にとっては、シード校相手に2―6の結果は善戦といえるかもしれない。だが、ベンチを引き上げるナインに笑顔はなかった。試合中は笑顔を絶やさず、明るく盛り上がっていたのに、中には悔し涙を浮かべる選手もいる。それは「勝つつもりだったのに負けた」（四本 凌主将・3年）のが悔しかったからだ。
「夏までの課題が具体的にみえた」と前園 昌一郎監督。これまで3試合を無失策だった守備が4失策。
中でも、1点差に迫った直後の6回の2つのエラーが、致命傷の3失点につながった。打球や足の速さ、スキのない走塁…これまでの対戦相手とは一味違うプレッシャーをかけてくるシード校を相手に、どう守るか、大きな宿題の一つになった。
リリーフで登板し好投した長谷場（奄美）
攻撃では、打線のつながりを作りきれなかった。4―7回と先頭打者がヒットで出るも、得点できたのは5、6回のみ。それも相手のエラーや暴投でもらったものだ。4、5回と強攻策がいずれも裏目に出た。「最後はミスが勝敗を分ける。ベンチワークも含めていい経験をさせてもらった」（前園監督）。
とはいえ「今持っている奄高らしさを出し切った」（四本主将）のも確かだ。9安打を放ち、奄美出身の相手エース赤塚を7回途中でマウンドから降板させた。6回以外の回も再三ピンチは背負ったが、粘り強く守って最少失点で切り抜けた。
6回からリリーフした長谷場 玲也（3年）は相手打線を完ぺきに抑え、9回も二死から連打で最後の粘りをみせた。中盤、シード校を「倒せるかもしれない」ところまでもっていったのは、3試合を勝ち抜いて成長した証だろう。
「倒す」ためには何が必要か。敗戦の中にいくつもの「ヒント」が転がっている。夏まで残り100日。具体的に見えた課題をどう克服するのか。今後の奄美に期待したい。
（文＝政 純一郎）
