「奴隷解放の父」と言われるエイブラハム・リンカーン第16代アメリカ大統領は、歴史に名を残す偉大な大統領の1人。国立アメリカ歴史博物館によると、リンカーンが所有していた懐中時計に、隠されたメッセージが彫られていることが明らかになりました。

Abraham Lincoln's Watch, around 1858 | National Museum of American History
http://americanhistory.si.edu/collections/search/object/nmah_516567


Museum finds secret message in Lincoln's watch | Reuters
http://www.reuters.com/article/2009/03/11/us-lincoln-watch-idUSTRE52A0FG20090311


18世紀ごろ、イギリスのリバプールで大規模な時計産業が始まり、安い時計から高級品までさまざまなグレードの時計が製産されました。中でも純金製で最高グレードの時計として作られたのが「リンカーンの懐中時計」で、リンカーンによって宝石商から購入されたとのことです。


隠されたメッセージは文字盤の裏に彫られていて、内容は「『1861年4月13日』サムター要塞は、上記の日付にワシントン反逆者によって攻撃されました。J.ディロン」「『1861年4月13日』」私たちに政府がいることを神に感謝します。ジョナス・ディロン」と、1861年4月12日から4月14日にかけて行われたサムター要塞の戦いの開戦を示すものでした。なお、メッセージを彫り込んだのは、当時、リンカーンの懐中時計の修理を請け負っていた、ジョナサン・ディロンという時計職人だったとのこと。


また、1864年には「L.E.Gross」という別の時計職人の署名が刻まれ、またそれ以降に、ジョークなのか、あるいは連合国を支援する証であるのか不明ですが、当時の連合国大統領の名前である「Jeff Davis」が彫られました。

リンカーンの所有期間から1世紀以上の間、時計に彫られたメッセージは誰にも気づかれませんでしたが、2009年3月10日に、ジョナサン・ディロンの4代目の孫の告白を受け、国立アメリカ歴史博物館で文字盤が取り外され、これらのメッセージが発見されました。


なお、Business Insiderによると、映画「リンカーン」には、リンカーンの懐中時計が登場するシーンがあり、本物の時計は使われていませんが、監督であるスティーヴン・スピルバーグのこだわりによって、オリジナルから録音したチクタク音が使用されているとのことです。