11万アクセスの謎の注目作「絶滅危愚少女 Amazing Twins」佐藤順一監督に迫る
7月31日の夜、突然公開された、佐藤順一監督、最新作の特報映像。
「新たなる すごい ヒロイン」
「全力愚少女!! アクション!!」
2つのキーワードと、炎をまとったヒロインらしき人物のシルエットだけが映された動画は、公開から約1週間で、11万回以上のアクセスを記録しています。
さらに、昨夜(8月7日)には、作品タイトルと第1弾ビジュアル、主人公の設定などが公開。構成・ストーリー協力を「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の岡田麿里、キャラクター原案を人気ゲーム「魔界戦記ディスガイア」の原田たけひとが担当することも明かされました。
しかし、世界観やストーリーなどは未公開で、まだまだ謎だらけ。佐藤監督の代表作の一つで、「元祖 すごい ヒロイン」の登場した「カレイドスター」との関係も噂されています。
そこで、佐藤監督に緊急インタビュー。
2014年発売予定の新作オリジナルアニメ「絶滅危愚少女 Amazing Twins」の秘密に、ギリギリまで迫ってきました。
誰も挑まないものに挑む「愚か」な主人公
――新作の特報映像、公開された瞬間から、かなり話題になっていますね。
佐藤 そうらしいですね。僕は、発表された時にちょうど痛風の症状が出て、寝込んでいたんですよ(笑)。
――え?
佐藤 起きてからTwitterを見たら、すごい反応があって。「あ、今日、発表だった!」と。
――では、監督がTwitterの個人アカウントで、公開後すぐにコメントされなかったのも……。
佐藤 「いてててて!!」と唸っていたので。ちょっと、そういう状況では無かったですね(笑)。でも、たくさんの方に期待して頂けているようで、嬉しいです。
――お大事になさってください(笑)。ところで、この「絶滅危愚少女 Amazing Twins」の企画は、いつ頃から動いていたものなのですか?
佐藤 今回、制作を担当してくれる「エンカレッジフィルムズ」という会社ができた時(2008年8月設立)から、一緒にやろうと思っていた別の企画がありまして。その流れなんですよね。
――「ウィッシュエンジェル」ですよね? エンカレッジフィルムズ公式サイトで展開されていた小説などの企画が休止状態になり、残念に思ってました。
佐藤 いろいろと時代的なものがあって。「ウィッシュエンジェル」をお休みをして、もう一回、何か考えてみようということでスタートしたのが、この企画なんです。
――では、今の時代に発表したい作品として、立ち上げた企画?
佐藤 そうですね。「ウィッシュエンジェル」の企画を進めながら、今やるなら、こういう条件が欲しいとか、こういう要素を入れたいということが出てきて。だったら、それに合った新しいものを作った方が良いだろう、というのがスタート地点。それがようやく形になってきた。作品のアウトラインがしっかりと固まったのは、わりと最近なんですよ。
――時代性ということでは、タイトルの「絶滅危愚少女」という言葉が、そこに関連しているのでしょうか?
佐藤 ええ。誰も挑まないものに挑む主人公というところで、「愚か」である。そこは作品のキーワードとしてあります。少女に限らず、そういう人って、絶滅危惧的になっていると思うんですよ。
――どんどん、いなくなっている?
佐藤 ネットの力はすごくって。現代では、危険なことを回避するのが(比較的)容易になっていますからね。「こういうことがやりたい」と思っても、そこにある危険やリスクが(事前に)分かるので、「じゃあ、やらない」ってなることが多い。一度の人生を事故無く過ごすためにも、それはそれで良いんです。でも、そうじゃない人がいても良いじゃないですか。やりたいからやっちゃう。失敗してヒドイ目にあっても、またやる。そういう人には、自分でも憧れるし、他の人も、そうできたら良いなとは思っているだろうと。久々に、そんな主人公を描いてみたいなと考えています。
――最近は、「ARIA」「たまゆら」「わんおふ -oneoff-」など、癒し系作品のイメージが強いですけど。そういう作品ばかりじゃないぞ、と?
佐藤 元々、女の子が傷だらけになったりする話も、好きは好きなので(笑)。今回は、アクションもあります。
岡田が入ることで、新しいものになれば
――構成・ストーリー協力として、「true tears」「とらドラ!」「あの花」など数々のヒット作を手がけてきた岡田麿里さんを起用されています。監督の作品では、「ARIA」の2期で脚本を担当されていますね。今回、原作は監督ということですが。物語作りのパートナーとして、岡田さんを起用した狙いは?
佐藤 僕と岡田って、水と油とまでは言わないですけど、相当、違うんですよね。だから、岡田が入ることで、どんなものができるか見えなくなるというか、新しいものになると良いなと。僕の足りないものを補ってもらいたくて、入ってもらった感じですね。
――具体的には、どういった要素を?
佐藤 心の闇とか。思春期的な感覚や大人になりきれないところとか。そういう部分ですかね。本当は、シナリオまで書いてもらえれば良かったんですけど。オリジナルものとしての柱を作ってもらったら、基本的な構造は僕の方で作ろうと思っていたし、時間的なこともあったので。ストーリーを作る上でのアイデアとか、プロット作りの協力をしてもらいました。
――脚本は監督が?
佐藤 はい。というか、(プロットから)いきなりコンテを描くだけですけど。詳細なプロットは岡田からもらってます。
――上がってきたプロットは、やはり、岡田さんらしいものでしたか?
佐藤 最初は、明るくキラキラしたものが上がってきたので、「いやいや、君はそうじゃないだろう」と(笑)。最終的には、僕の期待した、ほどよく黒くてドロッとしたものを出してくれたので。「そうそう、これこれ」って。
――原田たけひとさんの描いた主人公・等々力あまねのビジュアルも公開されました。原田さんを起用した狙いも教えてください。
佐藤 原田さんは、エンカレッジのスタッフが推薦してくれました。ゲームなどのイラストを見せてもらって、誰からも嫌われないキャラクターと言いましょうか。そういうところが良いなと。
――当たり前かも知れませんが、誰からも好かれる絵柄という点は、今作で特に重要だったのですか?
佐藤 そうですね。「たまゆら」なんかでは無いような、ドロッとしたものも出てきますので。キャラクターに関しては、好感度が高い方が良いですよね。
――第1弾ビジュアルに描かれたあまねちゃんは、非常に可愛らしく元気そうな女の子です。気になるのは、右手につかまっているクマのような生き物? 羽みたいなものも付いてますが。
佐藤 そこは後々、分かってくると思いますけど。けっこう、重要なキャラクターではありますよ。
――街のはるか上空に、あまねがいるというシチュエーションも、ストーリーや設定に関わるものですか?
佐藤 そこもいろいろと想像して欲しいなと思ってます。本当に空を飛んでいるのか? イメージなのか?
――「絶滅危愚少女 Amazing Twins」というタイトルも公開されましたが。タイトルは「ツインズ」なのに……
佐藤 一人しか描かれてないですよねえ(笑)。そこも、どういうことだよ、と思ってもらいたいポイントですね。
――僕、まんまと釣られてる感じですか(笑)。
まずは「カレイド」ファンの応援にお返ししたい
――最初の特報で発表された「新たなる すごい ヒロイン」「全力愚少女!! アクション!!」というキーワードからは、各話のサブタイトルに「すごい」という言葉が入り、アクション作品でもあった「カレイドスター」を連想しました。
佐藤 企画意図として、「カレイド」を応援してくれたファンに向けてというところから始めたものですし。当然、そういうところはあります。それに、アメリカ版の「カレイドスター」のサブタイトルには、全部「Amazing」って入ってるんですよ。
――そうなんですか! では、「カレイド」のファンがずっと待っていた作品?
佐藤 「お待たせしました」的な作品ではあります。ただ、世界観などは、まったく別物です。「こんな方向で来たのか!」というものにはしたいですね。キーワードとして、「すごい」とか、「愚」といった言葉を入れたら、「カレイド」の空気がすごく出てしまいましたけど。
――「カレイドスター」のファンは、自分たちのことを「カレイド馬鹿」と呼びますしね。
佐藤 「全力馬鹿少女」というキーワード案もありました(笑)。
――それは、さすがに(笑)。では、「カレイド」の設定などをそのまま引き継いだ作品というよりも、「カレイド」を好きな人のツボに刺さるような作品を、目指しているということでしょうか?
佐藤 そうなりますね。「ウィッシュエンジェル」は、その流れから、まったりとした、どちらかというと「たまゆら」に近い方向へシフトしたものだったのですが。「Amazing Twins」は、もう少しアクティブな方向へシフトしたものだと考えてもらえれば、間違い無いと思います。
――実は、僕、高校生の頃に一度アニメを「卒業」して。30歳くらいから、またアニメを観るようになったんですね。その大きなきっかけの一つが「カレイドスター」なんですけど。
佐藤 ああ、それは申し訳ない(笑)。
――いえ、そんなことは(笑)。だから、監督と一緒に「カレイド」を生み出した池田東陽プロデューサーがエンカレッジフィルムズを立ち上げた時から、「カレイド」の後継作品を楽しみにしていたんです。池田さんは今年の2月に急逝されましたが……。この企画にも関わっていらっしゃったのでしょうか?
佐藤 はい。あれこれと意見を交わしました。
――では、そういう意味でも「カレイド」の魂を持った作品なのですね。
佐藤 ええ。そこは忘れないようにしたいですね。
――池田さん、カレイド馬鹿の代表みたいな方でしたし(笑)。
佐藤 好き過ぎだよって感じでしたね(笑)。でも、そのくらい入れ込んでいかねばと、思っています。
――ちなみに、監督の中で「カレイドスター」という作品は、どんな存在なのでしょうか?
佐藤 作っていた時よりも、(放送が)終わってからの、ファンの方たちの応援の力がすごくって。しかも、減ることもなく、どんどん増えるんですね。その応援に、もっともっと応えたいという気持ちになる作品です。だからまずは、ファンの人たちにしっかりとお返ししていきたい。それは、「ウィッシュエンジェル」でも、この作品でも変わりません。みんなの応援の力があって、ここに辿り着けたので、本当は無料で配れたら良いんですけど(笑)。「応援に応える」とか言っておいて、そういうわけにいかないのが申し訳ない。
――そこも応援して欲しいと(笑)。でも、その応援にも、また返していくわけですよね?
佐藤 そうですね。可能であれば、今度はテレビシリーズとかで返していきたいですし。
――まずは、2014年のOVA発売に向けて、公式サイトやTwitterでの新情報発表を楽しみにしています。
佐藤 先日の第1弾特報から発売まで、作品が形になっていくところを、ファンの皆さんにも感じてもらえるような展開をしていく予定です。まずは、寝込んでいるところからスタートしましたが……。「コイツ、この時期に寝込んでたんだぜ」とか、痛風に苦しみつつ作っている様子も含めて楽しみながら、待っていただけたらと思います(笑)。
(丸本大輔)
「新たなる すごい ヒロイン」
「全力愚少女!! アクション!!」
2つのキーワードと、炎をまとったヒロインらしき人物のシルエットだけが映された動画は、公開から約1週間で、11万回以上のアクセスを記録しています。
さらに、昨夜(8月7日)には、作品タイトルと第1弾ビジュアル、主人公の設定などが公開。構成・ストーリー協力を「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の岡田麿里、キャラクター原案を人気ゲーム「魔界戦記ディスガイア」の原田たけひとが担当することも明かされました。
しかし、世界観やストーリーなどは未公開で、まだまだ謎だらけ。佐藤監督の代表作の一つで、「元祖 すごい ヒロイン」の登場した「カレイドスター」との関係も噂されています。
そこで、佐藤監督に緊急インタビュー。
2014年発売予定の新作オリジナルアニメ「絶滅危愚少女 Amazing Twins」の秘密に、ギリギリまで迫ってきました。
――新作の特報映像、公開された瞬間から、かなり話題になっていますね。
佐藤 そうらしいですね。僕は、発表された時にちょうど痛風の症状が出て、寝込んでいたんですよ(笑)。
――え?
佐藤 起きてからTwitterを見たら、すごい反応があって。「あ、今日、発表だった!」と。
――では、監督がTwitterの個人アカウントで、公開後すぐにコメントされなかったのも……。
佐藤 「いてててて!!」と唸っていたので。ちょっと、そういう状況では無かったですね(笑)。でも、たくさんの方に期待して頂けているようで、嬉しいです。
――お大事になさってください(笑)。ところで、この「絶滅危愚少女 Amazing Twins」の企画は、いつ頃から動いていたものなのですか?
佐藤 今回、制作を担当してくれる「エンカレッジフィルムズ」という会社ができた時(2008年8月設立)から、一緒にやろうと思っていた別の企画がありまして。その流れなんですよね。
――「ウィッシュエンジェル」ですよね? エンカレッジフィルムズ公式サイトで展開されていた小説などの企画が休止状態になり、残念に思ってました。
佐藤 いろいろと時代的なものがあって。「ウィッシュエンジェル」をお休みをして、もう一回、何か考えてみようということでスタートしたのが、この企画なんです。
――では、今の時代に発表したい作品として、立ち上げた企画?
佐藤 そうですね。「ウィッシュエンジェル」の企画を進めながら、今やるなら、こういう条件が欲しいとか、こういう要素を入れたいということが出てきて。だったら、それに合った新しいものを作った方が良いだろう、というのがスタート地点。それがようやく形になってきた。作品のアウトラインがしっかりと固まったのは、わりと最近なんですよ。
――時代性ということでは、タイトルの「絶滅危愚少女」という言葉が、そこに関連しているのでしょうか?
佐藤 ええ。誰も挑まないものに挑む主人公というところで、「愚か」である。そこは作品のキーワードとしてあります。少女に限らず、そういう人って、絶滅危惧的になっていると思うんですよ。
――どんどん、いなくなっている?
佐藤 ネットの力はすごくって。現代では、危険なことを回避するのが(比較的)容易になっていますからね。「こういうことがやりたい」と思っても、そこにある危険やリスクが(事前に)分かるので、「じゃあ、やらない」ってなることが多い。一度の人生を事故無く過ごすためにも、それはそれで良いんです。でも、そうじゃない人がいても良いじゃないですか。やりたいからやっちゃう。失敗してヒドイ目にあっても、またやる。そういう人には、自分でも憧れるし、他の人も、そうできたら良いなとは思っているだろうと。久々に、そんな主人公を描いてみたいなと考えています。
――最近は、「ARIA」「たまゆら」「わんおふ -oneoff-」など、癒し系作品のイメージが強いですけど。そういう作品ばかりじゃないぞ、と?
佐藤 元々、女の子が傷だらけになったりする話も、好きは好きなので(笑)。今回は、アクションもあります。
岡田が入ることで、新しいものになれば
――構成・ストーリー協力として、「true tears」「とらドラ!」「あの花」など数々のヒット作を手がけてきた岡田麿里さんを起用されています。監督の作品では、「ARIA」の2期で脚本を担当されていますね。今回、原作は監督ということですが。物語作りのパートナーとして、岡田さんを起用した狙いは?
佐藤 僕と岡田って、水と油とまでは言わないですけど、相当、違うんですよね。だから、岡田が入ることで、どんなものができるか見えなくなるというか、新しいものになると良いなと。僕の足りないものを補ってもらいたくて、入ってもらった感じですね。
――具体的には、どういった要素を?
佐藤 心の闇とか。思春期的な感覚や大人になりきれないところとか。そういう部分ですかね。本当は、シナリオまで書いてもらえれば良かったんですけど。オリジナルものとしての柱を作ってもらったら、基本的な構造は僕の方で作ろうと思っていたし、時間的なこともあったので。ストーリーを作る上でのアイデアとか、プロット作りの協力をしてもらいました。
――脚本は監督が?
佐藤 はい。というか、(プロットから)いきなりコンテを描くだけですけど。詳細なプロットは岡田からもらってます。
――上がってきたプロットは、やはり、岡田さんらしいものでしたか?
佐藤 最初は、明るくキラキラしたものが上がってきたので、「いやいや、君はそうじゃないだろう」と(笑)。最終的には、僕の期待した、ほどよく黒くてドロッとしたものを出してくれたので。「そうそう、これこれ」って。
――原田たけひとさんの描いた主人公・等々力あまねのビジュアルも公開されました。原田さんを起用した狙いも教えてください。
佐藤 原田さんは、エンカレッジのスタッフが推薦してくれました。ゲームなどのイラストを見せてもらって、誰からも嫌われないキャラクターと言いましょうか。そういうところが良いなと。
――当たり前かも知れませんが、誰からも好かれる絵柄という点は、今作で特に重要だったのですか?
佐藤 そうですね。「たまゆら」なんかでは無いような、ドロッとしたものも出てきますので。キャラクターに関しては、好感度が高い方が良いですよね。
――第1弾ビジュアルに描かれたあまねちゃんは、非常に可愛らしく元気そうな女の子です。気になるのは、右手につかまっているクマのような生き物? 羽みたいなものも付いてますが。
佐藤 そこは後々、分かってくると思いますけど。けっこう、重要なキャラクターではありますよ。
――街のはるか上空に、あまねがいるというシチュエーションも、ストーリーや設定に関わるものですか?
佐藤 そこもいろいろと想像して欲しいなと思ってます。本当に空を飛んでいるのか? イメージなのか?
――「絶滅危愚少女 Amazing Twins」というタイトルも公開されましたが。タイトルは「ツインズ」なのに……
佐藤 一人しか描かれてないですよねえ(笑)。そこも、どういうことだよ、と思ってもらいたいポイントですね。
――僕、まんまと釣られてる感じですか(笑)。
まずは「カレイド」ファンの応援にお返ししたい
――最初の特報で発表された「新たなる すごい ヒロイン」「全力愚少女!! アクション!!」というキーワードからは、各話のサブタイトルに「すごい」という言葉が入り、アクション作品でもあった「カレイドスター」を連想しました。
佐藤 企画意図として、「カレイド」を応援してくれたファンに向けてというところから始めたものですし。当然、そういうところはあります。それに、アメリカ版の「カレイドスター」のサブタイトルには、全部「Amazing」って入ってるんですよ。
――そうなんですか! では、「カレイド」のファンがずっと待っていた作品?
佐藤 「お待たせしました」的な作品ではあります。ただ、世界観などは、まったく別物です。「こんな方向で来たのか!」というものにはしたいですね。キーワードとして、「すごい」とか、「愚」といった言葉を入れたら、「カレイド」の空気がすごく出てしまいましたけど。
――「カレイドスター」のファンは、自分たちのことを「カレイド馬鹿」と呼びますしね。
佐藤 「全力馬鹿少女」というキーワード案もありました(笑)。
――それは、さすがに(笑)。では、「カレイド」の設定などをそのまま引き継いだ作品というよりも、「カレイド」を好きな人のツボに刺さるような作品を、目指しているということでしょうか?
佐藤 そうなりますね。「ウィッシュエンジェル」は、その流れから、まったりとした、どちらかというと「たまゆら」に近い方向へシフトしたものだったのですが。「Amazing Twins」は、もう少しアクティブな方向へシフトしたものだと考えてもらえれば、間違い無いと思います。
――実は、僕、高校生の頃に一度アニメを「卒業」して。30歳くらいから、またアニメを観るようになったんですね。その大きなきっかけの一つが「カレイドスター」なんですけど。
佐藤 ああ、それは申し訳ない(笑)。
――いえ、そんなことは(笑)。だから、監督と一緒に「カレイド」を生み出した池田東陽プロデューサーがエンカレッジフィルムズを立ち上げた時から、「カレイド」の後継作品を楽しみにしていたんです。池田さんは今年の2月に急逝されましたが……。この企画にも関わっていらっしゃったのでしょうか?
佐藤 はい。あれこれと意見を交わしました。
――では、そういう意味でも「カレイド」の魂を持った作品なのですね。
佐藤 ええ。そこは忘れないようにしたいですね。
――池田さん、カレイド馬鹿の代表みたいな方でしたし(笑)。
佐藤 好き過ぎだよって感じでしたね(笑)。でも、そのくらい入れ込んでいかねばと、思っています。
――ちなみに、監督の中で「カレイドスター」という作品は、どんな存在なのでしょうか?
佐藤 作っていた時よりも、(放送が)終わってからの、ファンの方たちの応援の力がすごくって。しかも、減ることもなく、どんどん増えるんですね。その応援に、もっともっと応えたいという気持ちになる作品です。だからまずは、ファンの人たちにしっかりとお返ししていきたい。それは、「ウィッシュエンジェル」でも、この作品でも変わりません。みんなの応援の力があって、ここに辿り着けたので、本当は無料で配れたら良いんですけど(笑)。「応援に応える」とか言っておいて、そういうわけにいかないのが申し訳ない。
――そこも応援して欲しいと(笑)。でも、その応援にも、また返していくわけですよね?
佐藤 そうですね。可能であれば、今度はテレビシリーズとかで返していきたいですし。
――まずは、2014年のOVA発売に向けて、公式サイトやTwitterでの新情報発表を楽しみにしています。
佐藤 先日の第1弾特報から発売まで、作品が形になっていくところを、ファンの皆さんにも感じてもらえるような展開をしていく予定です。まずは、寝込んでいるところからスタートしましたが……。「コイツ、この時期に寝込んでたんだぜ」とか、痛風に苦しみつつ作っている様子も含めて楽しみながら、待っていただけたらと思います(笑)。
(丸本大輔)