一方、Jリート分析の専門家であるアイビー総研の関大介さんは、Jリート市場について「現状はやはり過熱感がある」と指摘する。

「昨年半ばごろからほぼ一本調子で上昇を続けており、従来のような利回り狙いではリスクが高いと言わざるをえません。ただし、日銀の金融緩和策が4月の第1弾だけではなく、第2弾、第3弾と続いていくとすれば、まだ十分に上値余地があるとみることができます」(関さん)

これまで不動産価格や賃料は、一部の超優良物件を除いて長期的な下落局面が続いていたが、今後は価格、賃料とも上昇傾向となり、それにつれてJリートの分配金も増えていく可能性が高いという。要は、不動産価格と賃料の上昇の恩恵を大きく受ける銘柄であれば、これからさらに上昇が加速しても不思議はないということだ。

「今後のリスク要因としては、欧州金融不安の再燃や米国の財政の崖問題などが引き続き挙げられます。また、物価上昇など日銀による金融緩和策のマイナス面にフォーカスが当たるようになると、日銀がそれ以上の金融緩和に踏み込めなくなる可能性があり、それもJリート市場にとっては逆風になりそうです。現在は外国人投資家が本格的にJリート市場に参戦しており、上値追いが見込めるのも確かですが、リスクを考えると全力投資ではなく、ある程度の逃げ道をつくっておくべきだと思います」(関さん)

注目のJリートサイト 投資家必見!基本から専門情報まで幅広くカバー

本文にも登場した関さんが代表を務めるアイビー総研が企画・運営している、投資家のためのリート情報サイト「不動産投信情報ポータル」。Jリート市場に関する最新ニュースや銘柄検索、マーケットの状況など、リート投資に必要な情報が満載だ。

同サイトでは、「予想利回り」や「資産規模」「分配金」といったよく見られる項目のほか、「負債」や「予想利回り騰落率」「築年数」など、ほかではなかなか見られないユニークな項目をランキング形式で紹介している。ちなみに、左上に掲載したランキングは、同サイトの協力を得たものである。

さらに、銘柄比較ページでは、全Jリートを事務所主体型、住居主体型、ホテル主体型など、リートのポートフォリオ別に、時価総額や利回りなどさまざまな項目について比較することが可能。Jリートに投資するなら、必ずブックマークしておきたい要注目のサイトである。

横田雅之
東京証券取引所 上場推進部課長

建設会社、国内外の証券会社などで不動産金融ビジネスに20年以上にわたり、活躍。2009年に東証に入社し、現在はJリート市場を担当。不動産鑑定士の資格を有する。


関大介
アイビー総研 代表取締役

不動産会社、外資系生命保険会社、シンクタンクを経て、2007年に不動産証券化コンサルティングなどを手がけるアイビー総研を設立。Jリートに特化したサイト「JAPAN-REIT.COM」を運営。



この記事は「WEBネットマネー2013年6月号」に掲載されたものです。