仙台一が5回コールド勝ち 

試合シーン

 15日に雨天ノーゲームとなった試合は、7年ぶり23回目出場の仙台一が5年連続44回目出場の仙台商を5回コールドで下した。

 仙台一は初回、失策と5番・榊田佳文、6番・青木秀尚のタイムリーで3点を奪うと、2回には二死二、三塁で3番・石岡功己が2点適時打を放った。

 仙台商は3回から先発左腕・遠藤怜央に代えて右腕・佐藤力也をマウンドに送ったが、ゼロに抑えられたのは3回の1イニングのみだった。

 4回には二死から連続四球の後、レフトとセンターがお見合い。その直後、榊田がライトオーバーの2点適時三塁打を放ち、5回に2点を加えた仙台一。5回コールドで2回戦進出を決めた。

 仙台一は12安打のうち6本のヒットが流し打ったものだった。仙台一・建部淳監督は「(仙台商の)先発した左投手の球は引っ張ると引っ掛けて内野ゴロになってしまうのでセンター方向に打ち返そうと話していました。打球方向は悪くありませんでした」。一方の仙台商・下原俊介監督は「右打ちを徹底されました。勝負球、変化球を右にもっていかれましたね」と話した。 

 

試合シーン

 センター返し中心に無理な打撃をしなかった仙台一。建部監督は「特別なことはやっていません。去年の冬から振ってきた積み重ねだと思います」という。

 仙台一は校舎とグラウンドが直線にして約8キロ離れている。自転車で移動するが、選手曰く「MAX漕ぎ」で20分、普通でも30分はかかるため、昨冬は移動時間を見直した練習をしたという。 平日は打撃練習の日と守備練習の日を1日ずつ繰り返した。守備練習の日はグラウンドに向かったが、打撃練習の日は移動せず、学校で練習した。学校にバッティングネットはないので、網目の小さなサッカーゴール4つとハンドボールゴール2つを使用。サッカーゴールは1つで2人が練習できたので1度で10人が打てた。20〜30分の移動時間も積み重ねれば膨大な時間になる。 主将の榊田は「1日1000スイングはしていました。春に打球が飛ぶようになっていました」。また、仙台一のグラウンドは東日本大震災で津波にのまれたのだが、使用できるようになったものの照明が半分しか点かないといった理由もあった。

 その冬の積み重ねと、普段の打撃練習から徹底している逆打ちが奏功している。中部地区予選で仙台育英に2対10で大敗してからは打撃マシン、打撃投手を5〜6m前に出して距離を短くした打撃練習も始めた。

 秋の県大会出場は7年ぶり。その7年前は3位で東北大会に出場したが、初戦で敗退。今年は東北大会に出場して1勝することを目標に掲げている。榊田主将の「甲子園に出たいです。今までは口だけの感じでしたが、本気で目指そうと。一戦一戦、勝ち上がっていきます」という言葉は力強かった。

 

(文=高橋 昌江)