なぜビジネス書作家が絵本を書くことになったのか?
好評を博している七田式の絵本セット『こころを育てる七田(しちだ)式 えほんシリーズ』。6つの絵本が収蔵されており、子どもへの読み聞かせにうってつけだ。
その絵本シリーズの最新コース『ペガサスさんコース』は、ビジネス書や自己啓発書の作家をはじめ、エッセイスト、絵本ソムリエなど、バラエティ豊かな執筆陣が絵本作りに挑戦。それぞれの物語には、子どもに伝えにくい「教訓」が理解できるように易しく織り交ぜられている。
前コース『ぞうさんコース』に続き、今回も絵本シリーズの仕掛け人である七田厚さんのお話をうかがうことができた。前半ではこの『ペガサスさんコース』について、そして後半では子どもの教育について語っていただいているので、ぜひ、参考にしてほしい。
(新刊JP編集部)
■「この絵本シリーズは“特別バージョン”なんです」
―今回はえほんシリーズの『ペガサスさんコース』についてお聞きしたいと思います。前回の『ぞうさんコース』と大きく異なる点としてあげられるのが、これまで、絵本は七田さんが中心になって作られてきたのに対して、この6冊はそれぞれ外部の、それも絵本の創作を専門にしていない方々が書かれているということです。普段、ビジネス書を書かれている方もラインナップにあってビックリしました。
「そうなんですよ。この中だと、『よかった、よかった。』を書いた中井俊已さんだけ、絵本を出版されたご経験があります。『ゆずりあうと…』の志賀内泰弘さんは過去に絵本を作られたことがあるのですが、商業出版はしていません。あとの方は初めてだったと思います」
―プロフィールを見ていて、唯一絵本の業界にいる方が、絵本ソムリエの岡田達信さんでした。『うごかない うごかない』という物語を書かれていらっしゃいます。
「岡田さんは絵本を読みつくしていらっしゃるものの、ご自分で書かれたことはないそうで、『書けと言われれば書きますよ』とおっしゃられたので、お願いしました(笑)」
―『はじめまして』を書かれた醍醐千里さんは、詩や朗読などをされていたということで、絵本に通じる部分もありそうです。
「醍醐さんは、単独でも『魂の約束』という詩集を出版されていますし、アンソロジーにも参加していますね。でも、絵本は未経験だったそうで、お話をしてみたら快く受けてくださいました。実際に『はじめまして』という物語は透明感のある、まさに詩人の方が作ったと思えるストーリーですよね。味わい深いです」
―『わけたらふえる』の入江富美子さんは、先日、絵本『おへそのさき』を出版されました。
「入江さんの場合は、もともと絵本を作りたいという願望を持っていらっしゃったようです。ただ、出版までには至らずに、私から声をかけて、実現することになりました。やはり絵本を書きたいという意思があったので、アイデアがどんどん生まれてきて、実は『おへそのさき』をこの『ペガサスさんコース』に入れる予定だったのですが、入江さんやイラスト担当ののぶみさんの想いから、特別企画として単体で出版をすることになり、『ペガサスさんコース』の方は別のストーリーを書いていただくことになったんです」
―そして、『にじいろのバトン』を書かれた木下晴弘さんは経営者で、自己啓発書を書かれています。
「木下さんは一昨年に出版された『人生が180度変わる幸せの法則』という本で初めて小説に挑戦しています。そういった経験がおありなので、執筆をお願いしたのですが、木下さんらしいすっきりしたお話になりましたね」
―バラエティ豊かな6人の作家陣ですが、どのような経緯でこのペガサスさんコースの制作が始まったのですか?
「昨年の暮れか今年の頭に、志賀内さんに話を持っていったのが最初です。そのとき既に、えほんシリーズは、12月に出版予定の『くじらさんコース』まで作る段取りができていたのですが、それとは別の位置づけで、新たなコースを作りたいと考えていました。ただ、くじらは地球上で一番大きな生き物ですから、ペガサスという想像上の生き物を冠にして、特別バージョンでやりたいということを、まず志賀内さんに話したところ、快諾いただきまして、そこからスタートしました」
―物語もそれぞれ、良い意味でクセがある、独特な世界観を持っているストーリーが多いように感じました。それでいて、教訓的なことも学べます。例えば『にじいろのバトン』は「情けは人のためならず」ということわざをそのまま表現しています。こうした物語一つ一つのアイデアは七田さんも一緒にお考えになったのですか?
「実は全てみなさんの自由アイデアなんです。本当はテーマを決めて、他のコースと同じ形で書いていただこうと考えていたのですが、作家さん側にも書きたいことがあり、あえてテーマを設定しないという形で進めました。ちなみに中井さんの『よかった、よかった。』は学校ので先生をされていたときに、お子さんたちが演じた劇を絵本化したものだそうです。
―『よかった、よかった。』は最後におばあさんが泣き出すところが印象的です。
「起承転結の転の部分がすごいですよね。また、絵もこだわっていらっしゃって、中井さんの世界観が詰まっています。
また、今回、絵本を書いてくださった6人の作家さんは、それぞれ日本の社会が良くなるための啓蒙活動を行っていらっしゃっていて、皆さん、ファンの方がいるんですね。だから、それぞれのファン同士の輪が広がっていってほしいという狙いもあるんですよ」
―そういえば、この絵本シリーズの特徴として、それぞれの絵本には対象年齢が書かれていましたが、このシリーズは対象年齢がないんですよね。
「そうなんです。年齢は消しました。もともとは5歳以上を対象に、ということを言っていましたが、例えば『ゆずりあうと』は3、4歳でも抵抗ないでしょうし、逆に5歳以上じゃないと難しいかな?という絵本もあります。
ただ、読み聞かせならば低い年齢からでも結構大丈夫なものなので、お子さんの年齢に関係なく、読み聞かせてあげてほしいです。また、大人も楽しめる物語ですよ」
―岡田さんの『うごかない うごかない』はSFのショートショートみたいな雰囲気のストーリーですよね。
「そうなんですよ。短編の物語を読んでいるかのようです。さすが達人!と思いました」
(後編に続く)
その絵本シリーズの最新コース『ペガサスさんコース』は、ビジネス書や自己啓発書の作家をはじめ、エッセイスト、絵本ソムリエなど、バラエティ豊かな執筆陣が絵本作りに挑戦。それぞれの物語には、子どもに伝えにくい「教訓」が理解できるように易しく織り交ぜられている。
(新刊JP編集部)
■「この絵本シリーズは“特別バージョン”なんです」
―今回はえほんシリーズの『ペガサスさんコース』についてお聞きしたいと思います。前回の『ぞうさんコース』と大きく異なる点としてあげられるのが、これまで、絵本は七田さんが中心になって作られてきたのに対して、この6冊はそれぞれ外部の、それも絵本の創作を専門にしていない方々が書かれているということです。普段、ビジネス書を書かれている方もラインナップにあってビックリしました。
「そうなんですよ。この中だと、『よかった、よかった。』を書いた中井俊已さんだけ、絵本を出版されたご経験があります。『ゆずりあうと…』の志賀内泰弘さんは過去に絵本を作られたことがあるのですが、商業出版はしていません。あとの方は初めてだったと思います」
―プロフィールを見ていて、唯一絵本の業界にいる方が、絵本ソムリエの岡田達信さんでした。『うごかない うごかない』という物語を書かれていらっしゃいます。
「岡田さんは絵本を読みつくしていらっしゃるものの、ご自分で書かれたことはないそうで、『書けと言われれば書きますよ』とおっしゃられたので、お願いしました(笑)」
―『はじめまして』を書かれた醍醐千里さんは、詩や朗読などをされていたということで、絵本に通じる部分もありそうです。
「醍醐さんは、単独でも『魂の約束』という詩集を出版されていますし、アンソロジーにも参加していますね。でも、絵本は未経験だったそうで、お話をしてみたら快く受けてくださいました。実際に『はじめまして』という物語は透明感のある、まさに詩人の方が作ったと思えるストーリーですよね。味わい深いです」
―『わけたらふえる』の入江富美子さんは、先日、絵本『おへそのさき』を出版されました。
「入江さんの場合は、もともと絵本を作りたいという願望を持っていらっしゃったようです。ただ、出版までには至らずに、私から声をかけて、実現することになりました。やはり絵本を書きたいという意思があったので、アイデアがどんどん生まれてきて、実は『おへそのさき』をこの『ペガサスさんコース』に入れる予定だったのですが、入江さんやイラスト担当ののぶみさんの想いから、特別企画として単体で出版をすることになり、『ペガサスさんコース』の方は別のストーリーを書いていただくことになったんです」
―そして、『にじいろのバトン』を書かれた木下晴弘さんは経営者で、自己啓発書を書かれています。
「木下さんは一昨年に出版された『人生が180度変わる幸せの法則』という本で初めて小説に挑戦しています。そういった経験がおありなので、執筆をお願いしたのですが、木下さんらしいすっきりしたお話になりましたね」
―バラエティ豊かな6人の作家陣ですが、どのような経緯でこのペガサスさんコースの制作が始まったのですか?
「昨年の暮れか今年の頭に、志賀内さんに話を持っていったのが最初です。そのとき既に、えほんシリーズは、12月に出版予定の『くじらさんコース』まで作る段取りができていたのですが、それとは別の位置づけで、新たなコースを作りたいと考えていました。ただ、くじらは地球上で一番大きな生き物ですから、ペガサスという想像上の生き物を冠にして、特別バージョンでやりたいということを、まず志賀内さんに話したところ、快諾いただきまして、そこからスタートしました」
―物語もそれぞれ、良い意味でクセがある、独特な世界観を持っているストーリーが多いように感じました。それでいて、教訓的なことも学べます。例えば『にじいろのバトン』は「情けは人のためならず」ということわざをそのまま表現しています。こうした物語一つ一つのアイデアは七田さんも一緒にお考えになったのですか?
「実は全てみなさんの自由アイデアなんです。本当はテーマを決めて、他のコースと同じ形で書いていただこうと考えていたのですが、作家さん側にも書きたいことがあり、あえてテーマを設定しないという形で進めました。ちなみに中井さんの『よかった、よかった。』は学校ので先生をされていたときに、お子さんたちが演じた劇を絵本化したものだそうです。
―『よかった、よかった。』は最後におばあさんが泣き出すところが印象的です。
「起承転結の転の部分がすごいですよね。また、絵もこだわっていらっしゃって、中井さんの世界観が詰まっています。
また、今回、絵本を書いてくださった6人の作家さんは、それぞれ日本の社会が良くなるための啓蒙活動を行っていらっしゃっていて、皆さん、ファンの方がいるんですね。だから、それぞれのファン同士の輪が広がっていってほしいという狙いもあるんですよ」
―そういえば、この絵本シリーズの特徴として、それぞれの絵本には対象年齢が書かれていましたが、このシリーズは対象年齢がないんですよね。
「そうなんです。年齢は消しました。もともとは5歳以上を対象に、ということを言っていましたが、例えば『ゆずりあうと』は3、4歳でも抵抗ないでしょうし、逆に5歳以上じゃないと難しいかな?という絵本もあります。
ただ、読み聞かせならば低い年齢からでも結構大丈夫なものなので、お子さんの年齢に関係なく、読み聞かせてあげてほしいです。また、大人も楽しめる物語ですよ」
―岡田さんの『うごかない うごかない』はSFのショートショートみたいな雰囲気のストーリーですよね。
「そうなんですよ。短編の物語を読んでいるかのようです。さすが達人!と思いました」
(後編に続く)