乱打戦を物語るスコア

湘南が乱打戦を制し、県大会出場!

 24対15。 野球のスコアである。湘南対慶應藤沢の一戦は乱打戦となった。仕掛けたのは湘南からだった。まず1回表、湘南が5番大沼の中越え二塁打で2点を先制する。その裏、慶應藤沢は打者14人の猛攻で、8点を入れて逆転に成功。これで慶應藤沢のペースと思いきや、湘南は2回表に二死満塁から押し出し、4番佐久間の2点適時打。そして二死一、二塁から5番大沼がライト線を破る適時二塁打で8対7。

  その後、慶應藤沢が3回までに12対5と7点差をつけるが、4回に5点、5回に9点を入れて、21対12で逆転に成功した。慶應藤沢は5回裏に失策絡みで3点を返し、21対15となった。

 ここまで湘南の得点パターンを振り返ると、慶應藤沢は連打でチャンスを作り、適時打か、相手ミス絡み。湘南は四球、安打でためたランナーを集中打で返すパターンだった。どちらも点の取られ方が良くない。

 こういう乱打戦のヒーローは打った選手よりも、試合をリセットさせて、落ち着かせた投手がヒーローに相応しい。そういう意味で、今日のヒーローは湘南の三番手の吉田 龍之介(新2年)である。上背はそれほどでもないが、縦振りから鋭く振り抜けるオーバーハンドで、角度ある直球が光っていた。今日の試合では彼が一番だった。

 

好投を見せる吉田投手

3回裏から登板した吉田は一死一、二塁から登板して、その直後は打たれて、2失点。5回にも失策絡みの3失点はあったとはいえど、ランナーなしの場面からの登板と、守備のミスがなければ失点を防げていた内容だった。抑えられる投手の登場が、逆転を呼び込んだといっていい。

 その後、湘南は試合後、監督は「なんとか勝ち進んで県大会出場を決めたのは良かったと思います」とコメント。守備からの失点を反省点に挙げていた。

 この打撃戦では、多くの選手が活躍していたが、その中で技術的に優れていた選手を紹介すると、湘南は5番セカンドの大沼。慶應藤沢は1番サードの吉田である。大沼は小柄ではあるが、トップの位置が安定し、広角に鋭い打球が打てる打者。吉田は長打はないが、内野の間を鋭く抜けるゴロを放つ右の好打者。お互い新2年生で、レベルの高い投手相手にも結果を残せる打者と感じた。

(文=河嶋 宗一)