穴吹、池田からの学びを活かして川島を破る! 

9回表二死一・三塁から2点二塁打の穴吹4番・平岡 拓巳捕手(2年)

「あの試合で『積極的に振る』ことの大切さを学ばせてもらいました」

 試合後、2つ目のウイニングボールを手に笑顔の穴吹・井上 力監督は、まず9回二死一・三塁からに3番・上田 優志(3年)がセカンド横を抜いた勝ち越し打、続く平岡 拓巳捕手(2年)が「積極的に打つことを心がけて」左中間を破った2点二塁打がいずれも初球だった理由について言及した。

「あの試合」とは、3月12日午後に井上監督にとって母校である(井上監督は1986年センバツ優勝時の中堅手)センバツ出場の池田との間で行なわれた練習試合を指す。この試合で穴吹は名西 宥人(3年)から7回で6安打、渡邉 剛志(3年)からも1安打を放つも0対8で完敗。好機で全てファーストストライクを捕えきれない「積極性」の欠如がその一因だった。

 その直後、ミーティングでその部分を修正して臨んだ穴吹。「エラーが全て点に絡んでしまった」(北谷 雄一監督)川島に不用意な点はあったとはいえ、昨春・昨夏県大会準優勝の強豪に対し、小さな穴を大量得点につなげた集中力と、同点2ランを放った直後の相手左腕・安丸 友耶(3年)を再び攻略した9回の3点は大いに讃えられるべきだろう。

 先日、板野特別支援学校への異動が決定し、日体大卒業後、中学教師を経て勝浦からスタート。徳島商で5年間・穴吹で4年間続いた高校野球監督生活から今大会限りでひとまず離れる井上監督。「『それは頭に入れるな』と選手たちには言ってあります」と指揮官はセンチメンタルな感情を排除した後、こう付け加えた。

「今、選手たちは最高の野球をしている。この感覚は徳島商で監督をしていた以来です」

(文=寺下 友徳)