攻守で光った徳盛辰樹の活躍で波に乗った前原が3回戦進出

初回、先制タイムリーを放つ前原・仲嶺有一朗

 過去の春夏甲子園出場が3度の前原と、7度の豊見城の名門対決。 予想通りの1点を争う好ゲームを支配し決めたのは、攻守で活躍した前原・徳盛辰樹だった。

 先制したのは前原。初回ニ死二塁から4番仲嶺有一朗がレフトへ運び先制すると、盗塁を成功させて5番渡口健介がセンターへ弾き返し2点を奪取した。

 追う豊見城は3回、3、4番の連続ヒットの後犠打エラー(一塁手が送球を落とす)で無死満塁とチャンスを広げると、平井敬史郎のセンター前タイムリーでまず1点。次打者が押し出し死球で同点に追い付く。一死後9番長嶺翔がスクイズを決めて逆転に成功。追いつ追われつの白熱したシーソーゲームの序盤となった。

 意外な伏兵、と言ったら失礼だろうか。ヒーローの徳盛に勝るとも劣らない躍動を見せたのが165cm63kgと小柄な前原の8番真榮里幹(まえざと・もとき)だ。逆転された直後の4回、前原は一死ニ、三塁からスクイズで同点とすると、ニ死三塁として東江雄太がタイムリー二塁打で再びリード。

 そして真榮里がライトへの痛烈な二塁打でさらに引き離した。さらに真榮里は6回、三塁打を放った渡口を置いて今度はレフトへ運び、粘る豊見城に徐々にダメージを与えていった。

 そして7回、連続ヒットと犠打で二、三塁。ここで徳盛がほぼ試合を決める2点タイムリー。 豊見城にとってはツーアウトだったことと、ここへ来ての4点差というダブルパンチを浴びた格好となった。 8回にも1点を加えた前原は、徳盛が終盤8、9回と豊見城打線をヒット1本に抑え二塁を踏ませず逃げ切りに成功。

 新人中央大会覇者で、この日12-2で浦添工を倒した王者美里工への挑戦権を得た。 3回に同点とされ尚、無死満塁の場面でマウンドに上がり、スクイズのみの最小失点で切り抜ければ、4回には同点スクイズ、前述した8回には2点適時打と攻守に渡る活躍を見せた徳盛に、7、8番の下位打者の三人で6安打6打点。 終わってみれば17安打を集めたナインの胸中はきっと、これで美里工とも互角にやれるという自信が深まったことだろう。王者を倒せば3年振りのベスト8、そして九州大会への扉がグンと近付く。 敗れた豊見城だが、4回を終了した時点で前原と同じ7安打を記録。9回を終えてノーエラーの野手陣や、2安打の津波利弥、3安打の玉城佑真と強力な中軸は今後も他校の脅威となるに違いない。

(文・写真:當山 雅通)

TEAM 前原  TEAM 豊見城 守備位置 氏名 打順 守備位置 氏名 二塁 安慶名 直也 1番 捕手 仲田 航 遊撃 謝花良陛 2番 遊撃 金城 廉 三塁 新垣亜斗武 3番 二塁 津波利弥 中堅 仲嶺有一朗 4番 一塁 玉城佑真 左翼 渡口健介 5番 右翼 上間龍弥 捕手 徳盛辰樹 6番 中堅 平井敬史郎 一塁 東江雄太 7番 投手 宮里昂大 右翼 真榮里 幹 8番 左翼 山城頼人 投手 西野光人 9番 三塁 長嶺 翔