松山商vs松山中央
松山商業を巧みにリードした女房役
松山商業・井上和哉捕手(2年)
両校の先発は松山商が右腕・黒川 龍太(2年)。松山中央が左腕・松下 健将(1年)。いずれも緒戦と異なる「背番号11」を大事な県大会代表決定戦で送り込んだ。となると大事なのは彼らを操る捕手のリード。そこで輝きを見せたのが松山商の井上 和哉である。
この試合では黒川の走っていたストレートを有効活用。外角高め、内角低めの対角線ばかりでなく、カーブを見せ球にストレートを勝負球に。また、少しでもフォームにズレが見られれば大きなゼスチャーで修正を促すなど「コース・緩急・タイミング」を実に考えたリード。これには敵将の吉田茂雄監督も「冷静に相手の特徴を見ていた」と絶賛の言葉を贈るしかなかった。
好リードは4番としての「冴え」にも結びつく。7回表二死二・三塁の場面では前2打席でいいタイミングで振れていたストレートに的を絞り、高めに入った初球を叩いて勝敗を決する中前2点二塁打。「これまでは『これしかない』という感じでリードしていたが、謙虚な気持ちで投手のために犠牲になれるようになってきましたね」と重澤和史監督も認める精神面の成長が攻守両面に現れた形だ。
細かい部分を突き詰めていけば、まだ県大会で勝ち抜くには不安が残る部分が多い松山商。ただ、その中にあっても扇の要が泰然自若と構えていることができれば、3年ぶりの秋季四国大会出場は手の届く位置にある。
(文=寺下 友徳)
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