Fillspector:やわらかくして通り抜けろ、奇妙な感覚の傑作ゲーム。

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「FillSpector」。
驚愕。
iOSのゲームなんだが、こんなもの見たことも遊んだこともない。
虹がぶちまけられたって感じのシュールな画面の中、目と口がついているやわらかすぎるモチみたいなヤツがいる。
内臓みたいなやわらかな閉塞空間の中を、どうにかして進んでいく。
そのためには、指でこいつをかき回して柔らかくして、ゆっくりと導いていく。
途中、犬型のちょっと広い空間があるので、そこを目指す。顔をのぞかせると、すぽんっ!
細い通路をぐっと抜けて、広い空間に出てきたときの気持ちよさ。
いやはや、もう、これまでにまったく存在しなかった純粋に新しい遊びの感覚。
なんだこれは!
言葉では説明しきれないので、プロモーション映像を見てほしい。
これ!
Fill Spector Promotional Video。
ね、「なんだこれは」でしょ。カレー屋の人、楽しそうでしょ。
楽しいんだもの!
公式サイトには、こんな説明。
“フィル・スペクターは型にハマるのが大好きなイキモノ。
凹みがあればそこにハマるし、スキマがあればそこを埋める。
犬の形をした型。フィルはここから生まれた。
いつもフィルにやさしく微笑んでる。
フィルは旅をする。
みたことのない新しい型を求めて。”

ここ数日、指紋がすりきれるぐらい遊んでる。
でも、まだ、よくわからない。
難易度調整もゲームっぽくなくて、正直むずかしすぎ!
新しい操作感なのに、最初からようしゃなくむずかしい。
これ、もっと遊んでもらうには、バランス調整して、コツを習得させるように導いてあげるといいのに。
レベルデザイン協力させてほしいなー。って、ねっからのゲームデザイナー根性が発動しちゃうぐらいに、ちょっと惚れ込んでしまった。

いや、まじ、すごいよ、これ。
これだけ遊んでも「なんだこれは!」っていう感覚が消えない。
クレイジーで、キュートで、ワンダーなゲーム。
キュートだけど、同時に『ドグラマグラ』な「胎児の夢」(“胎児よ胎児よなぜ踊る母親の心がわかっておそろしいのか”)なシュールな悪夢感もある。
Fillspector公式サイトも、へんてこで、見てもますますわからない。

音楽・中岡将二郎、イラスト・益子悠紀、プロデューサー・高橋裕士(WOW)。
構想、デザイン、プログラムを手がけたのは、勅使河原一雅。
もう「Fillspector」だけでイッキにファンになって、勅使河原一雅ってどんな作品をつくった人だろうって調べてみた。Webコンテンツ制作やプログラム制御された映像作品制作などを手がけ、「カンヌ国際広告祭」「東京インタラクティブ・アド・アワード銀賞」「AMDアワード江並直美賞」「文化庁メディア芸術祭」など国内外で多数受賞している方だった。
qubibiってサイトに作品が多数紹介されている。
「Daydream」って作品は、カーソルの矢印が曲がって、ぐるぐるとマウスを回すように誘導され、アニメーションが進んでいく。螺旋の夢を見ているような不思議なサイト。
他にも「TORIKAGO」、WANWANLINK、「INDIA」などの作品がサイト上で見ることができる。

「FillSpector」、リリース記念でいまなら無料(2013年4月28日まで)。不思議な気持ちになるから遊んでみてください。(米光一成)