自衛隊DVDがオリコンランキング1位。秋山殿『よくわかる!陸上自衛隊』
『よくわかる!陸上自衛隊』がオリコン一位になりました。
自衛隊DVDがオリコン1位の快挙 | web R25
5月27日付オリコンDVD総合週間ランキングで、まさかの自衛隊のDVDが!一位に!
空自は5位。海自は7位。
オリコンベストテンに陸海空ってなんじゃこりゃ。
これにはちゃんとわけがあります。
今回このDVDのオーディオコメンタリーを、アニメ『ガールズ&パンツァー』の人気キャラ、秋山優花里(以下・秋山殿)が担当しているからです。
戦車が好きすぎる彼女は、大洗女子で主人公西住みほ達と出会い、「戦車道」というスポーツで青春の汗を流すことになります。
ただし戦車に乗るとハイになる、ちょっと変わった子でもあります。
そこがかわいいんですよねー。わしゃわしゃ。
そんな彼女が65分、フルで日本の戦後の戦車の歴史と、最新鋭の10(ひとまる)式について、熱く激しく語るオーディオコメンタリーが付いています。
すごいコラボするなあとおもいきや、この自衛隊DVDシリーズの監修は軍事評論家の岡部いさく。
アニメ『ストラトス・フォー』やゲーム『アーマード・コア』に参加し、ガンダムの大ファン。なるほど納得です。
通常コメンタリーはいかに日本の戦車がよくできているか、国産するのがなぜ必要かを淡々と語っています。
一方オーディオコメンタリーの秋山殿は「戦車が好きです!」の一点で語っているのが特徴。
脚本まるまる違います。
ファンなら秋山殿の解説聞いていているだけで、ニンマリ満足できる内容。
真面目にこのDVDを見ると、日本の戦車が一気に理解できます。本当に丁寧なので「よくわかる!」。
いかに戦車が合理的に作られているか、機能のオンパレードなのか、わかりまくります。
さて、ここで『ガルパン』視点からこのDVDを見てみます。
なぜこんなすごい戦車があるにもかかわらず、ガルパン世界で女子高生は10式に乗れなかったのか。
改めて本物を見ることで考えてみたいと思います。
ガルパン世界の技術は、決して古臭くありません。
そもそも学園が学園艦に乗っているくらいですし、10式は蝶野教官が訓練の際乗ってきています。
加えて、彼女たちの乗っている旧式戦車はカーボンで安全性を強化。
砲弾の威力を瞬時に計算し、自動的に損害を判断して白旗があがるという、現在陸上自衛隊で使われているバトラーシステム(いつ、どのように、どこから被害を受けたかが瞬時に判定・確認できる)と同じ物も搭載されています。
なにげにあの世界の科学力、すごいんです。
でも戦車道は10式に乗れない。
このDVDに登場するのは、戦後の61式、74式、90式、10式。
一応その前のアメリカ製M24チャーフィーなどの、海外製戦車も出てきます。
しかしこのDVDが伝えたいのは「国産の戦車の必要性」。
そのため、国産である61式以降を特に詳しく解説します。
61式最大の特徴は、カブトムシみたいなT字型の砲身。怪獣映画に出てきてよく踏み潰される戦車です。
秋山殿いわく「あれはかわいそうですよねー」
このように秋山殿コメンタリーは基本「戦車かわいい」「かっこいい」で終始しています。
加えて、ガルパンアニメ作中のネタを惜しげもなく盛り込んでいます。
脚本書いた人お見事です。
しかしここで気になる発言が。
「ちょっとさびしいですよねー」
なんのことか?
61式は車体前方の機関銃が廃止されています。それによって、乗員が4名になりました。
ガルパンでは通信士の武部沙織がいた場所がなくなっているんです。
それを「ちょっとさびしいですよねー」と言っている。ふうむ。
74式は、ドイツのレオパルトなど、海外の第二世代戦車にあわせるためつくられた戦車として紹介されています。
秋山殿は74式戦車と一緒に写真撮ったそうですよ。
発煙弾発射機がこれ装備されましたが、それを秋山殿はアニメの中の作戦「もくもく作戦」と比較しています。
もくもく作戦が、いかによく考えられた作戦だったのかが分かるよい解説です。
そして90式。
ドイツレオパルト2やロシアのT-72など第三世代戦車にあわせてつくられた、避弾径始(まるみで厚さを補う)がなく、複合装甲という特殊素材を挟み込んだ硬い戦車です。
1500馬力というものすごいエンジンと、走行間射撃ができる精度の高さを誇ります。
自動追尾装置でコンピューター計算し、的確に、ぶれることなく射撃を行う。
これを秋山殿は「すごいことなんですよ!」「様々な技術の進歩であります!」と言います。
しかし120ミリの砲弾は、自動装填になりました。
これについて秋山殿は「私、装填手の仕事が無くなってしまいましたー! 技術の進歩は便利ですけど、さみしくもありますー……」
乗員は、またひとり減り、3名です。
冷静に考えてみると、この脚本ちょっとすごいですよ?
最新鋭の戦車に秋山殿が喜ぶ、というコンセプトはずれていないんです。
でも新しくなるほど、秋山殿が寂しがっている。
よくこれ自衛隊のDVDでやったなあ?
戦車を時代順に追うと、いかに機械にまかせ、合理的な作りにするかが見えていきます。
そうすると、人間の仕事は減ります。
それはもっとものことなんです、現実の戦車としては。
しかしガルパンの戦車は違います。
あれはスポーツ競技用戦車です。
通信士が減り、装填手が減り、射撃距離や角度は機械が計算する。
それはスポーツとして面白く無いのです。
ガルパンというアニメは、3から6人の人間が乗って、それぞれ分担するチームとして、戦車を動かします。
その場合、最新鋭すぎると、それは兵器であって、スポーツではなくなってしまうんです。
手動で砲塔をまわし、人間が装填し、計測は自分たちで行い、通信を無線で交わし合う。
これ自体が競技です。
だから古い第二次大戦時戦車が、各学校で採用されているのです。
最新鋭の10式について、秋山殿はとてもハイテンションに語りますが、これが試合に参加したらチートなんてもんじゃないのもよくわかります。
電子制御のアクティブ・サスペンションで、揺れと振動を吸収。スラローム・カーブ走行しながら射撃可能。
ずばぬけてすぐれた照準に、高性能ビデオカメラの自動追尾。
ネットワーク機能で、他の戦車や歩兵やヘリの見ている情報も共有。
作中で女子高生達の乗る戦車なんて相手にもなりません。
このとんでもない技術力を丁寧に語りながら、秋山殿は操縦士の冷泉麻子を持ちだしたり、砲手の五十鈴華に当てはめたりしています。
もっともそこには、五十鈴華が目で距離と角度を測り、0.5秒だけ止まって一発で仕留めた、生花のような砲撃はありません。
とんでもなく科学技術的にはすごいんです。秋山殿もベタボレなんです。
なんだけども……。
秋山殿のコメンタリーと、実際のコメンタリーを比較して聞くと、なかなか興味深いです。
やはり秋山殿の視点は「かっこいい戦車」「競技のための戦車」で、だからこそ「ちょっとさみしい」なんて言葉が出てきます。
しめは「これからも戦車は、陸戦の王者であり続けることでしょう。嗚呼、戦車よ永遠なれ!」。
秋山殿らしい。
一方通常のコメンタリーは、当然ながらいかに10式が優れているかを解説しており、科学技術の高さがしみじみわかります。
しめは「隊員たちと技術者達の努力は、今日も休むこと無く続けられている」。
話の着地点が違いすぎる。
ここのギャップが、ファンタジーと現実の違い。
コラボしてはいますが、ライン引きができているんです。
最後に、秋山殿の名言を一言。
「各戦車の映像は、最低一時間はほしいですよねー。今度監修の岡部いさく先生に頼んでみましょう!」
ぼくからも、お願い致します!
もちろん秋山殿の解説付きで。できれば西住殿も!
(たまごまご)
自衛隊DVDがオリコン1位の快挙 | web R25
5月27日付オリコンDVD総合週間ランキングで、まさかの自衛隊のDVDが!一位に!
空自は5位。海自は7位。
オリコンベストテンに陸海空ってなんじゃこりゃ。
これにはちゃんとわけがあります。
今回このDVDのオーディオコメンタリーを、アニメ『ガールズ&パンツァー』の人気キャラ、秋山優花里(以下・秋山殿)が担当しているからです。
戦車が好きすぎる彼女は、大洗女子で主人公西住みほ達と出会い、「戦車道」というスポーツで青春の汗を流すことになります。
ただし戦車に乗るとハイになる、ちょっと変わった子でもあります。
そこがかわいいんですよねー。わしゃわしゃ。
すごいコラボするなあとおもいきや、この自衛隊DVDシリーズの監修は軍事評論家の岡部いさく。
アニメ『ストラトス・フォー』やゲーム『アーマード・コア』に参加し、ガンダムの大ファン。なるほど納得です。
通常コメンタリーはいかに日本の戦車がよくできているか、国産するのがなぜ必要かを淡々と語っています。
一方オーディオコメンタリーの秋山殿は「戦車が好きです!」の一点で語っているのが特徴。
脚本まるまる違います。
ファンなら秋山殿の解説聞いていているだけで、ニンマリ満足できる内容。
真面目にこのDVDを見ると、日本の戦車が一気に理解できます。本当に丁寧なので「よくわかる!」。
いかに戦車が合理的に作られているか、機能のオンパレードなのか、わかりまくります。
さて、ここで『ガルパン』視点からこのDVDを見てみます。
なぜこんなすごい戦車があるにもかかわらず、ガルパン世界で女子高生は10式に乗れなかったのか。
改めて本物を見ることで考えてみたいと思います。
ガルパン世界の技術は、決して古臭くありません。
そもそも学園が学園艦に乗っているくらいですし、10式は蝶野教官が訓練の際乗ってきています。
加えて、彼女たちの乗っている旧式戦車はカーボンで安全性を強化。
砲弾の威力を瞬時に計算し、自動的に損害を判断して白旗があがるという、現在陸上自衛隊で使われているバトラーシステム(いつ、どのように、どこから被害を受けたかが瞬時に判定・確認できる)と同じ物も搭載されています。
なにげにあの世界の科学力、すごいんです。
でも戦車道は10式に乗れない。
このDVDに登場するのは、戦後の61式、74式、90式、10式。
一応その前のアメリカ製M24チャーフィーなどの、海外製戦車も出てきます。
しかしこのDVDが伝えたいのは「国産の戦車の必要性」。
そのため、国産である61式以降を特に詳しく解説します。
61式最大の特徴は、カブトムシみたいなT字型の砲身。怪獣映画に出てきてよく踏み潰される戦車です。
秋山殿いわく「あれはかわいそうですよねー」
このように秋山殿コメンタリーは基本「戦車かわいい」「かっこいい」で終始しています。
加えて、ガルパンアニメ作中のネタを惜しげもなく盛り込んでいます。
脚本書いた人お見事です。
しかしここで気になる発言が。
「ちょっとさびしいですよねー」
なんのことか?
61式は車体前方の機関銃が廃止されています。それによって、乗員が4名になりました。
ガルパンでは通信士の武部沙織がいた場所がなくなっているんです。
それを「ちょっとさびしいですよねー」と言っている。ふうむ。
74式は、ドイツのレオパルトなど、海外の第二世代戦車にあわせるためつくられた戦車として紹介されています。
秋山殿は74式戦車と一緒に写真撮ったそうですよ。
発煙弾発射機がこれ装備されましたが、それを秋山殿はアニメの中の作戦「もくもく作戦」と比較しています。
もくもく作戦が、いかによく考えられた作戦だったのかが分かるよい解説です。
そして90式。
ドイツレオパルト2やロシアのT-72など第三世代戦車にあわせてつくられた、避弾径始(まるみで厚さを補う)がなく、複合装甲という特殊素材を挟み込んだ硬い戦車です。
1500馬力というものすごいエンジンと、走行間射撃ができる精度の高さを誇ります。
自動追尾装置でコンピューター計算し、的確に、ぶれることなく射撃を行う。
これを秋山殿は「すごいことなんですよ!」「様々な技術の進歩であります!」と言います。
しかし120ミリの砲弾は、自動装填になりました。
これについて秋山殿は「私、装填手の仕事が無くなってしまいましたー! 技術の進歩は便利ですけど、さみしくもありますー……」
乗員は、またひとり減り、3名です。
冷静に考えてみると、この脚本ちょっとすごいですよ?
最新鋭の戦車に秋山殿が喜ぶ、というコンセプトはずれていないんです。
でも新しくなるほど、秋山殿が寂しがっている。
よくこれ自衛隊のDVDでやったなあ?
戦車を時代順に追うと、いかに機械にまかせ、合理的な作りにするかが見えていきます。
そうすると、人間の仕事は減ります。
それはもっとものことなんです、現実の戦車としては。
しかしガルパンの戦車は違います。
あれはスポーツ競技用戦車です。
通信士が減り、装填手が減り、射撃距離や角度は機械が計算する。
それはスポーツとして面白く無いのです。
ガルパンというアニメは、3から6人の人間が乗って、それぞれ分担するチームとして、戦車を動かします。
その場合、最新鋭すぎると、それは兵器であって、スポーツではなくなってしまうんです。
手動で砲塔をまわし、人間が装填し、計測は自分たちで行い、通信を無線で交わし合う。
これ自体が競技です。
だから古い第二次大戦時戦車が、各学校で採用されているのです。
最新鋭の10式について、秋山殿はとてもハイテンションに語りますが、これが試合に参加したらチートなんてもんじゃないのもよくわかります。
電子制御のアクティブ・サスペンションで、揺れと振動を吸収。スラローム・カーブ走行しながら射撃可能。
ずばぬけてすぐれた照準に、高性能ビデオカメラの自動追尾。
ネットワーク機能で、他の戦車や歩兵やヘリの見ている情報も共有。
作中で女子高生達の乗る戦車なんて相手にもなりません。
このとんでもない技術力を丁寧に語りながら、秋山殿は操縦士の冷泉麻子を持ちだしたり、砲手の五十鈴華に当てはめたりしています。
もっともそこには、五十鈴華が目で距離と角度を測り、0.5秒だけ止まって一発で仕留めた、生花のような砲撃はありません。
とんでもなく科学技術的にはすごいんです。秋山殿もベタボレなんです。
なんだけども……。
秋山殿のコメンタリーと、実際のコメンタリーを比較して聞くと、なかなか興味深いです。
やはり秋山殿の視点は「かっこいい戦車」「競技のための戦車」で、だからこそ「ちょっとさみしい」なんて言葉が出てきます。
しめは「これからも戦車は、陸戦の王者であり続けることでしょう。嗚呼、戦車よ永遠なれ!」。
秋山殿らしい。
一方通常のコメンタリーは、当然ながらいかに10式が優れているかを解説しており、科学技術の高さがしみじみわかります。
しめは「隊員たちと技術者達の努力は、今日も休むこと無く続けられている」。
話の着地点が違いすぎる。
ここのギャップが、ファンタジーと現実の違い。
コラボしてはいますが、ライン引きができているんです。
最後に、秋山殿の名言を一言。
「各戦車の映像は、最低一時間はほしいですよねー。今度監修の岡部いさく先生に頼んでみましょう!」
ぼくからも、お願い致します!
もちろん秋山殿の解説付きで。できれば西住殿も!
(たまごまご)