巨人が進撃してきたらどうしますか?『リスクとの遭遇』
仮に、会社や学校で「宇宙人がもし襲ってきたらどうするか」と聞かれたら、どんな顔する?
まあ、ぼくは笑うね。
そんなばかなハハハ。
……でも本当に? 絶対来ないと言えるの?
ここしばらく「想定外」という言葉を何度聞いたかわからない。
そのことを考えると、ふと不安になります。
植村修一『リスクとの遭遇』は、現実社会に起きるリスクへの対処、想定外のことへの対応を考える本。
難しいことは専門書を読んでね、というノリです。
リスク管理方法について、エッセイ風にまとめられた読みやすい本です。
一番の特徴は、歴史上での出来事での「リスク」「想定外」を紹介し、分析しているところ。
たとえば吉良上野介。赤穂浪士の討ち入りです。
この時吉良上野介側は本当に、討ち入りが想定外だったのか。
実はそうじゃない。吉良邸に守る人間は百名以上。防御壁もあります。
リスク管理はしていた可能性大。
それでも肝心なときに機能しなかった。こういうことだってある。
ポンペイの火山で、なぜみんな逃げ遅れたんだろうか?
実際逃げのびられている人がいる、というのが興味深いところです。
これは「想定外」もありますが、いざ災害が起きた時どう逃げるか、判断できなかったから。
今の経済でのリスク管理と似ているものとしてあげられるのが、関ヶ原の戦い。
西軍東軍、どっちにつくか。忠義を尽くすのか、うまく立ちまわるか。
ニュートラルになるか、オプションを売るか、中途半端になってしまうか。
想定ができないからこそ、リスク管理が必要になっているのは、今と変わりません。
その他元寇、ナポレオンと冬将軍、ノルマンディー上陸作戦……「想定外」は山ほどあります。
作者は「予測」には限度があり、あとは「想定」になる、と述べています。
その想定すらも、現実は超えてくる。100%なんてないんです。
電車に乗ること一つにしろ、「予測」を超えた事件はありますし、「想定外」の出来事も多々ある。
けれど人間は「慢心」する心理も持っている、とも述べています。
その理由の一つは、自分が感じているものと、現実とにズレが起きている、錯覚をしているから、というもの。
ここなら大丈夫だろう、安心だろう、と思い込んでしまう。
リスクに対しての意識を、様々な研究からわかりやすく解説しています。
正解は、はっきりとは書いていません。リスク管理の例と説を述べた本です。
読んでいると不安がどんどん湧いてきます。
でも杞憂になれ、という煽りではありません。
リスクがない世界としてあげられる例が、『100万回生きたねこ』と『ローマの休日』。
はたして外界から絶たれた王女アンは幸せだったのか。
リスクは人間には必ずあるもの。
宇宙人は襲ってこない、ロボットが反乱しない、巨人が進撃してこない、なんて保証はどこにもない。
このへんは、震災以降「想定外」がどれほど恐ろしいか、痛感させられます。
大事なのは思い悩むことじゃなく、リスク管理をして未来を自分で選択する意識をもつこと。
そのために、宇宙人の襲来をシミュレーションするのも、無駄じゃない。
別の何かの役に立つかもしれないですしね。
植村修一『リスクとの遭遇』
(たまごまご)
まあ、ぼくは笑うね。
そんなばかなハハハ。
……でも本当に? 絶対来ないと言えるの?
ここしばらく「想定外」という言葉を何度聞いたかわからない。
そのことを考えると、ふと不安になります。
植村修一『リスクとの遭遇』は、現実社会に起きるリスクへの対処、想定外のことへの対応を考える本。
難しいことは専門書を読んでね、というノリです。
リスク管理方法について、エッセイ風にまとめられた読みやすい本です。
たとえば吉良上野介。赤穂浪士の討ち入りです。
この時吉良上野介側は本当に、討ち入りが想定外だったのか。
実はそうじゃない。吉良邸に守る人間は百名以上。防御壁もあります。
リスク管理はしていた可能性大。
それでも肝心なときに機能しなかった。こういうことだってある。
ポンペイの火山で、なぜみんな逃げ遅れたんだろうか?
実際逃げのびられている人がいる、というのが興味深いところです。
これは「想定外」もありますが、いざ災害が起きた時どう逃げるか、判断できなかったから。
今の経済でのリスク管理と似ているものとしてあげられるのが、関ヶ原の戦い。
西軍東軍、どっちにつくか。忠義を尽くすのか、うまく立ちまわるか。
ニュートラルになるか、オプションを売るか、中途半端になってしまうか。
想定ができないからこそ、リスク管理が必要になっているのは、今と変わりません。
その他元寇、ナポレオンと冬将軍、ノルマンディー上陸作戦……「想定外」は山ほどあります。
作者は「予測」には限度があり、あとは「想定」になる、と述べています。
その想定すらも、現実は超えてくる。100%なんてないんです。
電車に乗ること一つにしろ、「予測」を超えた事件はありますし、「想定外」の出来事も多々ある。
けれど人間は「慢心」する心理も持っている、とも述べています。
その理由の一つは、自分が感じているものと、現実とにズレが起きている、錯覚をしているから、というもの。
ここなら大丈夫だろう、安心だろう、と思い込んでしまう。
リスクに対しての意識を、様々な研究からわかりやすく解説しています。
正解は、はっきりとは書いていません。リスク管理の例と説を述べた本です。
読んでいると不安がどんどん湧いてきます。
でも杞憂になれ、という煽りではありません。
リスクがない世界としてあげられる例が、『100万回生きたねこ』と『ローマの休日』。
はたして外界から絶たれた王女アンは幸せだったのか。
リスクは人間には必ずあるもの。
宇宙人は襲ってこない、ロボットが反乱しない、巨人が進撃してこない、なんて保証はどこにもない。
このへんは、震災以降「想定外」がどれほど恐ろしいか、痛感させられます。
大事なのは思い悩むことじゃなく、リスク管理をして未来を自分で選択する意識をもつこと。
そのために、宇宙人の襲来をシミュレーションするのも、無駄じゃない。
別の何かの役に立つかもしれないですしね。
植村修一『リスクとの遭遇』
(たまごまご)